タイ中銀がリテールCBDCの試験運用を開始、3社連携で=報道

タイ中央銀行がCBDC試験運用を開始

タイ王国の中央銀行であるタイ銀行(BOT)が、リテール向け中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロットプロジェクトを開始した。複数現地メディアが6月12日報じた。

タイ銀行は、アユタヤ銀行(Bank of Ayudhya)、サイアム商業銀行(Siam Commercial Bank:SCB)、シンガポール拠点の決済サービスプロバイダー2C2P社と連携し、リテール向けCBDCをテストしているとのこと。

テストは規制上のサンドボックスで行われ、今年6月から8月までの期間で実施され、最大1万人が参加する予定だという。

今回アユタヤ銀行は、「CBDCクルンシイ」の名称でCBDCのテストを行ったという。「CBDCクルンシイ」では、職員及びアユタヤ銀行本社近くの約100人の加盟店を対象にテストを行ったとのこと。

アユタヤ銀行は最初の目標として「CBDCクルンシイ」の参加人数を2,000人に設定している。なお今後このテストは、同行プルンチット支店にも拡大予定だという。ちなみにクルンシイはアユタヤ銀行の現地呼称である。

現地メディアのバンコクポスト(Bangkok Post)の報道によれば、アユタヤ銀行傘下のコーポレートVCであるクルンシイ・イノベートのマネージングディレクターであるサム・タンスカル(Sam Tanskul)氏は「銀行はパイロットプロジェクトを開始する前に、リテール向けCBDCについて加盟店とスタッフの両方に教育を施し、テストはスムーズに行われた」と報告したという。

またタンスカル氏は、「アユタヤ銀行は取引額の制限を設けず、特にピーク時の決済システムを安定させることに重点を置いている」と述べている。

なお同氏によれば、「CBDCクルンシイ」参加者は、モバイルバンキングアプリをインストールし、電子ウォレットとしてお金を追加し、「デジタルバーツ」と呼ばれるデジタルマネーの形に転送するという。なお1CBDCは1バーツに相当するとのことだ。参加者らはQRコードをスキャンすることで、参加店舗で商品やサービスの代金を支払うことが可能となるという。

タイ銀行は年内にリテール向けのCBDCのパイロットプロジェクトを開始する予定であることを昨年8月5日に発表していた。当初は2022年に開始予定であった。タイ銀行は、このプロジェクトを「学習するための試験的なもの」であり、正式なCBDCの発行計画はないとしている。

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デザイン:一本寿和
images:iStocks/Ninja-Studio

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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