ビットコイン「Ordinals」の「BRC-20」、初のドル型ステーブルコイン「#USD」登場

「BRC-20」トークンにドル裏付けのステーブルコインが登場

イーサリアム(Ethereum)上で米ドルペッグのステーブルコイン「USDS(StableUSD)」を発行するステーブリー(Stably)が、トークン規格「BRC-20」を採用した初の米ドルペッグのステーブルコイン「#USD」を5月26日に公開した。

ステーブリーによると「#USD」トークンは、米国規制下のカストディアンが保有する担保口座にて保管されるドルと1:1で裏付けられており、いつでもドルに償還できるとのこと。またこの担保口座の月次報告書は第三者機関によって作成され、「#USD」トークンが常に米ドルで完全に担保されていることを保証するとのことだ。

なお現在「#USD」は、システムによる自動売買に対応していない。入手するにはステーブリーが提供する暗号資産売買プラットフォーム「ステーブリーランプ(Staby Ramp)」のアカウントを作成し、購入を申請する必要があるとのことだ。

「BRC-20」はビットコインネットワーク上の「SATOSHI(BTCの最小単位)」全てに個別のIDを割り振れるようにするプロトコル「オーディナルズ(Ordinals)」を使用することで実現したファンジブルトークン(FT)のトークン規格だ。

しかし「BRC-20」は、事前に定義されたコードを実行する「スマートコントラクト」を用いての送金に対応していない等の技術的な課題を含んでいることや、送金の際にビットコインネットワークを使用するため、取引数が大幅に増加し、取引手数料が急上昇してしまうことが問題視されている。

現在ビットコインネットワークでは、「BRC-20」を改善したトークン規格「ORC-20」が提案されている。同規格は適応性、拡張性、セキュリティを向上させながら柔軟性を強化することを目的としている。なお今回発表された「#USD」トークンも「ORC-20」の採用を検討していることが明らかになっている。

ちなみに「#USD」がビットコインネットワーク上で初のステーブルコインであると一部メディアで報道されているが、ビットコインネットワーク上のトークン発行プラットフォームのオムニ(OMNI)で、2014年にテザー社の米ドルステーブルコイン「USDT」が発行されている。

その他にもいくつかのステーブルコインがオムニなどのビットコイン上のプラットフォームに存在しているため、今回の「#USD」は「BRC-20」による初めてのステーブルコインであるものの、ビットコインネットワーク上では初のステーブルコインではないことに注意が必要だ。

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デザイン:一本寿和
images:iStocks/Cemile-Bingol

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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