今年どうなる? 暗号資産/ブロックチェーンなどweb3領域
「あたらしい経済」年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を国内外で牽引するプレイヤーや有識者の方々に「2023年の展望」を寄稿いただきました。80人以上の方々の合計40,000字を超えるメッセージには、これからのweb3領域のビジネスのヒントやインサイトが溢れています。じっくりと読んで、これから「あたらしい経済」を切り開くための参考にしていただけますと幸いです。
寄稿いただいた皆さま
廣末紀之/伊藤穰一/加納裕三/國光宏尚/千野剛司/大塚雄介/小田玄紀/金光碧/平野淳也/栗元憲一/東晃慈/渡辺創太/大日方祐介/ビール依子/吉川絵美/Ori & Yutaro/堀次泰介/豊崎亜里紗(あとい)/木村優/仮想戦士ロイ/稲見建人/吉田世博/Crypto Baby(辻可南子)/鈴木雄大/Leomaru/久田哲史/斯波晃士//落合渉悟/岡部典孝/藤本真衣/極度妄想(しなさい)/日原翔/辻周悟/佐藤伸介/佐藤達也/藤原哲哉/松原亮/山田耕三/上野広伸/paji.eth/miin/草野絵美/沼崎悠/天羽健介/施井泰平/高長徳/徳永大輔/原沢陽水/小澤孝太/宮本拓/石川裕也/紫竹佑騎/福永尚爾(mekezzo)/GE2IE/真木大樹/石濵嵩博/村田卓優/Akim/齊藤達哉/辰巳喜宣/相原一也/熊谷祐二/小林英至/内山幸樹/正田英樹/志茂博/藤井達人/宮沢和正/柳澤賢仁/田中計士/長瀨威志/沼澤健人/斎藤岳/松嶋真倫/小宮自由/仮想NISHI/トレスト/樋田桂一/坂井豊貴/星暁雄/中村奎太(敬称略/順不同)
暗号資産/ブロックチェーン業界「2023年の展望」
廣末紀之/ビットバンク
相場に関しては、上期はマクロ経済のリセッション懸念、FTX問題の残余波、北米規制強化論、ripple/sec証券訴訟などから投資マインドは冷え込み軟調な推移、下期はFRB金利引き下げ期待よりやや持ち直しの展開か。
いずれにせよ、FTX問題により機関投資家はもとより個人投資家も傷んでおり、総じて牽引役が不在、本格回復までは相応の時間がかかる。
一方、国内においては、暗号資産の基礎的フレームワークが完成しており、一段の規制強化は想定されてないことに加え、国家的web3推進機運の高まり、CASC制度の導入、ステーブルコインの解禁など明るい材料もみてとれることから、ゲーム業界など事業会社の参入は継続すると思われ、世界に逆行し、国内産業の広がりがどの程度進展するかに注目したい。
伊藤穰一/デジタルガレージ
FTXの破綻をはじめ2022年の失敗を受け、世界はクリプトやweb3に対して懐疑的です。
これまでは、投資を呼び込むためのアプリケーションが”キラーアプリ”でした。今は、ブロックチェーン技術を用いて投資のほかに何ができるかを、規制当局と起業家が共に手を組んで模索する時期です。たとえば、認証に用いるクレデンシャルのレイヤーは着手する好機です。あるいは、ブロックチェーンのインフラを用いて、地方自治体や大学などの非営利機関を支援するのはどうでしょうか。
安定性、セキュリティ、規制遵守、ユーザビリティ、スケーラビリティ、コスト──Web3とブロックチェーンの課題は多く、技術としては非常に初期の段階です。今、重要なのは、市場の要望に応えるためだけに進化してきたインフラのアーキテクチャを見直し、あらためてプロジェクトの設計や展開を始めることです。
その1つとして、2023年は「DAO(分散型自律組織)」に取り組むのが有効です。前例がないところで進めることに躊躇する人もいるかと思いますが、これは「鶏が先か、卵が先か」を問うような話です。DAOへの取り組みを開始・テストして繰り返しフィードバックすることで、DAOの潜在的な可能性はもちろん、何がリスクで何が必要なのか、法整備すべき内容が何かなどが見えてくるでしょう。
2018年のコインチェックのハッキング以来、規制が厳しい日本は、近年のクリプト(暗号資産)の激しい浮き沈みの多くを外側から眺めることになりました。結果として、国内のweb3は政府と業界のリーダーシップの助けにより、思慮深く、現実的に前進しています。
日本では、主要国初の「本物の」ステーブルコイン法が制定される可能性が高く、自民党のweb3PTはDAO法に取り組んでいます。2023年は、規制緩和や法整備、特に税制に関する重要なポイントに大きな進展があるでしょう。政府のスタートアップ支援により、過去のクリプトやweb3のプロジェクトよりも、社会へのポジティブな影響や実際のビジネスにフォーカスした「本当に役立つ」web3のエコシステムを構築する機会があると思います。
日本は、これからweb3の技術とアプリケーションで世界をリードすることができます。web3は一部の人のための特別なツールではありません。これからの未来、web3はインターネットの基盤を支えるものとして成熟していくことを私は信じています。
加納裕三/日本ブロックチェーン協会・bitFlyer Blockchain
昨年は、日本ブロックチェーン協会(JBA)として「暗号資産に関する税制改正要望」を取りまとめ、その一部が「令和5年度税制改正大綱」に盛り込まれました。web3が日本経済を牽引する一大産業になるために重要な環境整備の第一歩を踏み出せたと思います。今年も税制についてはJBAの重要テーマとして取り扱い、関係各所へ声を上げていくつもりです。
私は、web3が世界と戦える日本の一大産業になると信じています。JBAの優秀な理事やアドバイザー・会員企業と共に、昨年にも増して、政府への働きかけなどのロビー活動も推進します。SNSでの皆さんの声が力になるので、ご意見・ご提案をぜひお願いします。
bitFlyerグループとしては、「web3リサーチ2023」を元旦に発表しましたが、4万ダウンロードを超えるヒット作になり、web3に対する人々の関心の高さを改めて感じました。レポートでも取り上げましたが、今年はGameFiが活況な一年になりweb3への新規参入者が増えることを期待しています。
最後に、1月9日で創業から10年目を迎えたbitFlyerグループですが、暗号資産交換業者とブロックチェーンMiyabiの運営実績を活かした事業展開を行い、「ブロックチェーンで世界を簡単に。」のコーポレートミッションの実現に向け、より多くの方にweb3を体験いただく機会を提供していきたいと考えています。
→暗号資産に関する税制改正要望
→web3リサーチ2023
→ツイッター
國光宏尚/フィナンシェ、Thirdverse
「混迷の2022年、規制の2023年」になると思われます。ただ規制が強化されることは、業界がマスアダプションをしていく上では避けて通れない道なので、中期的にみると凄く良いことだと思っています。
これまではDAY1からグローバルという掛け声のもと、規制が緩い国、緩い国に点々と本店を変えてという軽やかさが重視されましたが、これからはしっかりと各国の規制に向き合って丁寧に対応していく大人力が重要になってくると思います。
海外では仮想通貨の取り扱いを証券なのかコモデティなのかというふわっとした議論がまだ続くなか、日本では明確なルールが定まり、認可済みの仮想通貨取引所からのIEOも世界に先駆けて行われる準備が整ってきました。フィナンシェは2021年11月からコインチェックと準備を続けてきて、今冬にいよいよ国内3社目のIEOが見えてきました。
これは日本が世界のWeb3を牽引していくきっかけにもなるので、是が非でも大成功させなければとチーム一丸となって頑張っています!2023年は前半はFTXショックの後始末や規制の方向性の模索などで、モヤモヤとした相場が続くと思いますが後半にかけて方向性がみえてきて薄日が刺してくるそんな風に予想します。24年が本格的な反転期になると。
今年は価格に一喜一憂するのではなく「Build、Build、Build」しっかりとユーザーやプロダクトに向き合うことが重要だと思います。これまでは出遅れまくっていた、日本が凄く有利なポジションになりました。我々が世界のWeb3を牽引するんだという気持ちで皆んなで頑張っていきましょう!更に詳しくはNoteに書きました。そちらも是非ご覧ください。
千野剛司/SEBC・Binance Japan
世界的に暗号資産市場が冷え込む中、2023年は物事の真価が問われる年、取捨選択が進む年、になると見ています。
