結果だけでなくプロセスも評価するweb3開発者支援「進捗2Earn」、6ヶ月で3,000万円給付、shiftbase/UNCHAINが発表

web3開発者助成金プログラム「進捗2Earn」発表

web3エンジニアコミュニティ「UNCHAIN」運営のshiftbaseが、web3領域でプロダクト開発に挑戦する個人及びチームに6ヶ月で3,000万円を給付する「web3開発助成金プログラム”進捗2Earn”」を1月30日発表した。そして第1回目の助成金(Grant)の申請受付が2月13日より開始される。

このプログラムには、同社が独自開発した「進捗2Earn」という仕組みが採用される。通常のハッカソン等は、最終的な成果物やプレゼンが評価され、優秀なプロジェクトにのみ賞金が付与されるのが一般的だ。一方「進捗2Earn」では、結果だけでなくプロセスも評価し、段階的に助成金を給付していく仕組みだ。

進捗の成果は6段階のフェーズに区分されており、shiftbase独自の審査基準を満たすことで、各区分ごとに定められた助成金を参加者は受け取ることができる。

最も獲得金額の小さいフェーズはPre-6で、アイデア企画書を作成し提出するのみで1万円相当の助成金を獲得できる。次のPre-5は企画書と要件定義書の提出で5万円相当が、Pre-4ではプロトタイプの動作証拠の提出で10万円相当が獲得できる。

それ以降のPre-3、Pre-2、そして最終のPre-Angelフェーズまでは、MVP(顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト)完成に至る進捗と審査を経るごとに助成金が獲得できる。なおPre-Angelフェーズまで達すると、累計で200万円相当の助成金が受け取れることになる。

なおこのプログラムの第1回目の予算は、web3エンジニアを採用したい企業及びshiftbaseから協賛金として3,000万円が準備される。なお現時点で、Catalyst・Data・Partners、double jump.tokyo、JPYC、RiskTakerの計4社から協賛金が集まっているとのこと。さらに2月末まで協賛企業を継続して募集しているという。

またshiftbaseが協賛企業から受領した協賛金は、同社と事業提携する株式会社JPYCが発行する日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」へ交換され、それぞれの進捗審査を通過した参加者をウォレットに助成金として支払われる仕組みだ。

shiftbaseは今回の仕組みについて「インキュベーションという事業化サポートの要素をハッカソンの仕組みに複合することで、ユーザー体験の価値向上に繋げられるのではないかと考えた」とコメントしている。

進捗ごとに助成金が得られる仕組みで、参加者のモチベーションの向上を促す。さらに株式を放出することなく創業資金を調達できることで、エンジェルラウンドの資金調達をスキップできるチームを増やし、プロダクトの仮説検証に集中してもらう環境を作ることを目指すとのことだ。

さらにshiftbaseは参加プロジェクトのうち、毎月開催されるピッチイベント(Demo Day)に参加するチームに対して、マーケティング施策のサポートも実施。そして「JPYC」を採用することで助成金の即時入金にも対応するという。

なお「進捗2Earn」への応募は、「UNCHAIN」のdiscordサーバー(審査制)への参加が必要となる。discordへの参加申し込みは「UNCHAIN」公式サイトより受け付けている。

今回の発表に際して、shiftbase取締役CCOの志村侑紀氏は以下のようにコメントしている。

shiftbase取締役CCO 志村侑紀氏(撮影:堅田ひとみ)

「進捗2Earnは、開発者のアイデアを形にするための第一歩を後押しする仕組みです。どんなアイデアでも構いません、ドキュメントにしてみてください。助成金(Grant)がもらえます。アイデアをもとにMVPを作ってみてください。そうすると、ふたたび助成金(Grant)がもらえます!

