三菱UFJ信託とデータチェーン、ステーブルコインによるデジタル証券のクロスチェーン決済による技術検証に成功

三菱UFJ信託とデータチェーンが「デジタル証券のクロスチェーン決済」の技術検証に成功

三菱UFJ信託銀行とDatachain(データチェーン)が、「デジタル証券のクロスチェーン決済」における第1ステップの技術検証に成功したことを4月27日発表した。

その発表によると今回の技術検証では、ステーブルコイン発行・管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」のブロックチェーン層の1つである「Corda(コルダ)」と、「Progmat」以外のデジタル証券を扱うブロックチェーン基盤を想定した「GoQuorum(ゴークオーラム)」を相互接続し、両ブロックチェーン上のトークンの同時移転を実現したとのこと。

なお「コルダ」は、企業間取引での利用に特化したブロックチェーン。米R3社が開発している。また「ゴークオーラム」はイーサリアムをベースとした企業向けのブロックチェーンである。

今回の技術検証では具体的に、「拡張性の高いトラストレスなブロックチェーン間相互検証」と「異なるブロックチェーン基盤上におけるトークンの同時移転」を行ったという。

その検証の結果、「コルダ」と「ゴークオーラム」という異なるブロックチェーン基盤間で、高い拡張性とトラストレスな構造を有した上で、それぞれのブロックチェーン上のステーブルコインとデジタル証券の同時移転が可能であることが確認されたとのことだ。

なお今回の技術検証では、ブロックチェーン間の通信プロトコルである「IBC」や、安全性に加えて効率性・拡張性に優れたブロックチェーン間の相互接続を可能にする「ミドルウェアLCP」を用いたとのこと。

また「Progmat Coin」基盤を用いたクロスチェーンの取り組みとしては、ステーブルコインとデジタル証券のDVP(Delivery Versus Payment)決済、ステーブルコイン同士あるいはステーブルコインと地域デジタル通貨等のPVP(Payment Versus Payment)決済の双方があるが、今回の技術検証では前者のDVP決済に関する取り組みとのことだ。

三菱UFJ信託銀行とデータチェーンは、R3や関連する証券会社等とも連携を深めながら、「Progmat Coin」基盤を用いた各種ステーブルコインの2024年商用化に向けて、引き続き取り組みを推進していくとしている。

「Progmat Coin」基盤を用いた各種ステーブルコインは、2023年の改正資金決済法施行を踏まえ、取り扱う仲介業者がライセンス登録を完了し次第、発行・流通が可能になる予定とのことだ。

三菱UFJ信託銀行およびデータチェーンは2022年10月より共同で、「Progmat Coin(プログマコイン)」における複数のST(セキュリティトークン/証券トークン)基盤とのクロスチェーン実現に向けた技術検証を開始していた。

また両社は昨年3月、オープンソースブロックチェーン基盤「Hyperledger Iroha(ハイパーレジャーイロハ)」の開発に貢献するソラミツと技術提携を開始。同3社は、国内で発行が予定される多種多様なステーブルコイン間の滑らかな相互移転・交換の実現に向け、「ハイパーレジャーイロハ」を用いて地方銀行等が検討を進める地域デジタル通貨等を想定した実証を行った。

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参考:三菱UFJ信託
デザイン:一本寿和
images:iStocks/metamorworks

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。