経済活動が今後も益々オンラインに移行していくに伴い、Web3といった、ユーザーが自身のデータや財産を主体的に管理・利用できる分散型のモデルが広がり、今年もプロダクトやサービスへの参入は継続するとみています。
また、長年、日本でブロックチェーン関係のプロジェクトを立ち上げる際に障壁の一つだった期末時価評価課税問題は、今年度税制改正が見込まれており、国内発のWeb3プロジェクトの後押しになると期待されます。
相場の低迷により人々が慎重になっている時だからこそ、真に価値あるプロジェクトやサービスに注目が集まり、それらが定着するのかもしれません。また、今年は資金決済法の改正により、ステーブルコイン(電子的支払手段)の国内新設が予定されており、Web3の流れを加速するために、日本のステーブルコイン市場が海外市場にコネクトできるか大いに注目しています。
大塚雄介/コインチェック
2022年は、Terra/Luna崩壊、FTX騒動と激動の1年となりました。市場サイクルは冬の時代に突入しましたが、テクノロジーの進化は着実に前進しています。
Ethereum L2、NFT-Fi、GameFi、No-code DAppプラットフォームなど、新しい市場の息吹を実感しています。 2023年、暗号資産やNFTがどんな成長を遂げるかを予測することは困難です。
予測困難であることを前提に、機動的に動ける体制を構築しておくことが成功確率を上げる唯一の手段でしょう。
私たちコインチェックは暗号資産取引サービスを提供することで、その新しい経済圏ゲートウェイとなるだけでなく、ユーザーや競合の皆さん、ならびに、若きWeb3起業家とともに新しいデジタル経済圏を創るチャレンジをしていきたいと考えています。
小田玄紀/リミックスポイント・ビットポイント
2022年は業界にとって大きな影響があるイベントが多数発生しました。
ただ、そのようなイベントが生じてもブロックチェーンは記録することを続けており、その仕組み自体には影響を与えていません。
この事実こそがブロックチェーンの可能性を何よりも示しているのではないでしょうか。
昨年1年間で日本の暗号資産市場も変化の兆しが見えてきました。日本では当たり前に行われてきた顧客資産の分別管理やコールドウォレットでの管理といった厳格な規制は世界的にも評価され、また、従来の課題であった暗号資産審査や税制についても改善の兆しが見えてきました。2023年がどのような年になるのか。それを予測することは困難です。
大事なことは、どのような変化が生じても柔軟に対応していくことであり、また、市場自体を自ら創り出していくことの矜恃を持つことが重要です。「あしたを、もっと、あたらしく。」のマインドで今年も挑戦を続けます。
金光碧/bitFlyer
2023年はユースケースが爆発する一年だと思っています。というかそうならないとやばい。ユーザーがブロックチェーンベースであることを感じないかっこいいプロダクトが続出してクリプトは影の存在になるんじゃないでしょうか(ビットコインは独自のアセットクラスとして地位を築きそう)。
中でも某スポーツブランドだったり某SNSで見られているように、企業がお金と時間をかけて最適なメンバーを集めてつくるかっこいいプロジェクトにすごく期待しています。日本だと特定のNFT保有者で構成されるDAOなど、「DAO的なもの」がコミュニティの新しい姿を提示していくのではないかと思っています。アートとかわいいキャラクターについて作者が保有の形をデザインできる媒体としても展開が楽しみです。ゲームはやらないのでわかりません!
技術的にはERC4337がこういったユースケースの後押しをしていってほしい。
ユーザーの皆様、かかわった企業やプロジェクトの皆様がハッピーになるユースケースが爆発して、取引所はその世界のインフラとして盤石な存在になりたいです。
平野淳也/HashHub
マーケット環境は引き続き厳しいことが予想されます。一時的なリバウンドは経験しても、2023年内に強気相場に戻ることは考えずらいでしょう。
2023年内は利上げが一巡するものの、インフレーションは粘着性があることから金利はある程度の水準で高止まりすることは大まかなコンセンサスになっています。
またもし暗号資産の購入を検討している巨大なスマートマネーが存在するとするならば、そういった資金の担い手は、他のプレイヤーが売らざるを得ない時に、安値で買うことを好みます。
レバレッジをかけたポジションを保有するプレイヤーは業界内にまだ存在します。
一方で、DeFi・NFT・ゲーム・オンチェーンソーシャルなど全ての分野でそれぞれ一定の進捗を生むことも期待しています。私の年始予想は、HashHub Researchでより詳しい形式で掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
栗元憲一/Nayuta
現時点において、あくまでも長期的に通貨を目指すことを重要視するBitcoinと、価値をチェーンに載せLiquidityを持ったDEXで価値交換することが重要なスマコンチェーンCryptoの方向性の差異がさらにはっきりしてくる年と予想しています。
Lightning Networkに関しては、2022年に続き部分的なアダプションがさらに進行すると予想しています。
スイスのルガーノ、ガテマラのBitcoin Lakeのような地域単位のアダプションが世界中で沢山進んでおり、このムーブメントのさらなる広がりが予想されます。
長期的に非常に多くのユーザをカストディアルではないLNに載せるにはまだ課題もあり、この部分は他の技術との組み合わせ等の様々なトライやR&Dが続くと見ています。 Bitcoinエコシステムでは、Fedimint, Drivechain, Liquid, Rollupのようなメインチェーンに接する別のチェーン構造のR&Dや技術発展に注目しています。
東晃慈/Diamond Hands
去年「ビットコインとその他のクリプトは似て非なるもので、その差はさらに大きくなる」という主張をFTX事件後に改めてしました。
2023年も技術、普及、規制、ビジネスなど複数の観点でその傾向が続くと考えています。 ビットコインの決済を進化させるライトニングネットワークに絞ると、今年特に重要なテーマになるのはライトニングを活用した国際送金のユースケースです。
すでにアメリカや中南米、アジア、アフリカ間でライトニングに対応した取引所同士が連携することで、法定通貨間での国際送金のコストとスピードを大幅に改善する事例が出始めています。
今年は普及が世界的に更に進み、具体的な経済効果やポテンシャルがより可視化されていくと思います。
投機需要が先行しがちなトークン系のユースケースは市場の低迷や規制強化で今年もあまり明るいニュースは出ないかもしれないですが、ライトニングは実社会での具体的な問題の解決を軸に今年も各国で少しづつ広がっていくと予想しています。
渡辺創太 /Astar Network・Next Web Capital・Startale Labs
2023年は日本にとって追い風の年になると思います。特に、日本大企業のweb3業界への進出、海外を拠点とする日本人起業家のグローバルスケールのプロダクト数の増加などが期待されます。
技術ではzkを中心にEthereumのレイヤー2やより分散性の高くセキュアなブロックチェーン間のブリッジ、Polkadot系ではWasmベースのスマートコントラクトなどが注目を集めると思います。
大日方祐介/Web3 Foundation・Next Web Capital
2023年は「分散性」がこれまで以上に問われる年になると思います。分散性が足りないプロトコルは徹底的に規制される未来もすぐそこに。
Web3 Foundationでは過去3年以上にわたって米国SECと対話を続けていますが、彼らは分散性の実態をよく観察しています。 一方アジアや新興国では、クリプト・Web3の社会実装が一気に進む気運があります。現地の起業家や開発者と話していると勢いがあり非常に楽しく、今年はより多くの時間をアジアで過ごす予定です。
この寄稿も3年目になりますが、この業界ではマーケティングで華やかに見えるものは沢山あっても、Web3の化けの皮を被っただけではいつか行き詰まることは2022年が証明しました。
長期的に生き残り世界を変えうるのは、Web3思想を理解し、真剣に分散化の未来にコミットして開発を進めている人々。ハイプドリブンのWeb3から脱却して、真の仕事に取り組む時です。
ビール依子/Polygon
2022年のWeb3、特にゲームやコンシューマ向けの領域はマスアダプションに向けて前進した1年でした。スターバックス、ディズニー、Reddit、Metaなど私たちにとってより身近なブランドがWeb3領域に関心を示しプロジェクトを開始しており、今年も新しい企業の参入や去年からWeb3プロジェクトに取組んでいる企業からのサービスローンチなどの発表がたくさん出るはずです。
また、相場は冬の季節ですが、テクノロジー活用の文脈ではコア技術のアップデートからWeb3サービスの開発まで熱い戦いが繰り広げられています。
Polygonの技術に関していえば、ZK関連ソリューションのローンチが控えており、プロダクトのニーズに合わせて使えるソリューションの選択肢が広がるでしょう。
Web3の力でより世界を楽しく、便利にできるように今年も一緒に全力で駆け抜けましょう。
吉川絵美/Ripple
Web3は2022年にハイプサイクルの「過度な期待のピーク期」に位置していましたが、2023年は良い意味で「幻滅期」に突入していくでしょう。
幻滅期においては、「何でもかんでもWeb3」といった幻想は消え、現実世界の問題(real world problem)を解決するWeb3のユースケースが静かに着実に前進していくはずです。
Rippleではこれまでブロックチェーン(XRPレジャー)を活用し、国際送金など現実世界の問題解決に邁進してきました。NFTにおいては、カーボンクレジット市場の効率化や、不動産分野への応用など、現実世界で大きなインパクトをもたらすユースケースに引き続き注力していきます。
DeFiにおいては、投機目的から現実世界の問題解決に使われるようになるためには、主要な基盤(分散型ID、コンプライアンス準拠、現実資産のトークン化など)が整備される必要があり、2023年にはこの分野で様々な革新が起こるでしょう。 次の「春」に向けて、本質的な問題に取り組む絶好の一年となると考えています。
Ori & Yutaro/Orca
DeFiのイノベーションは引き続きとても速いペースで進行しています。特に、分散型取引所はここ数年で目覚しい成長を遂げています。これまでの歴史を簡単に追ってみましょう。
– 2018年にUniswapがローンチ。暗号資産の公正価格がアルゴリズムによって決定され、即時にオンチェーンでのトークンスワップが可能になることを世界に証明。
– 2020年にはSolana上で、CeFiのコンセプトである CLOB(Central Limit Order Book) を完全にオンチェーン化しようとするSerumがローンチ。
– 2021年にUniswap v3が登場。オンチェーンでの資本効率の高い取引を可能にする CLAMM(Concentrated Liquidity Automated Market Maker) の可能性に世界中が注目。
– 2022年、OrcaはSolana上で最初に広く採用されたCLAMMをローンチ。誰でも最小限のTx手数料でCLAMMの取引や流動性を提供を実現。
昨年はSNS上で「CLAMMとCLOBはどちらが優れているのか?」という議論が多く交わされました。
私たちはこの質問には根本的な欠陥があると考えています。この質問自体は、CLAMMは指値注文や信用取引など、トレーダーが板取引で慣れている多くの機能を提供できないという一般的誤解から生じています。
しかし、CLAMMはいくつかの機能を追加することで、板取引と同じ機能をトレーダーに提供することができます。 すでに、Orca 上でこれらの機能を開発するとともに、利用者から多くの関心が寄せられています。
今年は、この2つのモデルの収束が進み、より多くの取引量が CLAMM に移行すると予想されます。これにより、CeFiと同レベルの決済時間で、真にオープンで資本効率の高い金融システムへの道が開かれるでしょう。
堀次泰介/Kyber Network・やさしいDeFi
2022年は多くの暗号資産ユーザーにとって、マーケットとしては言うまでもなく悲惨な体験に耐える年となりました。2023年も、その面で先行きが明るいとは思えません。
ただ私たちは、似た状況に立たされた2019年からの地道な業界発展を目撃しています。DeFi, web3, NFTなど、2022年までに活躍したもの全ては、マーケット状況に気を取られず、「現状のクリプトの何が問題か」「どこに改善余地があり、開発者が集まっているのか」を冷静に考えて実行した人々の成果です。 今年は、サイクルの振り出しに戻った気分です。
相場ノイズの排除された再スタートの2023年、2~3年後に花開くもの全ては、今この環境で蓄積されたものだけです。2022年の清算はまだ続くものの、何かをスタートするには数年の1度のチャンスでもあります。それを自覚して活動し、この状況でも開発者の集まる分野に注目しましょう!
豊崎亜里紗(あとい)/Cega
2023年は冬の時代が象徴的になる年かと思いますが、こんな時でこそ新進気鋭なプロジェクトや独創的な製品が世の中に出ることを期待しています。
Bitcoin はすでに十数年出回っていますが、DeFi はまだ生まれてから2年程度ですので、これから正念場だと自負しております。分散型金融の透明性、利便性を世の中に広めて行けるよう頑張っていきたいと思います。
Cega は 2022 年のローンチから Solana No.1、世界 No.2 と大きく飛躍した年でもありました。今年は新しいプロジェクトをいくつも温めているので公開するのが楽しみです。これからも初心を忘れずにユーザーにとって最高のベネフィットを感じれるような製品を開発します。
木村優/UnUniFi
Terra/LUNAショックやAlameda/FTXショックなどを受けて冬相場真っ只中となっていますが、IBCといったインターオペラビリティ技術やゼロ知識証明のスケーリングソリューション、金融工学的知見を活用したDeFiなどの技術発展は相場関係なく2022年も躍進してきました。
2023年のうちに相場が好転する保証はないですが、引き続き2023年もこれらの技術は発展していくことは間違いないと思っています。2022年版の本稿ではインターオペラビリティ技術に注目していましたがそれは変わらず、さらにゼロ知識証明を使ってIBCのインターオペラビリティの検証コストを削減するZK-IBCには特に注目していています。
これが異なるブロックチェーン間の垣根を下げ、パブリックチェーンとプライベートチェーンの相互運用といった新しい世界も見えてくるのではないかと思っています。
これによってエンタープライズがプライベートチェーンをより活用できるようになり、Real World Assetsと呼ばれる現実世界の資産と紐づいた資産がDeFi上で流通するようになれば、DeFiが社会に与えるインパクトもより大きくなっていくのではないでしょうか。
仮想戦士ロイ/Avalanche
2023年のクリプト・ブロックチェーン領域はより厳格で公正な取引を行えるインフラとして生まれ変わる年になると思っています。 DeFiやNFTでの成功事例を元に仕組みの標準化が進むでしょう。
特にリアルワールドとどう連携できるか、実需ベースの仕組みが鍵になると予想しています。 世界中の国や地域の規制やルールを一つのチェーンに集約するのは不可能です。
それぞれの文化や価値観に合ったブロックチェーンインフラが構築され、チェーン同士を繋ぐ相互通信技術でWeb3の良いところを残しつつローカライズされていくのではないでしょうか。
そういった面で、Avalancheに注目しています。誰でも1分で自由にカスタマイズできるブロックチェーンを作成できるサブネット技術、サブネット同士の相互通信プロトコル AWM機能が実装されています。アメリカの金融機関KKRや日本のゲーム会社GREEなどで採用された様に、2023年はあらゆる規制やニーズに対応できる汎用性の高いブロックチェーンインフラに期待しています。
稲見建人/UXD Protocol
2023年はOptimistic rollupがより使われる年になると思う。
主にOptimismとArbitrumのエコシステムが拡大する。また、app specifc rollupをデプロイするプロジェクトも出てくると予想。 zkrollupの技術開発は進むけれど実際に人々が使うのはもっと先で2023年にはそこまで使われないと予想。
