パクソスと米SECが「BUSD」について建設的な議論か
米ドルステーブルコイン「バイナンス USD(BUSD)」の有価証券性について、パクソス(Paxos)と米証券取引委員会(SEC)が協議中であるとロイターが2月22日報じた。このことはパクソスCEOのチャールズ・カスカリラ(Charles Cascarilla)氏が社内向けに送信したメールから明らかになったとのこと。
報道によるとカスカリラ氏は米SECと「BUSD」について「建設的な議論」を行っているとのことだ。
「BUSD」は、米ドル(USD)と1:1の比率で価値を維持(ペッグ)しているステーブルコインだ。大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)がパクソスとの協力により2019年から発行開始しており、ステーブルコインの時価総額では、同じく米ドルペッグのステーブルコイン「USDT」と「USDC」に続き第3位となっている。なおパクソスによる「BUSD」の新規発行は2月21日に停止する予定だ。
パクソスは2月13日、米SECからの「BUSDが証券であり、パクソスは連邦証券法に基づきBUSDの募集時に証券として登録すべきだった」という主張のもと、SECから強制措置への移行準備通知である「ウェルズ・ノーティス(Wells Notice)」を2月3日に受け取り、BUSD発行停止命令を受けたと発表。
これについてパクソスは「BUSDは連邦証券法に基づく有価証券に該当しないため、パクソスはSECに断固として同意しない」と反対意見を主張していた。
ロイターによるとカスカリラ氏はメールのなかで、「BUSD」が証券ではないというパクソスの主張は依然崩さず、訴訟によってその立場を明らかにすると述べていたとのこと。
またパクソスは2月13日に、ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)からもBUSDの発行停止命令を受け、「NYDFSの指示に従い、2月21日をもってBUSDの新規発行を停止し、BUSDに関するバイナンス(Binance)との関係性も解消する」と発表している。
これについて今回の報道によると、このバイナンスとの関係解消は、SECとの「BUSD」の有価証券性をめぐる協議やNYDFSからの「BUSD」発行停止命令とは別の理由があるとしており、「市場の状況によりバイナンスとの関係が優先事項ではなくなった」とカスカリラ氏は述べているとのことだ。
なお「BUSD」の新規発行は停止されるが、すでに発行された「BUSD」の償還や準備金の管理は今後も継続してパクソスが担当するとのこと。少なくとも2024年2月まではパクソスが「BUSD」の償還をサポートするとのことだ。
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参考:ロイター
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