シルバーゲートが銀行業務を精算、事業縮小へ

シルバーゲートが銀行事業を清算

シルバーゲート銀行運営のシルバーゲート・キャピタルが、銀行事業を清算し、事業縮小すると3月8日発表した。

発表によると、最近の業界や規制の動向を鑑み、銀行縮小及び自主的な精算を決定したという。また今回の計画には顧客預金の全額返済も含まれる。

現在同社は、債権を解決し、独自技術や税金資産を含む資産の残存価値を維持するための最善の方法を検討しているとのことだ。

なおシルバーゲート銀行は3月3日、口座間で預金送金が行える独自の決済ネットワーク「シルバーゲート・エクスチェンジ・ネットワーク(SEN)」の廃止も発表。この他の預金関連サービスはまだ利用可能だとしているが、今後変更がある場合は随時発表するとのことだ。

シルバーゲートの状況

シルバーゲートは現在、資本問題に直面している最中だ。

シルバーゲート銀行は現在、複数の暗号資産(仮想通貨)関連企業から続々と取引停止されている。これは、シルバーゲートが米証券取引委員会(SEC)へ年次報告書「Form 10-k」の提出を延期したことを受け、業界内でシルバーゲートに対する信頼が揺らいだためだ。これらの出来事により、シルバーゲート・キャピタルの株価は急落している。

シルバーゲートの信用が揺らいだ原因

シルバーゲートは1月に、大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破綻にリスクを感じた投資家が2022年10~12月の期間でシルバーゲートから80億ドル(約1.4兆円)以上の預金を引き揚げたと報告。その後同社は第4四半期の純損失として10億ドル(約1309.5億円)を計上している。

またシルバーゲートは、倒産した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXおよびアラメダリサーチ(Alameda Research)との取引に関して、ワシントン連邦検察の調査対象となってることが2月に報道されている。

報道によるとFTXの創設者であるサムバンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried:SBF)氏のビジネスに関連する口座およびアカウントをシルバーゲートが提供していたことについて調査されているとのことだ。

昨年12月、米上院議員のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)氏とティナ・スミス(Tina Smith)氏が金融規制当局へ送った、暗号業界が銀行へ与えるリスクを問う文書では「暗号顧客に大きく依存した銀行」としてシルバーゲートが引用されていた。

ウォーレン氏は3月9日、自身のツイッターにてシルバーゲートについて触れ「暗号を扱う銀行として、シルバーゲート銀行の失敗は残念だが、予想できたこと。私は、シルバーゲートが違法ではないにせよ、危険な活動をしていることを警告し、深刻なデューデリジェンスの失敗を指摘した。顧客は救済されなければならないし、規制当局も暗号リスクに対して立ち上がるべきである」と述べている。

サム・バンクマンフリード氏が米検察当局に起訴されて以降、米議会では暗号資産業界の規制強化の機運が高まっていた。

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デザイン:一本寿和
images:iStock/Vlad-Kochelaevskiy

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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