DeFiはいわゆるDeFi1.0への回帰および各ロールアップでの実装が重要になると予想。 アルトL1に関してはSolanaが生き残り、一定の存在感を示すと思う。
app specific rollup vs app specific chainの議論が勃発すると予想。 ETH/BTCは上昇する。 ETHがSoVとしてより認識される。 マーケットはあまり変動せず、レンジ相場になると思う。 個人的にはキラーアプリが出てきたら嬉しい。
吉田世博/HashPort・HashPalette
2022年は、暗号資産がベアマーケットに突入し、クリプトの冬の訪れを感じさせる1年でした。その一方で、グローバル市場とは反対に、日本ではWeb3の普及に関する機運が高まった年でした。
特に規制面では、業界の悲願である自社発行暗号資産の期末時価評価課税の解消が実現し、ステーブルコインやNFT等に関する規制の枠組みも明確になり、企業がWeb3に参入するための環境が整いました。 2023年は、その流れを踏まえて「Web3のマスアダプション」が日本において始まる年になると考えております。
Web3企業においては、ベアマーケットの影響で投機的な企業が淘汰され、腰を据えて取り組む企業はクリプト未経験者の市場に注目していきます。巨大なユーザープールを持つ大手企業も、関心の高まりと規制枠組みの整備によって参入の動きが加速化します。
このような流れの中で、これまでクリプトに触れて来なかった多くのユーザーが市場に流入すると予想しております。 その中で、クリプト未経験者の最初のタッチポイントは「GameFi」と「SBT(ソウルバウンドトークン)」になるでしょう。
「GameFi」については、ゲームはNFTや暗号資産との相性が良い巨大市場であり、且つ普及が先行する領域です。弊社も先行事例の創出に取り込んでおります。普及の加速に当たっては、ゲームとしての完成度の高さが鍵になると(自戒を込めて)考えてます。
参考: https://www.neweconomy.jp/posts/256325
「SBT」については、法規制リスクの低さから多くの大手企業のWeb3の入口になると考えております。弊社も三井住友銀行が共同での参入を発表しております。普及の加速に当たっては、キラーユースケースの確立が重要であると考えてます。
参考:https://www.neweconomy.jp/posts/281548
Crypto Baby (辻可南子)/Mask Network・KudasaiJP
2021年、2022年はNFTプロジェクトがとても盛り上がった反面、NFTの本当の価値がどこにあるのか考えさせらる機会も多い年でした。
2023年は昨年話題になったSBT(Soul Bound Token)のような、 金銭的価値を生み出すNFTとは別に、社会的な価値を生み出すNFTや、それを可視化するdAppsやプロトコルが注目されると予想します。 まだまだマネーゲーム色の強いブロックチェーン業界ですが、金銭的価値以外に需要を作ることで大人だけではなく若年層にもマーケットが拡大していくと思います。
鈴木雄大/Fracton Ventures・Next Web Capital
Fracton Venturesとしては、2022年は2回目のインキュベーションプログラムを実施し数多くのチームの創出に貢献できました。また2023年4月に開催を発表したDAO TOKYOの開催に向けて、準備期間に多くの時間を費やしました。
そんな今年、2023年のCrypto領域としては以下の3つの領域に関心を寄せています。
1.zkRollup及びゼロ知識証明をコア技術に用いたプロトコルの台頭
2.Onchainネイティブな情報の拡大(Lens Protocolなど)
3.DAOに関与する層の拡充及び、プロとしてDAOに関与するCoordinatorの出現
また今年はETHGlobal Tokyoをはじめ多くイベントが開催されていく兆しがある他、海外のCrypto関係者が日本を訪れたり、海外のプロジェクトと日本発のプロジェクトが共同で活動を行う事例が増えていく、そんな一年になるのではと思っています。
Leomaru/dYdX Foundation
2023年は、DAO(自律分散型組織)のビジネス化に向けた議論が進むだろう。
日本でもDAOの認知度は高まったが、DeFi系で世界有数のDAOであっても投票率は5%〜10%であるのが現状で、運営面で課題が多い。多くの参加者は多忙であるため、一つ一つの提案を精査し、議論に参加し、ガバナンストークンを使って投票する暇がない。また、当初の情念が尽きて無関心になる(「ハネムーン期間」が終了する)こともある。
さらに、技術、マーケ、財務など提案の中身が幅広いため専門外のものがある。「ボランティア精神」に頼り続けるDAO運営は持続的ではないだろう。 上記問題を解決する上で、DAOをプロの仕事として捉える動きがある。
その中で、自分と主義主張の合う代理人(デリゲート)に投票を委任する動きは注目だ。例えば、昨年、Maker DAOは優秀なデリゲートに最大年収2000万円ほど給与を支払う提案を通した。
この他、グラント(助成金)をうまく活用するなど何かしらのインセンティブを与える議論が活発になってきている。
「冬の時代」ではあるが、トップクラスのDAOは未だに数十億ドル相当のトレジャリーを持っている。DAOの投票率はDecentralizationの面でも重要だ。世界のDAOが、巨額資金をどのようにガバナンス活動のインセンティブ作りに活用するのか注目だ。
久田哲史/Datachain
これまでのブロックチェーンにおいて、「パブリック」と「エンタープライズ」は分けて語られることがほとんどでした。2023年は、これらのパブリックとエンタープライズの”技術”や”ユースケース”が溶け合い始める年になるでしょう。
その兆候はすでに出てきています。例えば、PolygonやAvalancheにおいて、エンタープライズ向けのプロダクトが採用され始めています。他方、デジタルアセット基盤のProgmatでは、マルチチェーン対応を見据え、パーミッションレス型ステーブルコインの検討を、WGで進めています。
技術はパブリックから、ユースケースはエンタープライズからのインパクトが大きくなるでしょう。
RWA(Real World Assets)の市場規模は、現行のクリプトに比して、巨大です。クリプトの時価総額が1兆ドル前後であるのに対して、株式・債券・デリバティブ・不動産だけでも、数百倍の規模があると認識しています。
今後、そのような莫大なRWAのトークン化が進んでいきます。パブリックの視点から言えば、いかにそれを呼び込むかであるし、エンタープライズから言えばいかにパブリックとつながる技術を取り入れるか、となります。
Datachainとしては、それらの溶け合っていく、デジタルアセットの基盤において、トラストレスなインターオペラビリティが重要であると考え、開発をしてきました。2023年、そういった変革に貢献できるよう、昨年発表したミドルウェア「LCP(Light Client Proxy)」を中心に、頑張っていきたいと思います。
斯波晃士/InsureDAO
昨年は相場の崩壊、FTXの破綻など大変イベントフルな年でした。 2023年もしばらくベアマーケットが続くと思いますが、思い返すと2020年からの市場の盛り上がりを牽引したプロジェクトの中には盛り上がるその前から開発を続けて来たプロジェクトが多くありました。
次にマーケットが再び盛り上がった際に注目を浴びるためには、この市場で開発をする努力を続けるしかありません。 市場の回復がいつになるかは予測できませんが、2023年はリーンになった市場で多くのクオリティの高いプロジェクトが水面下で改善やイノベーションを積み上げていけるような年になると思います。
また昨年は多くのハッキングもあり、市場のセキュリティ意識も増して来ています。InsureDAOも引き続き開発を続け、次なる一手を出し続け、虎視眈々と次を見据えて動いていければと思います。
落合渉悟/Solidity House
佐賀県でスマートコントラクトを教えるSolidity Houseという施設を経営しておりますが、2023年も各社積極的に開発者育成に投資しています。
NFTのみならずCeFi on DeFi領域も含め模索していますし、単なるクローンコントラクトを超えてオリジナリティのあるプロジェクトにトライしている状況です。
やはり、契約の相手方を定めない書きかけの契約をインターネットに放流できるスマートコントラクトの性質は各業界でこれまで未定義だった法的整理を生み出しており、そこがビジネスチャンスになっているように思います。村の自治もDAOで行うプロジェクトが進んでおり、30人規模での実績が出てくる年になると思われます。堅実に積み上げる年になると思います。
岡部典孝/JPYC
昨年末ステーブルコイン規制に関する内閣府令案が公開された。
資金移動業による日本円ステーブルコイン発行・償還や海外発行ステーブルコインの セルフウォレットによる国内流通を解禁したもので良い意味でサプライズであった。 滞留規制も一部緩和され、利用者保護とイノベーションを両立したバランスの良い規制といえる。
この規制であれば国内事業者も海外事業者と互角以上に戦えると思うし、一気に普及すると予想している。 前払式ステーブルコインについても都度承認または関与を条件に発行が認められたのでブロックチェーンゲームを通じた普及に期待。
一方で銀行発行ステーブルコインは本人確認済口座間に移転が限定されそうなので、普及には時間がかかりそう。
藤本真衣/Japan Blockchain Week・intmax
2022年はグローバルに活躍する日本人Web3起業家が急増しました。海外のカンファレンスでも多くの日本人の方の顔が見れて勢いを感じましたし、活躍していく方々の姿には大変刺激を受けました。
2023年にはWeb3領域でこれからチャレンジしたい日本人の方にかなり追い風だと思います。まず4月14日からETHGlobal主催で開催されるETHGTokyoがあります。
そして6月11日からJapan Blockchain Weekが開催されます。2018年から開催されている国内最古・最大のNFT関連イベントであるNon Fungible Tokyo(6月22日実施)を中心に大型イベントが数多く開催され、海外からの豪華スピーカーも多数来日します。
メインイベントだけでなく気軽に参加できるサイドイベントだけ参加するもよし、ハッカソンで腕試しをするもよし、自分で主催するもよし、海外チームの手伝いをし関係性を構築するのももよし、2023年は日本にいるからこそ活かせるチャンスがたくさんです!
皆さんにとって実りのある年になりますように!
極度妄想(しなさい)/Intmax
2018年の冬相場から始まったLayer1の競争が終わり、今回の冬相場から始まるLayer2の競争に注目がシフトすると考えている。
EthereumのLayer2であるRollupやBitcoinのLayer2であるLNによって、今までクリプトに熱中していた人に限られていたトラストレスでノンカストディアルな活動を、クリプト外の世界全体に押し広げる準備が整ったと考えていいと思う。
クリプトの最も重要なミッションが、限られた人にではなく世界中の人々の財産権やプライバシーをインターネット上で保護することであることが再確認され、自由市場の商品としてのクリプトの側面よりも公共財としてのクリプトの側面がより注目される年が2023年だと考える。
また、面白いアプリケーションはだいたい冬相場に生まれるので、こちらも期待できる。今面白いものを見つけることができた人がまた長い間楽しい時間を過ごすことができると思う。
日原翔/shiftbase
2022年は、web3 という概念が(なんか新しいインターネット、程度のふわっとした用語ではあるが)明確に社会的に浸透し始めた年だった。書店に行けばやれメタバースだの、DAOだの、NFTだのとバズワードが陳列する。資本も沢山流入したのだろう(事実弊社も昨年7月に資金調達をした)。
同時に、向けられたその期待の多くは度重なるポンジノミクスによって裏切られ、相場も完全に冷え込んでしまった。でもだからこそ、この状況で今 build している人達は、hypeを超えて🧱⛓の価値を疑ってないのだと思うし、ちゃんと使える良いものを創っているのだと思う。自分もその一員でいる心づもりだ。
以下は自分の考える、「ちゃんと使える良いもの」である。
Account Abstraction – EVMを抽象化し、EOAとコントラクトを統合することで、txを都度署名してガス代を燃やし続ける世界から卒業できる。利便性は向上し、複雑性は解消される(はず)。
会計・税務ツール – 結局これがないと大型法人がクリプトできない。皆でちゃんと経済社会の仲間入りをしよう。
Oracles – 実社会で運用されるビッグデータとの互換性がないブロックチェーンに、どれほどの実用価値があるだろうか。20バイトの「所有権」を主張するだけでは何ら意味がない。
人 – アイデアを出すのも、手を動かすのも、価値を作るのは全部人。結局人。身の回りの人間を大事にしよう。
あれだけ盛り上がって尚、虚しく終わった2022年。課題はクリプト民と一般社会の乖離であったように感じる。簡単で使いやすい決済手段。
忘れてもなんとかなるパスワード。ビッグデータ社会との接合性。クリプトネイティブからすれば本質ではない部分こそ、マスアドプションへの鍵であり、即ち builder の真価が問われている。今年もよろしくお願いします。
→プロジェクト/企業(shiftbase)
→プロジェクト/企業(UNCHAIN)
→ツイッター
辻周悟/Phi
2021年のバブルから一転、Three Arrows Capital・Celsius・FTXの崩壊など、2022年はクリプト業界全体の不安定な部分が露見することになった年でした。しかし、どれもブロックチェーンの分散化の思想とはかけ離れた集権的な組織が引き起こした事件です。EthereumやUniswapなどDecentralizationに注力したネットワークやプロジェクトは死んでおらず、より一層分散化の重要性を思い知らされた年だったとも言えます。
2023年は、ゲームやソーシャル系のプロジェクトの台頭、大手の企業、ブランド、IPの参入によって、よりカジュアルにweb3と接することができる機会が増えていくと考えます。この変化によって、今までは取引所など集権的な組織を通して仮想通貨と接することが多かった大衆層が、より直接的に分散化されたプロトコルを利用することになっていくと思っています。
私達のプロダクト「Phi」では、Simcityのようなソーシャルゲーム体験を通して、実際に様々なweb3プロトコル触る機会を提供しています。ユーザーは、自分のウォレットの活動履歴を用いて、クエストをクリアすることで可愛いピクセルアートのオブジェクトを獲得できます。そして、それらのオブジェクトを使って、自分の街をより発展させていくことができるのです。私たちのピクセルアートは、世界的に有名なピクセルアーティスト、eBoy氏がデザインしており、箱庭的なゲーム体験だけではなくアートそのものとしても楽しむことができると思います。
こうしたゲームやアートといったよりカジュアルな接点から、より多くの人々にweb3を知る・体験する機会を提供することは、私たちの強いミッションです。Phiを通して、業界全体の成熟とマスアダプションに貢献できれば幸いです。
佐藤伸介/Slash Fintech
2022年を振り返りますと、後半は「暗号通貨・冬時代に突入」というニュースを良く見かけました。
そのような状況でもDefi→NFT⇨Game fiと新しく創出され続ける経済圏を冷静に観察し、その経済圏がマスアダプションしていく為の最適解を冷静に分析できた年だったと思います。
2023年も、Defi・分散型金融市場やNFT・相互互換可能なブロックチェーンソリューションを社会実装させる事がWeb3業界の最重要課題・展望である事は変わりありません。
我々Slashとしては規制当局やライセンサーとの取り組みを具体化し<Web3領域でのなめらかな決済手段>の浸透を推し進める1年にしたいと思っています。 冬の時代と前述させて頂きましたが、日本においては特殊な状況で、未だ冬を感じさせない熱気と新しいテクノロジーへの希望で満ち溢れていると思います。
この勢いを加速させ、業界の夏の到来の際には日本発のプロダクトが業界のリーダーシップをとっているような状況を皆様と一緒に創り上げたいと思う次第です。
佐藤達也/DMM.com
2022年は一部ステーブルコインの暴落や大手取引所の破綻、ハッキング被害といった信頼性が揺らぐ事件が相次いだこともあり、2023年は暗号資産全体でいえば「信頼回復」が重要なテーマとなると考えています。
