個人投資家保護の観点から
香港の証券規制当局は、6月1日からデジタル資産企業に対する厳格な規則を導入するため、暗号資産(仮想通貨)ライセンス制度に個人投資家保護のための措置を含めると発表した。
暗号資産の小売取引を許可する香港の動きは、昨年起きた暗号資産取引所FTXの破綻により大きな打撃を受けた暗号資産分野の混乱の1年後にもたらされた。
新体制では、すべての取引プラットフォームと取引所にライセンスの申請が義務付けられている。なお、これに違反すると罰金や懲役刑が科されることになる。
証券先物取引委員会(SFC)の仲介部門暫定責任者であるキース・チョイ(Keith Choi)氏は5月23日の記者会見にて、暗号資産取引が禁止されている中国からの個人トレーダーを受け入れないように、オペレーターは顧客チェックを行う必要があると伝え、「事業者は、サービスを提供する法域の法律・規制を遵守する責任がある」と述べた。
SFCは2月に、デジタル資産取引に関するコンサルテーションを終了。同機関は、様々な投資家保護策を提案している。この提案には、合計で152件のパブリックコメントが寄せられた。
対策には、企業に個人投資家のエクスポージャーの上限を設定することを義務付ける他、発行から1年以上経過した流動性の高いトークンのみ個人取引を認めることなどが含まれる。
また新制度では、未認可プラットフォームからのサービスの販売も対策対象となる。
SFCのフィンテック部門の責任者であるエリザベス・ウォン(Elizabeth Wong)氏は、「認可されていないプラットフォームに関する広告を出すことは違反であり、(ソーシャルメディアのインフルエンサーが)香港の投資家に(これらのプラットフォームの)サービスを個人的に宣伝することも対象となる」と述べている。
証券監督者国際機構(IOSCO)は5月23日、暗号資産の規制に関する初のグローバルなアプローチを発表。IOSCOのこの取り組みは、昨年の大手暗号資産取引所FTXの破綻の教訓を生かし、消費者保護に対する懸念が高まったためである。
一方、一部の投資家は、ビットコインが5月24日に27,431ドル(約383万円)まで75%回復したことから、躊躇することなくビットコインを購入している。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Hong Kong regulator to issue crypto licences with retail investor guardrails By Georgina Lee
Reporting by Georgina Lee, Editing by Louise Heavens
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters