デジタル通貨「DCJPY」で再エネのファイナンス実証実験へ、エナリス・東京都・三井住友銀・ディーカレットら

ブロックチェーン活用の「サステナビリティリンクローン」実証実験へ

デジタル通貨事業を行うディーカレットDCPが事務局を務める「デジタル通貨フォーラム」において、デジタル通貨「DCJPY(仮称)」活用のファイナンス実証実験が行われることが2月15日に発表された。

ブロックチェーンでの再生可能エネルギーの取引で発生する決済において「DCJPY」を活用する他、「DCJPY」での貸付「サスティナビリティ・リンク・ローン」を行うファイナンスサービスの実証実験になるとのこと。

なお同実証実験は、再生可能エネルギーの取引データや発電所のスコアリングレポートを活用し、再生可能エネルギーの利用実績に応じて企業の融資優遇を行うことで、環境に配慮された発電所の再生可能エネルギーの利用および企業自らの主体的な脱炭素行動を促進することが目的だ。

実証実験への参加団体は「デジタル通貨フォーラム」の電力取引分科会 サブグループBに所属するディーカレット(事務局)、エナリス(幹事)、東京都、三井住友銀行の4つである。

取引データの管理にはエナリスが開発した電力取引プラットフォーム(ブロックチェーン)が利用され、各取引における決済にはディーカレット発行のデジタル通貨「DCJPY」が利用されるとのこと。

実証実験の詳細は以下の通り。

まず企業(電力需要側)は再生可能エネルギーの利用を含むサステナビリティ目標(SPTs)を設定し、それを電力取引プラットフォーム(ブロックチェーン)に記録する。

さらに企業がどの発電所からどれくらい再生可能エネルギーを購入したかを示す「電力取引データ」と、各発電所がどれくらい環境に配慮しているかを示す「スコアリングレポート」をブロックチェーンに記録し、この2つのデータから企業の「クリーンエネルギー利用実績」を算出するという。

金融機関は企業に対して「サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)」と呼ばれる使途限定型の融資を行い、返済時に企業のSPTsとクリーンエネルギー利用実績から融資に対する金利を算出、徴収する。

今回の実証実験においては上記のファイナンスプロセスを以下の5つの項目に細分化して検証するとのこと。

(1)クリーンエネルギー利用実績の取得とデジタル通貨による支払い
(2)SPTsおよび金利テーブルの電力取引プラットフォームへの記録と、デジタル通貨によるSLL融資実行
(3)融資資金の使途制限
(4)再生可能エネルギー利用率等のSPTs評価結果に基づく金利徴収の実行
(5)実証実験における自律分散組織(DAO)の仕組みの活用可能性の検討

この実証実験は2月24日に実施される予定だ。

なおディーカレットDCPは2022年11月に「DCJPY」の「二層構造デジタル通貨の価値移転システム」に関連する特許を取得している。

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参考:ディーカレットDCP
デザイン:一本寿和

images:iStock/Lidiia-Moor・Fahroni・sumkinna

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この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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