同時に本年はマクロ経済のリセッションリスクへの対応という大きな流れもあるため、これまでの市場環境と異なる困難さも予見されます。
そんな中で2020年頃から始まったDefiの台頭から、NFTやGameFiがもたらした熱狂、トークン投資への過剰な期待など、投機的な側面への偏重があったのではいかとみており、これが見直されていく1年になるのではと捉えています。 DMMとしましては、今夏ロンチを予定しているプロトコルにて、まさにWeb3ならではの、且つ安全で分かりやすいサービス、エンタメの提供を目指しています。
価値ある実態をお届けすることこそが「信頼回復」の一助になると信じています。 とりわけGameFiのようなエンタメは新しい体験を受容頂ける機会となりうるとみており、ユーザーや協力頂ける企業の皆さんと一緒に「新しい経済」に向けたチャレンジを進めていきたいと考えています。
藤原哲哉/ForN・YGG Japan
2023年はブロックチェーンゲームの年になります。 2018年にAxie Infinityが登場し、スカラーシップ制度が生まれ、多くのユーザーをWEB3に招き入れました。
2022年にStepnが登場し、ブロックチェーンゲームのマスアダプションの可能性を証明してくれました。また、それと同時に、改善しなければいけないトークンエコノミーも浮き彫りになりました。
日本においても各大手ゲームパブリッシャーの皆様もブロックチェーンゲーム領域への参入を表明されています。2023年はまず海外産のブロックチェーンゲームでキラーコンテンツが生まれてくると考えています。
一番可能性がありそうなのは韓国産のブロックチェーンゲームです。同じアジア圏として日本のゲームにおけるビジネスモデルをよく理解されていますし、日本のユーザーは言語にアレルギーを持ちやすいので、日本語にローカライズされた韓国産のブロックチェーンゲームの台頭によって日本のユーザーをWEB3に招き入れ、日本のIPやWEB3ネイティブのIPが登場することでより加速していくと考えています。
なによりもゲームとして面白く、ブロックチェーンならではの体験を促すことでブロックチェーンゲーム産業がどのように成長していくか楽しみですし、私たちYGG Japanも貢献していきたいと考えています。
松原亮/OASYS
今年、ブロックチェーンゲームの成功モデルが複数出てくると思います。 マネタイズモデルは別ですが、ブロックチェーンゲームならではの新しい体験について書きます。
1.”経済”を生み出すこと
トークンにより貨幣を生み出せるようになったこと、NFTによりデジタルアイテムに流動性与えたことは、ゲームを根本から変えるほどの大革命です。 FTX事件をみれば明らかですが、ゲームの影響力がゲームだからいいでは済まない世界に突入します。
2.分散型だからできる体験
a.NFTのインタオペラビリティ ユーザー側で従来の体験と違うことは、ゲームAのキャラクターや武器のデータはゲームの中に閉じているため、ゲームBでも使えたりすることはなかったですが、今後のブロックチェーンゲームでは自分のアバターや持ち物がさまざまな世界(マルチバース)で利用できるようになります。 現状はお互いのゲーム同士の許諾が都度必要であり、実現にはNFTのメタデータ規格の整備が必要です。
b.UGC(User Generated Contents)の可能性
ゲーム制作側も変わります。ユーザーが保有するNFTやトークン、戦歴データなどを横串として、ゲームタイトルAを中心にユーザーが派生版として様々なゲームA´を作っていき巨大テーマパークを構成する可能性があります。しかしながらこれまでUGCはコミケなどを中心として非営利で広がっていました。こちらも事業として広まるには許諾の問題が絡むためこちらもNFTのメタデータ規格の整備が必要です。
3.他の新テクノロジーとの組み合わせ
ブロックチェーン単体でユースケースを考えるのではなく、AIやXR等の新テクノロジーを組み合わせることにより、新しい体験が生まれます。 直近のChat GPTなどのAIと組み合わせたりすることによる新しい体験は容易に想像がつきます。
山田耕三/Digital Entertainment Asset ・PlayMining
DEPという独自暗号資産を通じて新しい体験価値・Web3エンターテイメントを届けるNFTゲームプラットフォーム・PlayMiningのKOZOです。
–Web3業界 2023年の展望
① 初めてWeb3体験するユーザーが激増 2023年 夏頃から実際に遊べるNFTゲームが急速に増加見込み。元々暗号資産に触れたことがない新しいユーザーがゲームを通じて「初めてWeb3体験する」展開がついに!
② サービス実現を成し遂げたWeb3プロジェクトが躍進 2021年 NFT元年から開発着手した事業者のうち一部が実際のプロダクト、サービスローンチへこぎつけます。
氷河期の中で「実際に触れるモノを届けられた」プロジェクトは大きく一歩先へ行くことに!
–PlayMiningは、楽天様やテレビ東京様を始めとするアライアンス・パートナーと共に、上記展望を強力に実現させていきます!
上野広伸/double jump.tokyo
2021年にNFTが加熱し、2022年初めにはSTEPNがマスアダプションの片鱗を見せましたが、テラルナショックとFTX事件によってCrypto市場全体が停滞期となりました。
メガトレンド観点では市況全体が上向くのは2024年末以降となりますが、FTXの影響が少なかった日本企業の投資活動が2023年は目立ちそうです。
ゲーム観点では、大手ゲーム事業者のブロックチェーンゲームが2023年から2024年にかけて様々リリースされる見込みで、象徴となるキラーコンテンツもそこから生まれるでしょう。技術観点では、zkやAAから目が離せませんが流行するのは2024年と見込んでおり、むしろコンテンツ事業者としてはAI技術に取り組まないと他社に遅れをとる1年になりそうです。
paji.eth/Tokyo Otaku Mode
あけましておめでとうございます、本年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は一番当たってほしくなかった「冬の時代到来」予測が的中したので、今年は明るい予測にしておきます。
スペースの都合上、箇条書きで簡潔に展望を7つ書かせていただきます。
(1)ゲーム系NFTが広まり、キャズムを超えを狙える位置まで拡大
(2)DAOの活用/検証が進み株式会社の存在意義が相対的に薄まる
(3)SBT形式で投機性を排除した寄付/応援NFT活用が拡大していく
(4)チェーン発展に比べウォレットがUI&UX上のボトルネックへ
(5)法定通貨<株<暗号資産<インフルエンス力=評価経済が加速
(6)オンチェーン履歴が重要になりウォレットをまとめDIDへ発展
(7)誰も予想しなかった思いもよらぬ好事象が発生、市況に春到来 今年もワクワクが続いて毎日8時間しか寝られなそうです。
暗号資産/ブロックチェーン業界「2023年の展望」(page2)
miin/NFT情報コレクター
スターバックス、NIKE、redditに代表される大企業によるNFT活用が進むのではないかとおもいます。ユーザーやファンとより深く繋がるため、裏側にブロックチェーン技術が使われる事例は22年後半から増えてきました。
NIKEは全世界の店舗でwallet作成から教えるワークショップを実施中であり、redditはNFTという言葉を使わないことと簡潔なUIで300万人以上にパブリックチェーンのwallet作成に成功しました。
しかし、本記事をお読みのクリプトOGの皆様は過去に「NOT BTC.blockchain」と掲げ、投機用途ではなくブロックチェーン技術を使うのだ!と立ち上がり、消えていった多くのロジェクトやチェーンをご存知だと思います。
23年は一握りであっても、今後も残り続けるプロダクトが生まれることを楽しみにしています。
草野絵美/Fictionera・新星ギャルバース
勇者の剣をゲームの外に持ち出せるようになり、好きなmemeをポケットに持ち歩けくことができる。2023年はこんな恩恵をより多くの人が享受できる年になると信じています。
そのためには、絶え間ない情報発信、学際的にNFTの新たな使い道を開拓していくことが大切だと思ってます。
Keep building!
