チェーンリンクのクロスチェーン相互運用プロトコル「CCIP」、SynthetixやAaveが早期アクセスで採用

チェーンリンクの「CCIP」が早期アクセス開始

分散型オラクルネットワークを提供するChainlink(チェーンリンク)開発のクロスチェーン相互運用プロトコル「CCIP」が、Avalanche(アバランチ)、Ethereum(イーサリアム)、Optimism(オプティミズム)、Polygon(ポリゴン)の各ブロックチェーンのメインネットでの早期アクセス段階に入ったことを7月17日発表した。

今回の早期アクセスでは、オンチェーンのデリバティブと金融商品のエコシステムの流動性レイヤーとして機能するDeFi(分散型金融)プロトコル「Synthetix(シンセティクス)」が「CCPI」を採用。Synthetix v3において発行されたsUSDを転送する「Synth Teleporter(シンセテレポーター)」において同プロトコルを用いているとのこと。

なお早期アクセスにおいてsUSDは、イーサリアムとオプティミズムの間で移動可能になっているという。ただし評議会によって承認されれば、その他EVM互換チェーンへの転送も可能になるとのことだ。

また大手DeFiレンディングプロトコルのAave(アーベ)も今回「CCIP」を採用したとのこと。Aaveにおいてはチェーンを跨いだガバナンス「クロスチェーンガバナンス」のメカニズムにて採用されている。これまでAaveではクロスチェーンガバナンスをサポートするため、いくつかの異なるチェーンネイティブブリッジを用いており、参加者が投票するためのコストが高くなっていたという。

「CCIP」は、ガス効率の高い設計や新しいネットワークへの拡張性、統合の容易さ等を理由に新たに「Aave Governance V3」へ統合されたとのことだ。

またその他にも、国際銀行間ネットワークシステムを提供するSWIFT(スウィフト)が目指す「銀行間取引のブロックチェーン技術拡張」において「CCIP」の実装が検討開始されているとのこと。

これにはANZ(オーストラリア・ニュージーランド・バンキング・グループ)、BNP Paribas(BNPパリバ)、BNY Mellon(BNYメロン)、Citi(シティ)、Clearstream(クリアストリーム)、Euroclear(ユーロクリア)、Lloyds Banking Group(ロイズ・バンキング・グループ)、SDX(SIXデジタル・エクスチェンジ)、DTCC(The Depository Trust and Clearing Corporation)が協力をしているとのことだ。

なお「CCIP」は開発者向けに7月20日より5つのテストネットにて利用が可能になるとアナウンスされている。対象のテストネットはArbitrum Goerli(アービトラムゴエリ)、Avalanche Fuji(アバランチフジ)、Ethereum Sepolia(イーサリアムセポリア)、Optimism Goerli(オプティミズムゴエリ)、Polygon Mumbai(ポリゴンムンバイ)の5つとのことだ。

CCIPについて

「CCIP」は、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの両方にわたってアプリケーションをリンクするように設計されたクロスチェーン相互運用プロトコルだ。Chainlinkの分散型オラクルネットワークが利用されているとのこと。

開発者は、任意メッセージングを使用して「CCIP」上に独自のクロスチェーンソリューションを構築できるだけでなく、「CCIP」は簡素化されたトークン転送も提供するという。これにより、プロトコルは制御する監査済みのトークンプールコントラクトを使用して、記述することなくチェーン間でトークンの転送を迅速に開始できるとのことだ。

同プロトコルにより、独自のブリッジソリューションを構築することなく、単一のインターフェイスからブロックチェーン間でトークン転送ができる他、ユーザーが1つのブロックチェーンに担保を預け、別のブロックチェーンで資産を借りられるようにするクロスチェーン融資アプリケーションの起動も可能になるとのこと。

また、複数のブロックチェーンにまたがるリキッド ステーキングトークンをブリッジして、他のチェーンのDeFi(分散型金融)アプリでの使用率を高めることも可能としている。さらには、ブロックチェーンに依存しないゲームエクスペリエンスを作成し、プレーヤーがよりスケーラブルなブロックチェーンでプレイしながら、より安全なブロックチェーンに高価値のアイテム保存ができるようにもなるとのこと。

その他にもプレスリリースには、NFTやデータストレージ、アカウントの抽象化についても、「CCIP」によるクロスチェーンのユースケースがあげられている。

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    参考:ChainlinkSynthetix
    デザイン:一本寿和
    images:iStocks/dalebor

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    この記事の著者・インタビューイ

    大津賀新也

    「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。