CFTC委員「すべての暗号資産詐欺を取り締まる方法はない」
米デリバティブ規制当局のトップが、「暗号資産(仮想通貨)に関する詐欺は非常に多い為、その全てを取り締まる方法はない」と5月23日述べた。
米国商品先物取引委員会(CFTC)の5名の委員のうちの一人であるクリスティ・ゴールドスミス・ロメロ(Christy Goldsmith Romero)氏は、暗号資産取引所バイナンス(Binance)やFTXに対する最近の民事訴訟を含め、暗号資産に関する事件が同委員会のポートフォリオの20%を占めていると述べた。
「この分野にはとにかく多くの詐欺が存在する」と同氏はニューヨーク市弁護士協会で開催されたホワイトカラー犯罪会議で述べ、「すべての詐欺を取り締まることはできないが、何かしなければならない」と発言した。
なおCFTCは米国内の先物取引の認可権を有しており、市場で流通する上場商品、金利またはデリバティブ全般を監督している。同組織は、委員長を含む5名の委員と委員長室、各業務運営部局で構成されている。
CFTCのロスティン・ベナム(Rostin Behnam)委員長は、暗号資産のスポット市場を監督するために、議員からより大きな権限を求めている。
ゴールドスミス・ロメロ委員は、暗号資産の規制をめぐってCFTCと証券取引委員会の間に「縄張り争い」があるという意見に反発した。しかし、この業界の製品の多くはまだ新しいものであり、両機関は「まだ理解に努めている」と同委員は認めた。
また彼女は「暗号資産関連企業はCFTCを、より懐の深いSECよりも友好的な規制当局である可能性があると見なすべきではない」とし、「なぜかCFTCが軽いタッチだという考え方は好きではない、軽いタッチの規制当局なんて、私の墓碑銘にはできませんよ」と話した。
今年3月、CFTCはバイナンスとその創業者でCEOのチャンポン・ジオ(Changpeng Zhao:CZ)氏を、偽のコンプライアンスプログラムを運用していた疑いで提訴した。
CZ氏はこの訴状について「不完全な事実の記述」と呼んでいる。
また倒産したFTXへのCFTCによる訴状では、FTXと創業者のサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)氏に対し「80億ドル以上の顧客資金を失わせた」として非難している。
なおバンクマン=フリード氏は、これに関連する米司法省からの刑事告発に対し、無罪を主張している。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
No way to police all cryptocurrency fraud, CFTC commissioner says
Reporting by Luc Cohen in New York; Editing by Cynthia Osterman
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters