Web3推進に意欲を見せる北京
中国の北京市がweb3に関するホワイトペーパーを公開。同市におけるweb3業界の発展を推進する意向のようだ。地元メディアの「ザ・ペーパー(The Paper)」が5月27日報じた。
その報道によれば、北京市科学技術委員会と中関村科学技術園(サイエンスパーク)管理委員会が、「北京インターネット3.0イノベーションと発展白書(2023年)」と題したホワイトペーパーを中国・中関村のフォーラムにて5月27日発表したという。ちなみに中関村は中国のシリコンバレーとも呼ばれる地域だ。
ホワイトペーパーでは、インターネット3.0(Web3)の意味や、システムアーキテクチャ、国内外の開発状況、北京の開発状況、開発提案などを体系的に分析・解説しているとのこと。
また同ホワイトペーパーではweb3技術が「現代の科学技術の中心であり、将来のインターネット産業の発展において不可避なトレンド」だと述べられているという。
また北京市の最大面積の市轄区(しかつく:中国大陸と台湾における都市の行政区画の一種)である朝陽区は、今年からweb3産業のエコシステム構築支援のために毎年1億元(約19.8億円)以上の特別資金を投資するとのことだ。朝陽区は2025年までに全国有数のweb3産業地区になることを目的としているという。
またホワイトペーパーでは、北京はweb3産業の振興のため、中国政府による政策的支援を強化し、技術的進歩及び共通プラットフォームの確立を加速させ、web3産業における優れたエコシステムを構築することを目指すと伝えられている。
CZも反応
世界最大の暗号資産取引所バイナンスのCEOであるチャンポン・ジオ(Changpeng Zhao:CZ)氏は、5月27日のツイートにて、北京市のweb3ホワイトペーパー発表のタイミングについて触れ「大変興味深い」とツイート。香港における新たな暗号資産規制が6月1日から始まることを引き合いに出し、ホワイトペーパーの発表を「予期せぬタイミング」と表現した。
暗号資産に友好的な香港と禁止の中国
香港証券先物委員会(SFC)は暗号資産交換業者(VASP)に対する新たな規制案を2月20日に発表。この規制案では「香港でビジネスを行う、または香港の投資家に積極的にマーケティングを行うすべての集中型暗号資産取引プラットフォーム」を対象とし、SFCの規制要件を満たしてライセンスを取得することが求められていた。
5月末には個人投資家保護のための措置を含めた新体制が発表。これにより香港の暗号資産規制は、すべての取引プラットフォーム及び取引所にライセンスの申請が義務付けられる形で6月1日より導入されることとなった。
一方で中国は、暗号資産に関連する活動を「違法」と位置付け、2021年に暗号資産の使用を禁止している。
また今年2月には、中国の科学技術省が「国家ブロックチェーン技術革新センター」の設立を承認。ブロックチェーンに関する技術上の革新的進歩を目指す動きが報道されていた。
Interesting timing on this Web 3.0 white paper from the Beijing government tech committee with the June 1st anticipation in Hong Kong. pic.twitter.com/0Ts1UB0jnL
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) May 27, 2023
関連ニュース
- 北京地下鉄、中国デジタル人民元を決済手段として本格稼働
- 仏BNPパリバと中国銀行が提携、中国デジタル人民元普及へ=報道
- 中国政府、ブロックチェーン研究センター設立を承認=報道
- 香港証券規制当局、ライセンス制度に個人投資家保護策を施す
- 中国人民銀ら、暗号資産関連活動を「違法」と位置付け
参考:ザ・ペーパー
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Earth-Trotter-Photos