香港とUAEの中央銀行が金融協力、暗号資産規制やフィンテック分野で

両国間の金融協力強化へ

香港の実質的な中央銀行である香港金融管理局(HKMA)とアラブ首長国連邦中央銀行(CBUAE)が、両国の金融サービス部門間で協力強化する。HKMAが5月30日発表した。

発表によれば、両中央銀行はアブダビ時間の5月29日に二国間会合を開催したとのこと。

今回、協力強化の対象となったのは「金融インフラ」、「2つの管轄区域間の金融市場の接続」、「暗号資産(仮想通貨)の規制・開発」など3つの主要分野だという。

また両中央銀行は、フィンテックの共同開発イニシアチブと知識共有についても、それぞれのイノベーションハブ間で議論を行ったという。

今後、両地域の銀行セクターの関係者の支援のもと合意した構想を進めるために、両中央銀行主導による共同ワーキンググループが結成されるとのことだ。

また、両中央銀行は二国間会合の後、セミナーを開催。同セミナーへは、UAEからファースト・アブダビ銀行、アブダビ・イスラム銀行、エミレーツNBD、中国工商銀行、中国銀行、香港上海銀行(HSBC)、スタンダードチャータード銀行、香港からは、中国銀行、シティ(Citi)、香港上海銀行(HSBC)、スタンダードチャータード銀行が参加した。

セミナーでは、クロスボーダー貿易決済の改善方法や、UAEの企業が香港の金融インフラプラットフォームを活用し、アジアや本土市場にアクセスする方法、広東・香港・マカオ・グレーターベイエリア(大湾区)における金融・投資ソリューションと資本市場の機会などについて議論されたという。

HKMAのチーフエグゼクティブであるエディ・ユエ(Eddie Yue)氏は「香港とUAEは、補完しあう強みと相互利益を共有しており、両地の市場参加者が協力して接続性を高める余地は大いにある」とし、「近い将来、UAEの関係者が香港を訪問することを歓迎する」とコメントした。

個人投資家向けにVASPを許可した香港 

香港は、暗号資産取引所などの暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対する新たなライセンス制度を導入する法案を昨年12月7日に可決。法律は2023年6月1日から施行される。

これによりVASPは、香港証券先物委員会(SFC)にライセンスを申請する必要がある。

なおライセンス取得のための規制要件は既存制度のものに基づき、カストディ・KYC(本人確認)・サイバーセキュリティ・監査・リスクマネジメント・AMLなどの要件を含むものになっている。

SFCが申請プロセスを発表して以降、中国拠点の大手暗号資産取引所OKX(オーケーエックス)、グローバルに拠点を展開する暗号資産金融サービス事業者のアンバーグループ(Amber Group)、海外暗号資産取引所のフォビ(Huobi)などがライセンス申請を行っていた。

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参考:香港金融管理局
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Oleksii-Liskonih

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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