米SEC、テラフォームラボと創業者ド・クウォン氏を証券詐欺で提訴

SECがテラ創業者クウォン氏を提訴

米証券取引委員会(SEC)が、昨年5月に暴落した暗号資産(仮想通貨)「テラ:Terra(LUNA:ルナ)」と「テラUSD:TerraUSD(UST)」を運営するテラフォームラボ(Terraform Labs)とその創業者ド・クウォン(DoKwon)氏を証券詐欺指揮の罪で提訴した。SECが、ニューヨーク南部地裁へ提出した訴状を引用する形で2月16日発表した。

訴状によると、テラフォームラボとクウォン氏は投資家らに対し、暗号資産証券を販売する際に暗号資産の価値が上がると繰り返し主張していたという。例としてテラフォームラボおよびクウォン氏は、USTを「利回り向上型」のステーブルコインとして宣伝・販売し、アンカープロトコルを通じて20%の利息を払うと宣伝したという。

またルナのマーケティング活動の中で、韓国の人気モバイル決済アプリケーション「Chai」の取引決済へテラブロックチェーンが使用されているかのように見せかけ、さもルナの価値が上がるかのように投資家らを欺いたとして申し立てている。なお実際には、「Chai」の決済へテラフォームブロックチェーンは使われていなかったとのこと

SEC議長のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏は「ルナとテラUSDにおいて最も重要かつ多くの暗号資産証券に必要な、安全・公正かつ真実の開示を公衆に提供しなかったことについてテラフォームラボおよびクウォン氏を申し立てる」とし、「暴落以前、彼らは投資家と信頼を築くために虚偽と誤解を招く発言を繰り返すことで詐欺を犯した」と主張している。

SECの執行部門ディレクターであるガービア・S・グレワル(Gurbir S. Grewal)氏は「私たちの訴状で主張されているように、テラフォームのエコシステムは分散型でも金融でもありません。それは、いわゆるアルゴリズム型ステーブルコインを用いた単なる詐欺であり、その価格はコードではなく、被告によってコントロールされていたのだ」と述べている。

テラUSDは、法定通貨の価格に連動する「ステーブルコイン」としてかつては世界の暗号資産上位10位内に入っていたが、昨年5月に1米ドル=1テラUSDのペッグが崩壊し暴落。USTやLUNAなどの暗号資産が無価値となり、世界の投資家の間で総額420億ドルの損失が発生したとの試算もある。

なお現在テラフォームラボはシンガポールに拠点を移している。クウォン氏は、昨年8月の暗号資産関連メディアプラットフォーム、コイネージとのインタビューで、シンガポールに居を移したことについて、家族の安全のためで、当局の捜査逃れが目的でないと述べていた。

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参考:米証券取引委員会(SEC)訴状 
デザイン:一本寿和
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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