丸紅と常陽銀行出資のデジタル証券準備会社子会社、新事業活動計画の認定取得

オーナーシップ社が新事業活動計画の認定取得

デジタル証券準備株式会社(DS社)のシステム子会社であるオーナーシップ(OS社)が、ブロックチェーン技術を活用した新事業活動計画の認定取得を8月1日発表した。

この新事業活動計画は債権譲渡特例に係るものとのこと。従来において「匿名組合出資持分」をトークン化したセキュリティトークン(匿名組合ST)の投資家間売買に係る第三者対抗要件を具備するためには、内容証明郵便などの「確定日付のある証書」による通知等を行う必要があるが、今回の認定取得によって情報システム経由での通知等を、「確定日付のある証書」による通知等とみなす特例が受けられるようになったという。

この特例によりOS社は、匿名組合STの発行、保管、販売、二次流通(システム上での投資家間売買)に至るまでの全ての手続きを、同社が独自開発したセキュリティトークン売買プラットフォーム「OwnerShip(オーナーシップ)」上でデジタル完結できるようになったとのことだ。

なお「匿名組合出資持分」は、匿名組合契約に基づいて行う投資及びその金額のこと。匿名組合契約とは、匿名組合員(出資者)が営業者に出資をし、その経営の一切を営業者に任せ、出資したた事業から利益が生じると組合員はその利益配分が受け取れる契約だ。

DS社およびOS社提供予定の「匿名組合出資持分」をST化した「プロ向け不動産STOファンド」の組成は、日本初の取組みになるとのことだ。

発表によると両者は匿名組合出資について「不動産等の資産流動化のベストプラクティス」と述べている。そのため匿名組合出資を活用したスキームに基づく匿名組合STの発行、保管、販売、二次流通(システム上での投資家間売買)のデジタル完結は、セキュリティトークンのあるべき姿だと説明されている。

DS社およびOS社は、国内初の「セキュリティ・トークン・マーケットプレイス」の創出を目指すのことだ。

なおデジタル証券準備株式会社(DS社)は、丸紅・オリックス銀行・常陽銀行が今年10月に出資した企業(常陽銀行は同行のCVCファンド「Jレイズ投資事業有限責任組合」を通じて出資)。

またオーナーシップ(OS社)は、投資型クラウドファンディングシステムなどを提供するグローシップ・パートナーズの親会社であるグローシップとデジタル証券準備会社が共同で昨年10月に設立した企業である。

なお今回の認定取得は、丸紅と常陽銀行がDS社との事業連携の一環として参加した「プロ向け不動産STOファンド」を利用して行われた産業競争力強化法に基づく新技術等実証実験(いわゆる「規制のサンドボックス制度」)に係るブロックチェーン技術を活用した電子的取引に係る第三者対抗要件に関する実証実験の成功を受けてのものとのことだ。

STOとは

STOとは、発行会社が従来の株式や社債等に代わり、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行するトークンに株式や社債等を表示する「セキュリティトークン(ST)」で資金を調達するスキームだ。2020年5月1日の金融商品取引法改正及び関連する政省令の改正施行により「電子記録移転有価証券表示権利等」として規定され、法令に準拠した取扱いが可能となっている。

これによりセキュリティトークンは「電子記録移転権利」と規定され(金商法2条3項)、金融機関での取り扱いが可能になっている。

ただし金商法に該当しないセキュリティトークンとして、「不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの」や会員権などの「アセットの権利をトークン化したもの」も定義されている。

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参考:丸紅
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Sergey-Khakimullin

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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