米サークルがUSDC準備金の安全性について発表、シリコンバレー銀行破綻影響懸念受け

サークル、USDC準備金の安全性について発表

米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」を発行する米サークル(Circle Internet Financial)が、シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank:SVB)経営破綻に伴うUSDCの準備金不足分を企業リソースで補う予定のようだ。サークルが3月11日の声明にて発表した。

サークルは、USDCの準備金の約7.8%となる33億ドル(約4416億円)をSVBへ預けており、SVBが10日にカルフォルニア州金融保護イノベーション局(DFPI)より閉鎖を命じられたことにより、準備金が不足する事態となっていた。なおこれに伴い米ドルに価値がペッグ(固定)するUSDCの価格は、一時0.88ドルまでディペッグしていた。

発表によればUSDCの流動性運用は、米国時間で13日月曜日朝の銀行営業開始と同時に通常通り再開されるという。それ以降USDCは引き続き米ドルとの1:1の交換が可能だとのことだ。

サークルは準備金の内訳を、77%(324億ドル/約4兆3357億円)を米国財務省証券(償還期間3ヶ月以内)、23%(97億ドル/約1兆2980億円)をSVBを含む様々な金融機関で保有する現金で担保されていると説明。 「米国財務省証券は世界で最も流動性の高い資産であり、米国政府の直接債務」だとし、安全性を強調した。なお米国財務省証券はバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNY MELLON)にて保管していると伝えられている。

またサークルは、SVBへ預けたままになっている準備金についても言及。3月9日時点で他の銀行へ資金の移管を開始したが、3月10日の営業終了時点では処理されていなかったとのこと。これについては連邦預金保険公社(FDIC)によるSVBの状況管理に期待しているとした。なおサークルCEOのジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏のツイッターによる声明によると、SVBに預けている資金については、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンへ移管をする予定だと説明されている。

またサークルは、SVBが管財人制度に入る前に行われた送金は、通常通り処理されたと考えているようだ。「FDICが破綻した金融機関を管理するまでの間、銀行の標準的な日次処理サイクルが終了するまでは、通常通りの取引決済することを許可すべき」とし、「私たちは、FDICが現在、適用される管財人のカットオフタイム(決済の締め切り時間)以前に開始された取引の状況を判断していると理解しており、木曜日に開始された送金は月曜日に処理される可能性もある」としている。

その一方で、「FDICが預金者に対して借用証書(=管財人証書)の発行や繰上配当を行うため」、SVBへの預金が100%戻るとは限らず、戻るとしても時間を要する場合があると伝えた。その場合サークルは、「ストアード・バリュー・マネー伝送規制の法律で義務付けられている通り、不足分を企業リソースでカバーし、必要に応じて外部資本を導入する予定」だと説明している。

連邦政府介入も

その後現地時間12日18:15に米国連邦準備制度理事会(FRB)・米財務省・FDICは共同声明を発表。SVBおよび同日経営破綻となったシグネチャー銀行(Signature Bank)の預金者に対し預金へのアクセスが出来るよう措置を講じた。

なおこの決定はジョー・バイデン(Joe Biden)大統領との協議の上、行われたという。今回の決議により「米国納税者が損失を負担することはない」と述べられている。

これを受けてビットコインなどの暗号資産の価格は上昇。USDCも米ドル等価に近い水準まで回復している。

またサークルCEOのジェレミー・アレール氏は自身のTwitterで「SVB からの預金は100%安全であり、明日の銀行営業開始時に利用できるようになる」と報告している。

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参考:サークルFRB
デザイン:一本寿和

images:iStocks/Who_I_am

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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