Uniswap Labs、新たなルーティングプロトコル「UniswapX」リリース

Uniswap Labsが「UniswapX」をリリース

分散型取引所(DEX)の「ユニスワップ(Uniswap)」開発元のユニスワップラボ(Uniswap Labs)が、新たなオープンソースのルーティングプロトコル「ユニスワップX(UniswapX)」を7月18日にリリースした。この「ユニスワップX」は、イーサリアムメインネット上の「ユニスワップ」のルーティングプロトコルとしてリリースされている。

なおルーティングは複数の取引所の暗号資産(仮想通貨)の価格を参照することで、スワップ(交換・取引)の最適な経路を算出し、提供する作業のことだ。

ちなみに「ユニスワップX」の利用は任意であり、これまでと同様に「ユニスワップv3(Uniswap v3)」のプールを直接利用したスワップも利用可能とのこと。

ユニスワップラボによると、最近流動性プールの数は爆発的に増加しているという。近日リリース予定の「ユニスワップv4(Uniswap v4)」が提供するカスタマイズ可能な流動性プールの登場などにより、さらに流動性プールの数は増加しルーティングはより複雑になっていくという。

「ユニスワップX」ではこのオンチェーンルーティングを、新たなユニスワップエコシステムへの参加者「フィラー」にアウトソーシングし、競争を促すことでオンチェーンルーティングの複雑さへの対処を目指すだけでなく、より良い価格でのスワップの提供が実現できるという。

また同プロトコルではブロックチェーンでの取引手数料であるガス代の支払いを「フィラー」が行うため、スワップを利用するユーザーはガス代を支払う必要がなく、スワップが失敗した場合にも支払いの必要はないとのことだ。

また「ユニスワップX」では、「フィラー」が取引のルーティング時に自身の保有資産でスワップを引き受けることや、トランザクションの詳細を公開せずトランザクションを作成する「プライベート・トランザクション・リレー」の採用が可能であるため「MEV(Maximal Extractable Value)」抽出による不利益を受けにくくするとのこと。

「MEV」はブロックチェーンのマイナーまたはバリデーターがブロックを生成する過程でトランザクションの組み込み、除外、順序の変更を行うことで、通常のブロック報酬やガス報酬とは別で得られる利益のことである。

現在「ユニスワップ」をはじめとしたオンチェーンでのスワッププロトコルは「MEV」抽出によるスワップ価格の悪化という問題に直面している。

「MEV」抽出の例としては、オンチェーンでのスワップの実行の前や前後にトランザクションを組み込むことで、スワップにより生じる価格の変動を利益として受け取る「フロントランニング」や「サンドウィッチング」がある。

これらにより、スワップの利用者が適切でない価格でスワップを実行してしまうことや購入した時点で損失を背負うということが頻繁に起こっているとのこと。「ユニスワップX」はこういった「MEV」抽出の問題に対応できるルーティングプロトコルとなっている。

なお「ユニスワップX」は現在ベータ版であり、今後「フィラー」が増加することで多くのスワップが同プロトコルを介して行われるという。またユニスワップラボ提供の暗号資産ウォレット「ユニスワップウォレット(Uniswap Wallet)」への拡張や、今後数カ月のうちにブリッジを統合したクロスチェーンスワップにプロトコルを拡大することも明らかにされている。

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    参考:ユニスワップラボ
    デザイン:一本寿和
    images:iStocks/StationaryTraveller・iam2mai

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    この記事の著者・インタビューイ

    田村聖次

    和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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