自民党web3PT、新たに「web3推進に向けた政策提言」を公開

自民党web3PTが「web3ホワイトペーパー」公開

自民党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチーム(PT)が「web3ホワイトペーパー~誰もがデジタル資産を利活用する時代へ~」をとりまとめ、その内容を4月6日に公開した。

なお同PTにおいては昨年3月、web3に関する初めての政策提言「NFTホワイトペーパー 〜Web3.0 時代を見据えたわが国のNFT戦略」をとりまとめていた。その際の提言は、岸田政権の「骨太方針2022」でのweb3の推進を謳うことになり、関係省庁でweb3関係チームやプロジェクトが立ち上がるきっかけとなっていた。

今回、2023年の「web3ホワイトペーパー」では、「事業遂行上のボトルネックとなっており直ちに解決に向けて取り組む論点(web3の推進に向けてただちに対処すべき論点)」、「web3エコシステムが発展し広く普及することを見据えて今から議論を開始・深化すべき論点(web3のさらなる発展を見据え議論を開始・深化すべき論点)」、「NFTホワイトペーパー提言の進捗モニタリング」の3部構成となっている。

この記事では、この提言において挙げられた「web3の推進に向けてただちに対処すべき論点」についての一部要点をまとめる。

「web3の推進に向けてただちに対処すべき論点」で挙げられたテーマ

「web3の推進に向けてただちに対処すべき論点」のテーマについては次の9つが挙げられている。

・国際的なルール策定
・税制改正
・監査機会の確保
・DAO(自律分散型組織)
・各種トークンの審査・発行・流通
・消費者保護
・金融機関のweb3参入
・NFTビジネス
・投資ビークル・スキームの多様化

「税制改正」について

法人保有のトークンを期末時価評価課税の対象から除外する方針が令和5年度税制改正で示された。しかしその一方で、「他社発行の保有トークンに関する課税課題が残る」と指摘。「保有する他社のトークンの期末時価評価課税から短期売買目的でないものを除外し、取得原価で評価するべき」とし、「今年確実に実現すべき」と提言している。

また投資家が関わる「税制改正」については、

・暗号資産の取引に係る損益を申告分離課税の対象とすること
・暗号資産に係る損失の所得金額からの繰越控除(翌年以降3年間)を認めること
・暗号資産デリバティブ取引も同様に申告分離課税の対象にすること
・暗号資産取引に関する損益は、暗号資産同士を交換したタイミングでは課税せず、保有する暗号資産を法定通貨に交換した時点でまとめて課税対象とすること

の4点が検討されるべきであると提言されている。

「監査機会の確保」について

「監査機会の確保」については、「web3ビジネス監査の事例は存在するものの、依然としてweb3企業の会計・監査の体制整備が遅れ、監査を受けられないとの不満がある」と問題提起。

それについて「企業会計基準委員会において会計処理基準の整備、ガイドラインの策定などを急ぐべき」とし、「本年1月からはじまった日本公認会計士協会と業界の勉強会を関係省庁も適宜後押しし、情報共有や必要なガイドライン策定等の取り組みを進めるべき」と提言している。

「DAO」について

DAOについては、「合同会社をベースにLLC型のDAO特別法を制定し、会社法上の規律や金融商品取引法上の規律を一部変更して適用する」ことが提言されており、これについて「早急な法制化を目指し、議員立法も検討すべき」とした。

「各種トークンの審査・発行・流通」について

政府令やガイドラインの改正案により、電子決済手段取引業者がパーミッションレス型ステーブルコインを扱えるようになった。

これについては「今後ステーブルコインが実際に発行・流通し、様々なビジネスが生まれるよう、登録審査のための環境整備を迅速に行うことが重要」とした。また「業界はコンプライアンスを遵守した運営を可能にするための自主規制団体を設立し、規則等を制定すべき」と提言されている。

またセキュリティトークン(証券トークン/デジタル証券)については、「PTS(私設取引システム)でのセキュリティトークンの円滑な取引開始に向け、日本証券業協会及びSTO協会における自主規制規則の策定等の取組みを進めるべき」と提言。

これについては「今後、セキュリティトークン市場の発展に向け、税務手続きを含めた税制面の取扱いについても検討が進められることが必要」などと提言がされている。

「web3の発展を見据えて議論を開始・深化すべき論点」

なお本提言の3部構成における「web3の発展を見据えて議論を開始・深化すべき論点」では、以下のテーマが取り上げられている。

・デジタル資産の私法上の取り扱い
・web3コンテンツの海外展開支援
・web3事業ライセンス
・安心安全な利用環境
・アンホステッド・ウォレット
・自治体支援
・ML/FT対策
・投資DAO
・メタバース

詳細は以下参照。

・web3ホワイトペーパー ~ 誰もがデジタル資産を利活用する時代へ ~(要旨)はこちら

・web3ホワイトペーパー ~ 誰もがデジタル資産を利活用する時代へ ~はこちら

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参考:平将明公式サイト
デザイン:一本寿和
images:iStocks/oasis2me

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。