リップルが暗号資産カストディ市場に参入、スイス「Metaco」を約344億円で買収

リップルがメタコ買収

米フィンテック企業のリップル(Ripple)社が、スイスのデジタル資産関連企業メタコ(METACO)の買収に合意したことを5月17日発表した。

発表によると買収額は2.5億ドル(約344.6億円)。この買収によりリップル社は、メタコの単独株主になるとのこと。

メタコは、デジタル資産のカストディ技術およびトークン化技術を提供する企業。

同社ではデジタル資産カストディ及びオーケストレーション(管理の自動化)サービス「ハーモナイズ(Harmonize)」を主力商品として取り扱っている。なお同商品はスイスの他、ドイツ、トルコ、フランス、英国、米国、シンガポール、オーストラリア、香港、フィリピンなどで提供されており、欧州のメガバンクBNPバリパやドイツで資産規模第2位の銀行であるDZ銀行(DZ Bank)など、世界のカストディアンや大手銀行、金融機関、企業に採用されている。

今回のメタコ買収によりリップル社は、エンタープライズ向けサービスを拡大し、あらゆる種類のトークン化された資産を管理、発行、決済を行う技術を顧客に提供していくとのことだ。

なおメタコはリップル社より独立したブランドおよび事業部門として、引き続き創業者のエイドリアン・トレッカーニ(Adrien Treccani)氏が運営を率いていくとのことだ。

リップル社は今回の買収について「暗号資産カストディ市場への参入は、リップルのビジネスおよび製品戦略における重要なマイルストーンであり、リップルのビジネスにおける新たな収益機会をもたらします」と述べている。

またリップルのCEOであるブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は「メタコは、卓越した経営管理能力と優れた顧客実績を持つ、エンタープライズ向けのデジタル資産管理における確立されたリーダーです。リップルは、バランスシートと力強い財務基盤を武器に、暗号資産インフラ構築に重要な分野に投資を続けます。当社の製品群の拡充とグローバルビジネスの拡大において、メタコの統合は非常に大きな一歩です」とコメントしている。

なお「あたらしい経済」編集部は、リップル社のコーポレート戦略担当VPである吉川絵美氏へ今後のカストディ市場の展望についてコメントを求めている。コメントが得られ次第この記事に追記させていただく予定だ。

以下2023.5.19 11:57追記

リップル社 コーポレート戦略担当VP 吉川絵美氏のコメント

「あたらしい経済」編集部は、リップル社のコーポレート戦略担当VPである吉川絵美氏より、今後のカストディ市場の展望について以下のコメントを得た。

Metacoのデジタル資産カストディ技術及びトークン化技術における強みを活かし、日本を含む全世界へソリューション提供を拡大していく予定です。

Metacoとリップルのリソースを活用することで、デジタル資産カストディの利便性と安全性を提供し、金融機関や事業会社によるデジタル資産の導入を促進することができると確信しています。

日本では特に大企業によるWeb3への関心が高まっていますが、グローバルな実績と知見に裏付けられたエンタープライズグレードのソリューションを武器に、日本における様々なニーズに対応していきたいと考えています。

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参考:リップル社
デザイン:一本寿和
images:iStocks/LumerB

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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