メルコインが暗号資産交換業開始
フリマアプリ「メルカリ」内で、ビットコイン(BTC)の売買ができる新サービスが開始された。メルカリの子会社で暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うメルコインが3月9日発表した。
メルコインは昨年6月に暗号資産交換業者の登録を完了していた。今回の新サービス開始により同社は暗号資産交換業を開始することになった。
今回の新サービスは、メルカリでの売上金や残高・ポイントでビットコインが購入できるとのこと。購入は1円から対応しているという。
またアプリ内でビットコインの売却も可能とのことで、売却により得た日本円残高でメルカリにて買い物もできるとのことだ。
同サービス利用については、メルカリアプリから最短30秒の申し込みをすることで可能になるという。ただし現状で全ユーザーがサービス利用できるわけでなく、段階的に申込み・利用が可能になるとのこと。「あたらしい経済」編集部が広報担当者へ確認を取ったところ、利用可能になるユーザーはランダムで選定され、1か月を目途に対応完了するとのことだ。
またアプリではマイページから、保有ビットコインの評価額や価格変動の確認が可能となっている。なお今回のサービスはライト層を意識したものとなっており、保有ビットコインのBTC数は表示されず日本円の評価額のみが表示されるようになっている。
またメルコインでは、ビットコインの取引規模に応じてカーボン・オフセットを行い、暗号資産事業におけるCO2排出量を削減する取り組みを実施するとしている。
記者会見の模様
「あたらしい経済」編集部は、発表当日11:00より開催された新サービスの記者向け発表会に参加。会場にて新サービスについて取材を行った。
なお発表会には株式会社メルカリの執行役員CEO FinTech兼株式会社メルペイ代表取締役CEOの山本真人氏および株式会社メルコインのCPOである中村奎太氏が登壇した。
発表ではまず中村氏がブロックチェーン・暗号資産の現状と新サービスについて説明。次に山本氏が登壇し、今回の新サービス開始の事業背景を語った。
山本氏は「メルカリが提供する価値の循環のサイクルに暗号資産という新しい価値が追加されたことなりました。メルカリを使っていただいている多くのお客様にこのサービスを提供していくことにより、これまで暗号資産の取引に馴染みのなかった多くの方にユーザーにビットコインをより身近にしていきたい。新しいテクノロジーを活用した新しい世界の入り口にメルカリとしてなっていきたいと考えています」とコメントした。
山本氏は、テクノロジーの未来・ブロックチェーンの可能性を信じるメルカリとして国内における暗号資産保有者が少ないことは課題であるとし、国内の暗号資産保有者の640万口座中370万口座がアクティブとされているなかで、インターネットの証券取引口座数は3900万口座であることから、その数は非常に限定的だと説明した。
山本氏によると、メルカリの累計約4800万のユーザー、そしてそのユーザーの年間1兆円にのぼる売り上げ金が暗号資産領域に入ることになるとのことだ。
続いて今回の新サービスについての質疑応答が行われた。
新サービスにおいてビットコインの入出庫(外部ウォレットへの送金等)は現状対応していないとのこと。中村氏は「基本的にメルカリ内で取引をして、購入したビットコインを売上金に戻して利用することを想定しています。ライト層にまずは使ってもらいたいため、入出庫の検討は進めているが、現時点ではまずメルカリで暗号資産に交換するという体験を優先しました」と説明した。
そしてビットコインの売買についてはスプレッド(購入価格と売却価格の差)が設定されているという。売買共に1%になるとのことだ。
またビットコイン以外の暗号資産の取り扱いの可能性については、2通貨以上あるとユーザーが混乱するというUXリサーチにて調査結果で出ているとのことで、「利用状況やユーザーの声によって検討は進めたい」と中村氏は述べた。
また確定申告への対応のため、月間報告書を出す予定とのことだった。
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参考:メルコイン