沼崎悠/tofuNFT
直近の2年を経て、ブロックチェーン上のアプリケーションが実際に稼働し、ユーザーが利用し、大きな金額が動くという事実を世界が確認した事は大きな変化です。変化が早く、何が流行るか全く予想出来ない、もしくは”直近10年の内どこかで流行る”が時期は不明、な事しか無かったクリプトの世界が少しづつですが、未来に起こる事の予想出来る市場になってきました。
この市場の変化は、特にユーザーとお金が集まるカテゴリでは一定以上の実力を持つプレイヤーがこぞって参加し、激しい競争が生まれる環境となっていくし、競争の中で急速にサービスが進化し続ける状況を促します。
勿論市場自体はグローバルなので開発面でもビジネス面でもこれまでクリプトの世界では考えられない速度で新しいプロダクトや取り組みを世界中の競合が打ち出して来る、日本のスタートアップでは中々体験しなかった世界で戦っていかなくてはならなくなると思います。
予測しやすさがもたらす良い面は大手含めたプレイヤーが続々と参入して来る事で、市場自体が更に大きくなってくる面です。それと同時に開発力もビジネス力もあるプレイヤー等が超高速で競争を続けていく過酷な市場になるので、ここで戦っていくのにはこれまで以上の覚悟が必要になるのが2023年以降の市場環境だと思います。
天羽健介/コインチェック
昨年2022年も例年同様激動の1年となりました。コインチェックは年始にNFTと親和性が高いメタバース事業への参入を発表し、走りながらシナジーを構築する1年でした。
2023年はNFTのユーティリティの進化と淘汰が同時に進み、ストーリーや世界観が魅力的、かつNFTを使う必然性が明確なプロジェクトが残り、そうでないものは消えていくと思います。
また、AIの進化によりNFTやメタバース事業の参入はさらに増えていくでしょう。 メタバースにおいては、引き続き様々な角度からポジション争いが激化していくことが予想されると同時に、アバターやファッションなどメタバース間を行き来したりDIDのようにハブとなる動きが活性化していくはずです。
DeFi、NFTの次なるDAppsのトレンドは適宜移り変わり続けるでしょう。
国内では、大手事業者の参入により、暗号資産やNFTをただ売買するだけではなく、DApps利用まで一気通貫で提供する事業者が多数出てくることで、また一歩Web3が身近になっていき、その過程でWeb3時代のプライバシーについて考えていかざるをえなくなるでしょう。
施井泰平/スタートバーン
年初にコメントをさせていただくのは今回で3度目になりますが、振り返ると、下記のようなことを言っておりました。
2021年1月には「旧年はDeFiが花開きガス代高騰でパブリックチェーンでのサービス運用が危機的状況になった」とコメント→ 我々もイーサリアムからポリゴンに移行しました。
2022年1月には「旧年はNFTが花開き大きなムーブメントになった」とコメント → 我々もフィジカルのみならずデジタルアートおよびエンタープライズ需要に対応しました。
そして2023年1月、旧年はWeb3やDAOといったキーワードが注目され、政府の前向きなアプローチも相まり、広く社会にそのインパクトが伝えられた年になりました。また、コロナウィルスの蔓延で長らく停滞を余儀なくされていた社会が再稼働しはじめ、国際的な渡航機会も一気に増え、IRLスペースの運営やイベントの集客も活気を取り戻してきました。
我々も、下北沢地区で行った「ムーンアートナイト下北沢」や現場に実際に足を運ばないともらえないPOAPのようなNFTサービス「FUN FAN NFT」の展開を含め、リアルイベントと絡めたNFT活用の可能性を大きく広げた年になりました。
一方、ネガティブニュースやそれに起因したベアマーケット、資金調達環境の大幅悪化に苦しめられる年であったことも忘れられません。
このように俯瞰すると、急速に発展していく産業に身を置いていることに改めて気付かされます。
株式市場も暗号資産市場も最悪の場合 (イーロン・マスクも言うように) 次のビットコイン半減期 (2024年5月ころ) までは低空飛行が続くことが予想されますが、来る時が来るまで本質を見失わずしっかりWEB3の社会実装を進めるに尽きるだろうと考えております。 本年もよろしくお願い申し上げます。
高長徳/SBINFT
2023年の暗号資産・NFT界隈は、昨年に引き続き厳しい状況が続くと予想されます。 とはいえ国内のNFTプロジェクトは、メンバーシップやチケットなどでのユースケースが多く出ており、合わせて利用者も増加傾向となっています。
この流れに乗り、今年はいよいよマス層にも広がり始めるユースケースが出てくることが期待されます。
SBINFTでは引き続き、国内有力IPやパートナーと連携し「よりわかりやすく」「より便利」なプロダクトを共創し、市場展開して参ります。 また様々な国内NFTプロジェクトとも提携し、国内市場の発展に寄与できるよう邁進します。
徳永大輔/SUSHITOPMARKETING
2023年はブロックチェーン領域にエクスポージャーをもつ大半のプロジェクトにとって厳しい時期となるでしょう。 FTX事件を引き金にグローバルで規制が進み、これまでの好景気は完全に収束したように思えます。
VCの投資対象も生成AIなどに移り、リスクマネーの流入も減るでしょう。 一方で既存webや社会インフラとの融合は進み、実体のある少数のプロジェクトに資金が集中すると思います。
実用面では企業のデータ活用の新たな領域としてブロックチェーンが導入される流れが不可逆的に到来すると予測しています。 この分野のスタートアップに関しては、本質的に価値を提供できているか、規模を伴う成長ができるかどうかで明暗がわかれるでしょう。
「なぜ、そのプロジェクトにブロックチェーンを活用する必要性があるのか?」 このシンプルな問いを突き詰められ、必要性を回答できるプロジェクトが新たな覇権をとっていくと考えます。
原沢陽水/モノバンドル
国内では、金融(特にSTO)・不動産など、ブロックチェーン×既存産業の文脈で大きな動きが出てくる1年だと考えています。
FTX事件の被害を比較的受けなかった日本のマーケットは、相対的に日本国外のマーケットよりも余力があるため、2023年に日本の事業者がブロックチェーン領域の中でもどういったカテゴリで投資・起業をするかで今後5年の趨勢が決まると考えています。
国外では、次のイノベーションが生まれます。既にZk rollup周辺において盛り上がっているものもありますが、ブロックチェーンを活用しなければ得られないネットワーク効果に着目したまだ名前のついていないカテゴリが、これから勢いをつけてメインストリームになる可能性があります。
小澤孝太/CryptoGames
2022年は、投機的なNFTブームが落ち着き、「Axie」や「STEPN」などユーティリティという実態の伴うゲームNFTが、新たなフォーマットを発明することで爆発的に多くの利用者に広がる事例が生まれる拡大期に入りました。
また、12月にメインネットローンチした、ゲーム特化チェーン「Oasys」に数多くの著名なゲーム会社がバリデーターとして参加している事例から分かる通り、これらの事例を元に多くの事業者・IPコンテンツがBCGに参入を開始しております。
2023年は冬の時代に強い、ユーティリティの伴うゲームNFTが引き続き注目され、順次リリースされていくであろうBCGの中でヒットコンテンツが誕生し、一般ユーザーにマスアダプションしていくと考えています。
