逃亡の意欲を失わせるのに十分な効果
モンテネグロの裁判所は5月12日、米国で数十億ドル規模の詐欺罪で起訴された暗号資産(仮想通貨)起業家のド・クオン(Do Kwon)氏を40万ユーロ(約5901.4万円)で、監督付き保釈することで同意したという。
韓国籍のクオン氏は、2022年5月に暗号資産市場を動揺させたステーブルコイン「テラUSD:TerraUSD(UST)」を運営する韓国拠点のテラフォームラボ(Terraform Labs)の元CEOである。
今年3月にクオン氏がモンテネグロで逮捕された後、マンハッタンの米国地方裁判所はクオン氏に対する証券詐欺、電信詐欺、商品詐欺、陰謀の罪となる8つの起訴状を公開した。
クオン氏は、テラフォームラボの元債務担当であるホン・チャンジュン(Hon Chang Joon)氏とともに拘束されており、チャンジュン氏もクオン氏と同じく40万ユーロ(約5901.4万円)の保釈金で釈放される予定だ。2人は偽造パスポートを使用したとして公文書偽証の罪で起訴され、モンテネグロの首都ポドゴリツァの裁判所は、2人を30日間の公判前勾留とするよう命じた。
ポドゴリツァの簡易裁判所は声明で、2人の被告は自宅軟禁のまま警察による監督を受けることになると述べている。なお「裁判所は、両者がそれぞれ40万ユーロ(約5901.4万円)の保釈金を支払う可能性があるため、逃亡の意欲を失わせるのに十分な効果があると判断した」とも述べられている。
また声明によれば、5月11日の公聴会で、モンテネグロの検察官が告発した件について、被告人はいかなる不正行為も否定。裁判所に対し、数百万ドル相当の財産があり、保釈金は被告の妻が支払うと述べたという。しかし検察は「クォン氏に逃亡の危険がないという保証はない」とし、保釈案に反対した。
次回公判期日は6月16日。保釈決定に不服のある当事者は、3日以内に控訴できるとのことだ。
モンテネグロ警察は3月、ポドゴリツァ空港でドバイ行きの飛行機に乗ろうとしたクオン氏とチャンジュン氏を逮捕。警察はその後、2人の荷物からコスタリカのパスポート、ベルギーのパスポート、ノートパソコンなどを発見したという。
韓国と米国の当局は、クオン氏とチャンジュン氏の身柄とコンピュータの引き渡しを要請している。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Montenegro court releases crypto entrepreneur Do Kwon on bail BELGRADE
Reporting by Aleksandar Vasovic; Editing by Kirsten Donovan
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters