米カストディの「プライムトラスト」に業務差し止め命令、出金対応不可の事態も

「現在取引を行うには安全でない状況にある」

米ネバダ州の金融機関局が、米暗号資産(仮想通貨)カストディ企業のプライムトラスト(Prime Trust)に対し財務状況が悪化しているとして、6月21日業務差し止め命令を下した。

命令書によれば、ネバダ州金融機関局は昨年11月7日よりプライムトラストの財務状況を調査していたという。

また調査結果によれば、プライムトラストの財務状況は著しく悪化しており、現在取引を行うには安全でない状況にあるという。また事業を継続したとしても存続不可能で安全とはいえない状態だという。

またプライムトラストは6月21日、貸借対照表上の重大な負債のため資金が不足しており、顧客資産の引き出しに対応できなかったとのことだ。

さらに命令書では「プライムトラストは顧客資産の保護を怠り、顧客に対する受託者義務を意図的に違反し、カストディに安全に資産を保管しておらず、全顧客の出勤要請に応じることができない」と指摘されている。

プライムトラストは業務差し止め命令に対して、30日以内に異議申し立て・行政審問を要求できることになっている。

同社が異議申し立てをしない場合、その差し止め命令は有効となる。

ビットゴーによる買収提案も白紙に

6月22日には暗号資産及びデジタル資産のカストディ企業ビットゴー(BitGo)が、プライムトラストの買収を中止するとツイッターにて発表。

ビットゴーは「この決定は軽々しく下されたものではない」としながら「プライムトラストとの関係を改善するために多大な努力と作業を行った結果、買収を中止するという苦渋の決断を下した」と伝えている。

なおこの買収中止の表明は、ビットゴーがプライムトラストの親会社プライムコアテクノロジー(Prime Core Technologies)の株式を100%取得するという旨の拘束力のない意向表明書に署名してから、わずか2週間後の出来事であった。

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参考:命令書
デザイン:一本寿和

images:iStocks/taa22

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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