米SECがバイナンス「BUSD」発行パクソス提訴か、投資家保護法違反で=報道

SECがBUSD発行のパクソス提訴か

暗号資産(仮想通貨)関連サービス提供のパクソス(Paxos Trust)が、米SEC(証券取引委員会)より投資家保護法違反にて提訴される予定だと、関係筋の情報として米WSJ(ウォールストリートジャーナル)が2月12日に報じた。

報道によると米SECは、パクソスが発行するステーブルコイン「バイナンスUSD(BUSD)」が無登録証券であると主張しているという。

それに関連してSECからパクソスには、SECが企業や個人に対し強制措置を講じる計画を立てているときに通知する「Wells notice(ウェルズノーティス)」が送付されているとのことだ。

なお10日にはパクソスがNYDFS(ニューヨーク州金融サービス局)によって調査されているとブルームバーグが報じていた。これについては、どのような理由で調査されているかは不明だった。今回の米SECと関連したものかなど、その詳細については今後の発表が待たれるところだ。

「BUSD」は、米ドル(USD)と1:1の比率で価値を維持(ペッグ)しているステーブルコインだ。大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)がパクソスとの協力により2019年から発行開始しており、ステーブルコインの時価総額では、同じく米ドルペッグのステーブルコイン「USDT」と「USDC」に続き第3位となっている。

「BUSD」は、パクソスがイーサリアム(Ethereum)上で発行するERC-20規格の「BUSD」と、そのトークンをバイナンスが保有し、バイナンスの独自ブロックチェーンBNBスマートチェーン(BNB Smart Chain)とBNBビーコンチェーン(BNB Beacon Chain)上で同数発行するBEP-20およびBEP-2規格の「BUSD」がある。また他にもアバランチ(Avalanche)やソラナ(Solana)、ポリゴン(Polygon)などの規格によって、それぞれのブロックチェーン上でも「BUSD」は発行されている。

なおERC-20規格の「BUSD」については、総供給量に相当する米ドルをパクソスが保管しており、NYDFSより認可を受けているトークンとして報告されている。

また9日には米SECから、大手暗号資産取引所クラーケン(Kraken)が提供する暗号資産ステーキングサービスに対して、証券登録せずサービス提供・販売したとして告発されたことが発表された。それを受けクラーケンは、暗号資産ステーキングサービスおよびステーキングプログラムの提供・販売を直ちに停止し、3,000万ドル(約39億円)の民事上の罰金などの支払いに合意をしている。

追記:2023年2月13日 18:50

WSJは本日17:18頃(日本時間)に続報として、NYDFSがパクソスに対し「BUSD」の発行を停止するよう命じたことを、バイナンスの声明として伝えている。 ただし「あたらしい経済」編集部がその声明を探したところ、現時点では確認できなかった。

またバイナンスのCEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏は、このWSJの続報とほぼ同時刻にてこの報道に対し「FED(悪い噂)」であるとも思えるような示唆を自身のツイッターからしている。

また一方で米The Blockの報道では、バイナンスの広報担当者が「パクソスは、NYDFSから新たにBUSDの発行を停止するよう指示されたことをバイナンスに通知しました」と同メディアに対し証言したことも伝えられている。

追記:2023年2月13日 20:00

13日18:40、バイナンスCEOのCZ氏より、パクソスがNYDFSから新規BUSD発行を停止するよう通知されたことが報告された。

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参考:WSJブルームバーグ
デザイン:一本寿和

images:iStock/Pict-Rider

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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