オフチェーンラボ、L3構築ツール「Arbitrum Orbit」発表

ArbitrumのオフチェーンラボがL3ネットワーク構築ツール発表

オフチェーンラボ(Offchain Labs)が、アービトラム(Arbitrum)上に独自のレイヤー3ブロックチェーンを立ち上げるための専用ツールパッケージ「アービトラムオービット(Arbitrum Orbit)」を6月22日にリリースした。

アービトラムは、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション。「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」などのスケーリング技術を採用することでイーサリアムの安全性を保ちつつオフチェーンでの高速処理を実現している。

「アービトラムオービット」利用により、「Arbitrum One(アービトラムワン)」や「Arbitrum Nova(アービトラムノヴァ)」、テストネットの「Arbitrum Goerli(アービトラムゴエリ)」上に独自の専用チェーンを作成することが可能になる。

なおアービトラムに接続されたL3ネットワークは「オービットチェーン(Orbit chain)」と呼ばれる。「オービットチェーン」では、開発者がチェーンのプライバシーや権限、手数料となるトークン、ガバナンスなどがカスタマイズできるという。また「オービットチェーン」は他の「オービットチェーン」との相互通信も可能とのこと。

オフチェーンラボはこの新しいツールに加えて、「オービットデブネット(Orbit Devnet)」と呼ばれるサンドボックス環境も展開した。これにより、開発者は自分自身のスマートコントラクトやアプリケーションをオービットチェーンとしてデプロイする前に、ローカル環境でテストしデバッグすることができるようになるとのことだ。

ちなみにアービトラムが採用する「オプティミスティックロールアップ」では、正当性の検証方法をレイヤー1(イーサリアム)に提出されるデータはすべて正当なものであるという「楽観的(オプティミスティック)」な前提に基づいて検証を行う手法にて、スケーラビリティを確保している。

なお「ロールアップ」とは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリング技術のことだ。

アービトラムでは、「Arbitrum One」および「Arbitrum Nova」の2つのメインネットを展開している。

「Arbitrum One」はアービトラムのフラッグシップネットワークであり、誰でもバリデーターとなることができる仕組みとなっている。一方で「Arbitrum Nova」は選定されたバリデーターグループ「データ可用性委員会(DAC:Data Availability Committee)」を使用して生のトランザクションデータを保存し、ネットワークをスケーリングするプロトコル「AnyTrust(エニートラスト)」を採用している。これにより、厳密な分散性を達成することはできないがより低い手数料での利用を可能にしている。

そのような特性から「アービトラムワン」はDeFi(分散型金融)及びNFT向けチェーン、「アービトラムノヴァ」はゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーンとして取り扱われるケースが多い。

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参考:ドキュメント
デザイン:一本寿和
images:iStocks/royyimzy・dalebor

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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