JVCEAとJCBA、共同で「暗号資産に係る2024年度税制改正要望書」を日本政府へ提出

JVCEAとJCBAが「暗号資産に係る2024年度税制改正要望書」提出

日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が共同で、「暗号資産に係る2024年度税制改正要望書」を取りまとめ、7月31日付で金融庁はじめ政府関係省庁へ提出したことを発表した。

本年度は「分離課税」、「法人税」、「資産税」、「暗号資産同士の交換」についての要望が行われている。

なおJVCEAは、暗号資産交換業及び暗号資産関連デリバティブ取引業の自主規制団体だ。資金決済法に基づく「認定資金決済事業者協会」と金融商品取引法に基づく「認定金融商品取引業協会」を兼ねている。

またJCBAは、パブリックブロックチェーンおよびWeb3.0のエコシステムを構成するステークホルダーが、日本国内において暗号資産、NFT、ステーブルコインなどのデジタル資産に関するビジネスを行うための環境整備を目的とする会員組織である。

両協会は今回の要望書提出にあたり、「2023年の税制改正で自社発行暗号資産に係る法人税の改正がなされたものの、その他未だ残る税制面の課題が起業家・利用者の障壁となり、利活用の遅れや人材の海外流出を生じさせている」と主張している。

なお7月27日には一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)が、「暗号資産に関する税制改正要望」を日本政府に提出したことを発表している。JBAが要望したのは、「第三者発行による暗号資産を保有する法人への期末含み益課税の撤廃」、「申告分離課税・損失の繰越控除の導入」、「暗号資産同士の交換時における課税の撤廃」の3つだった。

要望骨子

(1)分離課税

暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。暗号資産デリバティブ取引についても同様とする。

(2)法人税

ブロックチェーン技術を活用した起業等への阻害要因を除去し、Web3.0推進に向けた環境整備を図る観点から、法人(発行者以外の第三者)が短期売買目的以外で継続的に保有する暗号資産について、期末時価評価課税の対象外とするよう要望する。

(3)資産税

相続により取得した暗号資産の譲渡時の譲渡原価の計算について、取得費加算の特例の対象とすることや、相続財産評価について、上場有価証券と同様、相続日の最終価格の他、相続日の属する月の過去3ヶ月の平均時価のうち、最も低い額を時価とすることを要望する。

(4)暗号資産同士の交換

暗号資産取引に関する損益は、暗号資産同士を交換したタイミングでは課税せず、保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象とすることの検討を要望する。なお、 前3項目と異なり、本要望は制度上の整理にとどまらず、新たな計算方法の採用や暗号資産の色分け(事実上ステーブル性のあるコインか否かなど)など検討すべきことが多岐に渡るため、 まずは前3項目の改正を優先とし、その後の将来的な要望とする。

関連ニュース

参考:JCBA
デザイン:一本寿和
images:iStocks/denizbayram

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。