米コインベースが規制枠組み推進の草案を支持、「米国は遅れを取っている」

コインベース、引き続き明確な規制枠組み求める

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)が、「米国は遅れを取っている」と警告した。同社最高法務責任者のポール・グレワル(Paul Grewal)氏が6月5日の声明にて発言した。

グレワル氏は6月6日の下院農業委員会の公聴会にて、新たに下院金融サービス委員会から提案された「デジタル資産市場構造討論草案」と「米国における暗号資産に関する明確なルールブックの必要性」を証言することを報告。

なお証言に先立ってグレワル氏は「暗号資産領域において米国は後れを取っていること」、「暗号資産は現実世界の問題を解決しており、イノベーション保護のための明確な道筋を必要としていること」、「同草案はいまだ明確にならない規制を明確にするための大きな1歩であること」を公聴会で伝えるつもりだと明かしてい

グレワル氏は、分散型台帳とデジタル資産技術の重要性を訴えながら、米国にはこれらに関する明確な規則・規制がないと指摘。そのため米国から同領域の技術やイノベーションが他国に流出していると述べている。また同氏は、消費者保護や規制枠組みの整備に積極的な欧州連合(EU)、英国、オーストラリア、シンガポール、中国(香港を含む)を引き合いに出し、「私たちの経済の未来にとって悪いだけでなく、今後数年間で幅広いユースケースが出現する中で、私たちの国家安全保障にも影響する」とし、現在の米国の規制状況を憂いた。

グレワル氏は、イノベーション保護のためにも、改めて明確な規制枠組みが必要だと主張。今回提案された「デジタル資産市場構造討論草案」は、「米国における暗号技術革新のための実行可能でバランスの取れた規制の枠組みを構築するための強力な基盤になるものと確信」しており、「暗号資産をより安全なものにするための明確なルールブックを作成するための大きな一歩となる」とコメントした。また、コインベースとしても、同法案を立法プロセスに進めていくことを強く推奨すると伝えている。 また同氏のツイッターでも「このような規模の包括的な法案には綿密な検討が必要になるが、今のところ私たちが見ているものは心強い」とコメントしている。

「デジタル資産市場構造討論草案」について

「デジタル資産市場構造討論草案」は、6月2日に下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)委員長と、下院農業委員会のグレン・トンプソン(G.T. Thompson)委員長によって発表された法案だ。

同草案は、消費者保護を適切に行いながら、規制の隙間を埋め、革新を促進することを意図して発表されたもので、投資契約の一部として提供される暗号資産は米証券取引委員会(SEC)の監督下に置き、商品として認められるものは米商品先物取引委員会(CFTC)の監督下に置くことを提案している。さらに、特定の暗号資産が証券に該当するか、商品と定義されるかは、SECの裁定で決定されるとし、判断基準は基礎となるブロックチェーンがどれだけ分散化されているかによって決まるとされている。

アームストロング氏もツイート

コインベースのCEO兼共同創設者のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は6月7日のツイートにて、「明確なルールブックを発行する代わりに、強制執行による規制というアプローチをとっている」SECは「アメリカに害を及ぼしている」と指摘。

またアームストロング氏はフォロワーへ向けて「コインベースは仕事をやり遂げる。そして、業界としても前進し続けよう」と述べ、このツイートを「アメリカは最終的にこの問題を解決してくれるはずだ」と希望の言葉で結んでいる。

キャシー・ウッドがコインベースを支援

なおブルームバーグによれば、「ストックピッカー(優秀な銘柄選別者)」であるキャシー・ウッド(Cathie Wood)氏の旗艦ファンド「アーク・イノベーションETF」を含むアーク・インベストメント・マネジメントの3つのファンドが、コインベース株41万9324株を6月6日に買い増したという。

SECから提訴された6日、コインベースの株価は一時47.00ドルまで急落。執筆時点(2023年6月7日16:00)では51.61ドルまで回復している。

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参考:コインベースFinancial Services GOPブルームバーグ
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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