ポリゴンラボ、「Polygon PoS」を「zkEVM Validium」にアップグレードする提案公開

ポリゴンPoSチェーンをアップデートする提案が公開

ポリゴンラボ(Polygon Labs)が、ポリゴン(Polygon)のフラッグシップブロックチェーン「ポリゴンPoS(Polygon PoS)」を、ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)を活用した「zkEVMバリディウム(zkEVM Validium)」にアップグレードする提案を6月20日に公開した。

「ポリゴンPoS」は現在独自のバリデーターによって保護されており、イーサリアム(Ethereum)のサイドチェーンとして稼働している。

提案通りに「ポリゴンPoS」がアップグレードされることにより、「zkEVMバリディウム」はイーサリアムのL2ネットワークとして稼働することになるという。

ただし、ポリゴンラボが開発したイーサリアムL2ネットワーク「ポリゴンzkEVM(Polygon zkEVM)」に用いられるような「ロールアップ」は、「zkEVMバリディウム」では採用しないとのこと。

「zkEVMバリディウム」で採用される検証方法「バリディウム(Validium)」では、zkpにより「ロールアップ」と同等のセキュリティを持ったまま、手数料の大幅削減とスケーラビリティ(拡張性)向上が実現できるとのこと。

「ロールアップ」では、イーサリアムに取引データを公開することでスループット(一定時間内に処理される情報量)が制限されるという。これに対し「バリディウム」では、トランザクション(取引)データをオフチェーンで管理することで、取引データを保存するためのブロックスペースを消費しないという。

これにより前述した機能性向上が見込まれるとのことだ。

なお「ロールアップ」とは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションである。

ポリゴンラボによると、このアップグレードが実施されてもユーザーや開発者のユーザーエクスペリエンスが変更されることはなく、「ポリゴンPoS」と同様に「zkEVMバリディウム」を利用できるとのこと。またスマートコントラクトの更新も必要なく、バリデーターがステーキングする際に使用するトークンも以前と変わらずMATICのままになるとのことだ。

この提案はコミュニティからの同意が集まったのち、正式にPIP(ポリゴン改善提案)として提案されガバナンスが行われるという。これが合意された場合、2024年第1四半期末までにメインネット上でアップグレードが実施される可能性があるとのことだ。

ちなみに今回の提案は6月13日に発表したポリゴンの新しいロードマップ「Polygon2.0」の一環であり、先週予告されていた「Polygon 2.0」における「ポリゴンPoS(Polygon PoS)での対応」の発表にあたるものである。

なお「Polygon2.0」についての発表は4週にわたって行われることが発表されており、日本時間2023年6月26日には次の発表である「アーキテクチャとスタックについて」が行われる予定だ。

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参考:ポリゴン
デザイン:一本寿和

images:iStocks/jixiediyigan

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。