アービトラム(ARB)初のガバナンス実施、財団の動きに反対意見多数

アービトラムで初めてのガバナンスが実施

イーサリアム(Ethereum)のL2スケーリングソリューション「アービトラム(Arbitrum)」における初めてのガバナンス投票「AIP-1」がアービトラム財団の提案により3月28日開始された。なおAIPは「Arbitrum Improvement Proposal:アービトラム改善提案」の略である。

「AIP」は、アービトラムを運営する分散型自律組織(DAO)「アービトラムDAO」の構造を決定するもので、DAOでの憲法にあたる「コンスティテューション(Constitution)」を同組織に組み込む提案である。

投票は分散型ガバナンスプラットフォーム「スナップショット(snapshot)」で実施されており、ガバナンストークンARBの保有数に応じて投票力が与えられている。

なおARBは先日発行されたばかりの「アービトラム」のガバナンストークンであり、総供給量は100億枚である。また3月23日には総供給量の12.75パーセントをエアドロップとしてユーザーとDAOに対して配布を行った。

今回投票が行われた「AIP-1」では、7.5億ARB(総供給量の7.5%)を「アービトラム」を支援する非営利団体アービトラム財団(Arbitrum Foundation)の管理するウォレットに送付し、グラント(助成金)や初期費用などの経営管理費用に利用するといった内容だった。

これについてアービトラムのDAOは、使用使途が不透明であること、財団の構成人数が不明確であること、ウォレット管理のセキュリティ上の懸念があるとして過半数以上の反対票を投じている。

しかし投票期間が終わった際に結果に応じるべきであるはずのアービトラム財団は、すでにアービトラムから与えられた5000万ARBを利用したことをツイッターにて4月3日に発表。そのうち1000万枚を売却して運営資金に割り当てるため売却する決定もしている。

これに対し財団は、コミュニティ内外から多くの懸念の声を集めた。ただし財団はこれにとどまらず、フォーラムにて「AIP-1」自体が「批准(確定的な同意)」であったと内容を改めており、より一層の批判をコミュニティから集めることになった。

DAOとして最多のARBを獲得した「TreasureDAO」も「AIP-1」に対して反対票を投じたことを発表しており、アービトラム財団に対して詳細な情報の提供と「AIP-1」の内容の分割を要求した。

その後このような流れを受けてアービトラム財団は、「AIP-1」を分割して再度投票を開始することや、予定されていなかったアービトラム財団へのトークンの送信と資金の透明性について情報を提供すると発表した。

なお投票については本日終了する予定だ。

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参考:フォーラム
デザイン:一本寿和
images:iStocks/SB・Rawpixel

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属 格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。 SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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