国際決済銀行(BIS)、「ステーブルコイン」監視システム開発中

国際決済銀行(BIS)が「ステーブルコイン」監視システム開発中

国際決済銀行(BIS)が、同行イノベーション・ハブの「ロンドン・センター(London Centre)」でステーブルコイン監視システムの開発を進めている。このシステムはステーブルコインの仕組み及び今後の規制方針を当局へ伝えるものだという。

ステーブルコインは、ドルなどの法定通貨と1対1の連動性を維持する目的の暗号資産(仮想通貨)の一種だ。昨年起きたステーブルコインのペアであるルナ(Luna)とテラUSD(TerraUSD)の崩壊は、暗号資産市場に大きな混乱を引き起こした。

BISは、今後定められるであろうステーブルコインとそのバランスシートに対して様々なテストとシミュレーションを行い、年内にも暫定の調査結果を出す予定だという。

BISは「ほとんどの中央銀行には、ステーブルコインをシステム的に監視し、資産と負債のミスマッチを回避するためのツールがない」と述べている。

このシステムの開発プロジェクト名は、「ピクストリアル(Pyxtrial)」だという。名前の由来は12世紀英国で始まった「Trial of the Pyx」で、これは新しく発行されたコインが必要な基準に適合していることをチェックするための司法儀式だ。

またBISは、規制当局が「政策の枠組みを構築する」のに「ピクストリアル」は役立つだろうと付け加えた。

この「ピクストリアル」により、ステーブルコインの裏付け資産の実態がより明確になることが期待される。

金融安定化理事会(FSB)は、20カ国・地域(G20)間の金融ルール策定を調整しており、10月に暗号資産市場の監督強化に関する一連の勧告を行った。

現在、暗号資産市場はほとんどの国で規制されておらず、マネーロンダリングやテロリストの資金調達を防ぐための規則を遵守する必要があるのみで、規制当局は投資家に対し、少額であったとしてもお金を失うリスクがあると警告している。

関連ニュース

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Central bank test lab to trial ‘stablecoin’ monitoring system By Marc Jones
Additional reporting by Elizabeth Howcroft; Editing by Christina Fincher
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【11/22話題】SECゲンスラー委員長が退任へ、金融庁が暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討など(音声ニュース)

米SECゲンスラー委員長が来年1月に退任へ、功績評価の一方で反発や批判も、金融庁、暗号資産・ステーブルコイン仲介業の新設検討=報道、国民・玉木代表が税制改正要望を与党に提出、暗号資産への申告分離課税導入など提案、米裁判所、SECの「ディーラー」定義めぐる訴訟で関連規則を破棄するよう命じる、リミックスポイントが5億円でBTC・DOGE・XRP購入、投資総額30億円に、マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携 、コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か、2019年のアップビットのハッキングは北朝鮮ハッカー関与か、韓国警察が特定、米ドルステーブルコイン「FDUSD」、スイに対応開始、Injective、オンチェーンAIエージェントSDK「iAgent」リリース

広告

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している