サークルがBUSDについてNYDFSへ苦情か
米サークル(Circle Internet Financial)が、米ドルステーブルコイン「Binance USD(BUSD)」の準備金について不備があるとして、昨年秋に規制当局のNYDFS(ニューヨーク州金融サービス局)へ苦情を申し立てていたと、事情に詳しい人物からの話としてブルームバーグが2月14日報じた。
サークルは時価総額2位の米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」発行する企業。同社がNYDFSへ苦情を出していた「BUSD」は、「USDC」の競合となる時価総額3位の米ドルステーブルコインだ。
なお「BUSD」は、米ブロックチェーンインフラ企業パクソス(Paxos)がイーサリアム(Ethereum)上で発行するERC-20規格の「BUSD」と、そのトークンをバイナンスが保有し、バイナンスの独自ブロックチェーンBNBスマートチェーン(BNB Smart Chain)とBNBビーコンチェーン(BNB Beacon Chain)上で同数発行するBEP-20およびBEP-2規格の「BUSD」などがある。
報道によるとサークルは、「BUSD」が裏付けとなる十分な準備金がないと示すブロックチェーン上のデータをNYDFSへ提出し警告を行っていたとのことだ。
なお「BUSD」発行のパクソスは13日、米証券取引委員会(SEC)および「BUSD」の発行を規制下に置くニューヨーク金融サービス局(NYDFS)から「BUSD」の発行停止命令を受けている。
これを受けパクソスは「2月21日をもってBUSDの新規発行を停止し、BUSDに関するバイナンスとの関係性も解消する」と発表している。
なお「BUSD」の新規発行は停止されるが、すでに発行された「BUSD」の償還や準備金の管理は今後も継続してパクソスが担当するとのこと。少なくとも2024年2月まではパクソスがBUSDの償還をサポートするとのことだ。
それについてバイナンスのCEOである「CZ」ことチャンポン・ジオ(Changpeng Zhao)氏は自身のツイッターにて、バイナンスがBUSDを当分の間サポートし続ける意向であることを表明している。
ただし今回の出来事によりユーザーが他のステーブルコインの利用へ移行することも予測できるとCZ氏は述べており、それに応じてバイナンスでの取引においてBUSDを優先的に取り扱っていく同社の方針変更も検討していくとしている。
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参考:ブルームバーグ
デザイン:一本寿和
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