文化庁、美術品DX事業の実証実験にスタートバーンの「Startrail」採用

文化庁の美術品DX事業の実証実験にブロックチェーン採用

2022年度に文化庁が実施した「令和4年度美術品DXによる管理適正化・市場活性化推進事業」の実証実験において、国内ブロックチェーン関連企業Startbahn(スタートバーン)提供のブロックチェーンインフラ「Startrail(スタートレイル)」が活用されたことが6月15日発表された。

同事業は、文化庁が美術品市場活性化に向けた国内基盤整備を行うために実施したもの。これまで日本全国の美術館・博物館等の文化施設において、美術品・文化財の管理はアナログで行われてきたが、施設同士の作品の貸し借り等において、重要な作品の紛失防止などの観点から、管理のDX化が課題となっていたという。

これについて同事業での取り組みにより、特定の機関に依存しない分散台帳であるブロックチェーンを活用することで、美術館・博物館等が所蔵するコレクションとギャラリーやコレクター等、民間に所在する美術品が、同一のフォーマットで情報をやり取りできるようになるとのことだ。

今回の実証実験では、SOMPO美術館の収蔵作品5点を「スタートレイル」上に登録し、スタートバーンが提供するNFCタグを取り付けたという。その上で、それら作品を他の美術館に貸し出し、その際の来歴管理やトレーサビリティの有用性について確認したとのこと。

従来は館内で管理しているデータと配送データは全く別の規格だったが、今回の実証実験で「スタートレイル」を活用することで、作品に関するあらゆる情報を一元管理できるようになったとのこと。また貸出などの作品の来歴が積み重なっていくことで作品の価値向上にもつながっていくことが確認されたとのことだ。

「スタートレイル」は、作品登録証を表す「Startrail Registry Record(SRR/スタートレイル・レジストリー・レコード)」を、イーサリアムの標準規格「ERC721」に準拠したNFTとして発行・移転するプロダクト。2022年3月に経済産業省によるファッション分野のNFT実証実験による展示会「SIZELESS TWIN(サイズレス・ツイン)」にも活用されている。

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参考:スタートバーン
デザイン:一本寿和

images:iStocks/KTStock

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。