コスモス(ATOM)の「Cosmos Hub」にて弁護士雇用が議題に、SECの証券指摘受け

コスモスハブで弁護士採用が検討される

コスモス(Cosmos)ネットワークの中心となるブロックチェーン「コスモスハブ(Cosmos Hub)」のフォーラムにて、弁護士を雇う提案が持ち上がっている。

この動きは、米証券取引委員会(SEC)がコスモスハブのネイティブトークンであるATOM(アトム)を有価証券であると指摘したことを受けてのこと。コミュニティでは、ATOMが有価証券であるという閾値の判断をする場合、裁判所の判断が必要であり、その為に弁護士を雇う必要があるのではないかという議論が、6月12日より行われている。

なお同提案は、現在のところ草案作成および議論を進めている段階であり、コミュニティ投票などは行われていない。

提案の中でコミュニティメンバーのロボマクゴボ(RoboMcGobo)氏は「バイナンス訴訟のいずれかの申し立てが、ATOMが証券であるという裁判所の判断を要求するものであれば、裁判所の判断はコスモスハブと当然ATOMに遠大な影響を与えるかもしれない」と発言。

もしそうなった場合コスモスハブは、独自の防衛策をとる機会が現状において「ほぼない」とコミュニティではみられている。

そのため同氏は、「コスモスハブは弁護士を持つべきなのだ。弁護士や法律事務所は、介入を試みるかどうか、どの程度まで介入するかについて、コスモスハブに助言するのに最適な存在となるだろう」と述べ、「機会に備えて弁護士を待機させておくことは、ハブの運命を左右する可能性のある訴訟において、コスモスハブの声を確実に届けるという意味で、私たちにとって大きなメリットとなる」とコメントしている。

またジェイフラワーズ515(jflowers515)氏は「SECによるバイナンス訴訟の本質的な部分は、バイナンスが証券を販売したことを証明することである。よってSECは、リストアップした暗号資産のうち少なくとも1つが証券であることを証明しなければならない」と述べている。

続けて同氏は、「コスモスハブ自体が弁護する必要はないのではないか」との考えを述べ、もし弁護士を立てるとすれば、コスモスのインフラストラクチャの開発・運営を支援するインターチェーン財団(ICF:Interchain Foundation)がそうするだろうとコメントしている。

しかしその一方で、弁護士を雇うことで中央集権化や規制上の懸念が生じるのではないかという懸念の声もコミュニティでは挙がっている。

これに対しリルD(Lil_D)氏は、「弁護士を雇ったからといって、中央集権化されるわけでもなく、『標的にされる』わけでもない。事実、ATOMは、間接的ではあるが、すでにSEC訴訟の標的になっている」とコメント。

続けて「もしコスモスハブが『ATOM経済圏』計画を追求し続けるつもりなら、他人のお金を使った実質的で複雑な商業的取り決めや、ハブのコンプライアンス要件や規制への露出の可能性についてステーカーに助言する弁護士または法律事務所が絶対に必要」だと主張した。

また同氏は「弁護士や法的審査が非常に非効率的であることは間違いないが、私たちのプロジェクトに最も安全性をもたらすものでもある」とコメントしている。

複数銘柄が証券指摘うける

SECは海外大手暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンスとコインベースに対し、未登録のブローカーであると今月5日と6日に2日続けて提訴を行った。両取引所への訴状では、それぞれが取り扱う複数の暗号資産(下記参照)が未登録の有価証券として指摘された。その中にATOMもリストアップされていた。

この動きを受け、米投資アプリ運営のロビンフッド(Robinhood)は6月12日、ソラナ(SOL)・ポリゴン(MATIC)・エイダ(ADA)の3銘柄の上場廃止を発表した他、取引・投資プラットフォームのeToro(イートロ)が13日にアルゴランド(ALGO)、ディセントラランド(MANA)、ダッシュ(DASH)、ポリゴン(MATIC)の4銘柄について、米国居住者ユーザーを対象に取引制限することを予告。そして16日には米デジタル資産サービス企業バックト(Bakkt)が、ソラナ(SOL)・ポリゴン(MATIC)・エイダ(ADA)の3銘柄について、上場廃止予定であることを米フォーチューン誌へ明かしている。

なお前述したバイナンスとコインベースに対して有価証券であるとSECが今回指摘した暗号資産は以下の通りだ。

バイナンス:BNB(ビルドアンドビルド:旧名バイナンスコイン)、BUSD(バイナンスUSドル)、SOL(ソラナ)、ADA(カルダノ/エイダ)、MATIC(ポリゴン)、FIL(ファイルコイン)、ATOM(コスモス)、SAND(サンドボックス)、MANA(ディセントラランド)、ALGO(アルゴランド)、AXS(アクシーインフィニティ)、COTI(コティ)

コインベース:CHZ(チリーズ)、FLOW(フロウ)、ICP(インターネットコンピューター)、NEAR(ニア)、VGX(ボイジャートークン)、DASH(ダッシュ)、NEXO(ネクソ)

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参考:コスモスハブ
デザイン:一本寿和

images:iStocks/ablokhin

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者