「NBA Top Shot」モーメントNFTは有価証券と判決、NY南部地裁

NY地裁が「NBA Top Shot」NFTを有価証券と判断

ダッパーラボ(Dapper Labs)が発売するNFT「NBA Top Shot Moments」を有価証券だとする判決が米ニューヨーク州南部地裁で下された。同地裁へ2月22日提出された裁判書類で明らかとなった。

「NBA Top Shot Moments」は、米プロバスケットボールリーグNBAを題材にしたブロックチェーンゲーム「NBA Top Shot」にて発行されたNFTだ。NBA選手のプレー動画などをNFTに紐づけて発行されたNFTカードパックは、発売後すぐに完売するなど話題を呼んだ。現在のNFTブームの火付け役となったNFTプロジェクトと言ってもいい。

この裁判は、ゲイリー・ルイス(Gary Leuis)氏を筆頭とした原告団が、ダッパーラボ社及び同社CEOロハム・ガレゴズロウ(Roham Gharegozlou)氏に対して起こした集団訴訟だ。原告らは、ダッパーラボが「NBA Top Shot Moments」を米証券取引委員会(SEC)に登録せず販売したことが証券法に違反したとして訴えを2021年から起こしていた。一方ダッパーラボは、これらの訴えを棄却するよう裁判所へ求めていた。

地裁のヴィクター・マレオ(Victor Marreo)裁判官はダッパーラボの訴えを却下。その上で裁判の続行も許可している。そしてこの判決に対応するために、ダッパーラボへは21日間の猶予が与えられた。

ダッパーラボの広報担当者はコインテレグラフの取材に対し、現状は最終判決でないこと、そしてこれまで裁判所は芸術品やバスケットボール・カードのようなコレクティブルを含む消費財が連邦法上の有価証券ではないと繰り返し判断してきたと主張。「NBA Top Shot Moments」やその他のコレクティブも、それらのような消費財であるとの見解を示している。

判決理由について

今回の判決は、ハウィーテスト(Howey test)に沿って検討されている。ハウィーテストは、米国において特定の取引が、証券取引の定義の一つである「投資契約」に該当するかどうかを判定するテストだ。

裁判書類によれば、「ダッパーラボが提供したものがハウィーテスト下で投資契約であったという裁判所の結論は狭義であり、提供・販売したNFTすべてが証券になるわけではなく、各スキームはケースバイケースで評価されなければならない」としたうえで、「(今回の場合は)むしろ、ダッパーラボが提供する『NBA Top Shot Moments』が、投資家とプロモーターの間に投資契約を成立させるに十分な法的関係を生み出している。これはハウィーテストのもとでは証券となる」と判断されている。

具体的にはNFT販売の際に行った宣伝方法でNFTの価値が高まることを示唆したことや、NFTモーメントがダッパーラボの独自プライベートチェーン「Flow」で発行されていたことなどがその理由として挙げられている。

NFTとは

「NFT(Non Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)」とは、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンを指す。NFTの規格で発行されたトークンは、そのトークン1つ1つで個別の価値を持つ。そのためNFTを画像や映像などのデジタルデータと紐付けることで、デジタルデータの個別の価値を表現することに活用されている。

なおNFTという言葉は現在幅広く活用されており、活用するブロックチェーンやマーケットプレイスの種類によって、その機能や表現できる価値が異なる可能性があることには留意が必要だ。

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参考:裁判資料
デザイン:一本寿和

images:iStocks/Lazartivan

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者