みなさんが生みだしたプロダクトが、もう一度Cryptoの世界を盛り上げる原動力になると信じています。助成金の対象はお金が稼げるプロダクトだけではありません。素晴らしいOSSがブロックチェーンの未来を作ります。そんなプロダクトがUNCHAINから生まれることを楽しみにしています。

今年も多くのハッカソンが日本で開催されると思います。仲間を見つけたい人、自分のアイデアの壁打ちをしたい人、ぜひUNCHAINで学んでみてください。2023年も当社は、アイデアを持つみなさまが挑戦し続けられる機会をUNCHAINを通して提供してまいります」

「UNCHAIN」と shiftbase

「UNCHAIN」は、スマートコントラクト開発やdAppsの構築など、プロジェクト開発を通してweb3を学び、実践経験を積みながらアイデアを形にする力を身につけるエンジニアのためのコミュニティ。

現在、Astar Network、Ethereumをはじめとした 7つのパブリックチェーンに関する学習コンテンツを22件提供している。ユーザーはアカウントを作成するだけでweb3関連の最新技術を学べる学習コンテンツに無料でアクセスすることができる。

また、ユーザーは技術スキルの審査基準を満たすと、Discordコミュニティにアクセスでき、「UNCHAIN」メンバーとして活動することが可能だ。現在、1,200名以上のUNCHAINメンバーがコミュニティで技術を学び合っているとのこと。

なお「UNCHAIN」を運営するshiftbaseは、昨年7月カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社を引受先とした第三者割当増資と、金融機関からの借入により、シードラウンドで総額3.1億円の資金調達を実施を発表している。

関連記事

本ニュースの内容に関するshiftbase 志村侑紀氏・日原翔氏へのインタビューも公開中!

→企画書だけで助成金が貰える? UNCHAIN「web3開発助成金プログラム:進捗2Earn」とは

 

image:iSttock/Chee Siong Teh

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

設楽悠介

「あたらしい経済」編集長/幻冬舎コンテンツビジネス局局長 幻冬舎でブロックチェーン/暗号資産専門メディア「あたらしい経済」を創刊。同社コンテンツビジネス局で電子書籍事業や新規事業を担当。幻冬舎コミックスの取締役兼務。「Fukuoka Blockchain Alliance」ボードメンバー。福岡県飯塚市新産業創出産学官連携協議会委員。ポッドキャスターとして、Amazon Audible original番組「みんなのメンタールーム」や、SpotifyやAppleにてweb3専門番組「EXODUS」や「あたらしい経済ニュース、ビジネス系番組「二番経営」等を配信中。著書『畳み人という選択』(プレジデント社)。

合わせて読みたい記事

【11/1話題】イミュータブルがSECからウェルズ通知、アルゼンチンLABITCONFがサトシの正体明かすと告知など(音声ニュース)

イミュータブルが米SECからウェルズ通知受ける、「IMX」証券性の疑いか、アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をイーサL2「Base」に展開、Crypto[.]comがSEC登録ブローカーディーラー買収、米国ユーザーに株式取引機会提供へ、セキュリタイズ、トークン化資産の管理機能統合の「Securitize Fund Services」立ち上げ、米マイクロストラテジー、「21/21プラン」で420億ドル調達を計画、ビットコイン購入資金で、BIS、中国主導の「中銀デジタル通貨」プロジェクトから離脱、Sui対応の携帯型ゲーム機「SuiPlay0X1」、格闘ゲーム『サムライスピリッツR』リリースへ、ヴィタリック、イーサリアム最後のチェックポイント「ザ・スプラージ」解説、バイナンス共同創業者、「Web3が身近な社会実現目指す」と語る。伝統的金融や規制当局と協力の姿勢も=BBW

広告

アルゼンチンのカンファレンス「LABITCONF」、サトシ・ナカモトが正体明かすと告知(有識者コメントあり)

アルゼンチンで11月1日から開催されるビットコイン(Bitcoin)のカンファレンス「LABITCONF(Latin American Bitcoin & Blockchain Conference)」にて、ビットコインの考案者であるサトシ・ナカモトが自身の正体を明らかにすると、同カンファレンスの公式Xよりプレスリリースが出された