我々ゲーム事業者は、STEPNに次ぐ「新しいエコシステム」のゲームモデルに挑戦し、マスに届きうるヒットコンテンツの創出に尽力していく所存です。
宮本拓/XYZ
2022年は数多くのNFTプロジェクトが発足されました。
プロフィール画像向けのものや、特定の用途が決まっているものなど、NFTのアイデアの幅が広がり一部のコミュニティで熱量が高い状態になりました。しかし、いまだに多くの人々がNFTにふれるまでには様々な課題があります。
それらの課題を乗り越えてからこそ、NFTの更なる盛り上がりが来るのではないかと思っています。 2023年はNFTがより多くの人に使われるための設計や表現をもったサービスやプロジェクトが日本国内で数多く生まれる年になると思います。
その中で私たちは、素晴らしい可能性を持ったプロジェクトと人々の距離を近づける架け橋になることを目指します。
石川裕也/Gaudiy
2023年はweb3のマスアダプションの兆しが大きく見えてくる年になるかと思います。
GaudiyでもWeb3マスアダプションを目的に、去年サンリオやガンダム、SonyMusicとの提携を結ばせて頂き、2023はそれら提携した企業の大型グローバルIPとのサービスも数個リリース予定です。Gaudiy以外でも大きな取り組みやリリースが今年はたくさん出てくると思います。
その中から数個、本当に一気にユーザー認知をとる様な成功と言えるWeb3プロダクトが出てくるのでは無いかと予測します。
紫竹佑騎/暗号屋
2022 年は 2021 年に始まった NFT アートブーム後の関連ビジネスが生まれた年だった様に思えます。
web3 という仮想通貨・ブロックチェーンのリブランディングが更にハマり、国家を巻き込んで web3 分野での起業・新規事業ブームが起こっていました。
ブームで考えると 2023 年になった今は事故もあり一旦落ち着いたタイミングなのかなと思っています。有象無象が増えてある意味マスアダプションした業界として、ようやく便利で嬉しいブロックチェーンが拓く新しい経済活動そのものの価値が理解されていく様な気がしています。
ブロックチェーン技術が拓く web3 技術の本質は、デジタルの中にアナログな制約に似た営みを創り出すというところにあると思っています。例えば巷で流行りのメタバースなどは「デジタルを挟んだ人間同士の営み」と広く定義しているのですが、この web3 とメタバースにおけるデジタル空間での営み同士が相性が良さそうなのは直感的に理解できるかと思います。
NFT の様な「モノ」をデジタル空間上で表現し、渡せば手元から無くなる現実のモノを取引する様なイメージです。 これは今までのサーバーを挟まないといけないインターネットだけでは実現不可能でした。
これを私はいつも「あたらしいインターネット」と呼んでいて、この新たなルールを使ってこの業界の皆さんと一緒に社会をより良くしていくお手伝いが出来れば良いなと思っております。
福永尚爾(mekezzo)/BeyondConcept
2023年は、WeaveDBなどの分散型データベースやプロトコルの拡充により、 分散アプリケーションと呼ばれるDappsレイヤーの開発が進むと思います。
ビジネスとしては、企業が提供するサービスがメインとなるのは変わらないものの、 特にインターネット公共サービスとしてのDappsが個人開発者や団体によって生み出されていく年に なるのではないでしょうか。
メタバースにおいてもこの分散化は進んでいくと考えます。中央集権型のメタバースも引き続き 活性化していくと思いますが、分散化されたレイヤーがもっと増えていくと考えられます。
メタバースやNFTの世界は、中央集権型と分散化型のサービスの 双方が両立してしばらくは進んでいくと思います。
BeyondConceptとMetaaniでは、技術の発展に伴う社会のプロトコルの変化にあわせたプロダクトやサービスを 提供し続けられるように、今年も全力で取り組んでまいります。
GE2IE (Founder of 1BLOCK®︎)/1BLOCK®︎
2023年は、物理とデジタルの境界線を曖昧にし、 メインストリームとWeb3コミュニティの間のギャップを埋める努力が必要になるでしょう。
2022年、世界ではNike x RTFKTやTiffany’s Cryptopunksなどのビッグプロジェクトが web3デジタルファッションで先導を執ることになった年でした。
国内に目を向けると私達1BLOCKは世界的ハイブランドのcoachや人気アニメのルパン3世や宇宙兄弟、 国内トップファッションブランドのBEAMSからストリートキッズから人気を集めるスニーカーショップATMOSなどとコラボを実現しています。
2023年は更に新たなトレンドサイクルがすでに生まれつつあり、 web3×デジタルファッション、そしてメタバースにとって爆発的に成長する可能性を感じています。
2022年がWeb3コミュニティの足場の底固めな年だとすれば、 2023年はWeb3コミュニティが正式に地歩を固める年になると思っています。
真木大樹/BlockBase
ブロックチェーン産業が成熟し、より広く採用されるようになると、個人や小規模なチームが成功する分散型アプリケーション(DApps)を独自に開発できるようになる可能性があります。
これは、DAppsを構築するためのインフラやツールがよりユーザーフレンドリーでアクセスしやすくなり、個人が簡単に始められるようになるためです。
同時に、より複雑でリソースが必要なDAppsの開発など、特定の分野では、より多くのリソースを持つ大組織が依然として優位に立つ可能性があります。
この状況の中で、チームの規模に関わらず、ブロックチェーンの非中央集権的な性質が、開発者間の競争力を高め、競争の場を平準化していくと考えています。
この業界がどのように進化していくかを正確に予測することは困難ですが、個人として、また会社として、この業界に向き合いつつ、貢献できることを増やしていきたいです。
石濵嵩博/ナナメウエ・Yay!
金利上昇により今年は一時的に円高になると予想できます。その一方インフレ止まらなければ金利の上昇が続き、日銀が債務超過になり、国債の買いが鈍るため、景気が悪くなることが予想できます。
その後にはハイパーインフレ、円安リスクがあるため、いよいよ日本勢に残された最後の仕込みチャンスになるかもしれません。通貨価値は為替により決定されるため、価値が下がっていく通貨でなくコミュニティを切り出して独自の経済圏を作る仕込みが本格化します。
Ethereum等上のプロジェクトのトークンを中心とした経済圏の準備が進みます。その動きに連動して、トークンやウォレットなどがコミュニティを通じて一般層に浸透し、皆が知らない状態から知っている、あるいは、触れたことがあるという状態になります。DeFiのような断片的な金融機能だけでなく、サービスと融合した経済圏がいよいよ誕生していきます。
複数のGameFiやアプリではサステナブルになりうるトークノミクスが登場し、先に入った利用者が利潤を得て後発の利用者が損をする構造「ではない」トークノミクスの発明や、それに伴う利用者の学習が進みます。DeFiや他のサービスとも密な連携が進んでいくでしょう。その一端をYay!が担っていきます。
村田卓優/GREE
各プレーヤが生き残りをかけた1年になります。ブロックチェーンは、マーケティングに投資していたチェーンが実用性にフォーカスし、その過程で淘汰されていきます。
ゲームは、日本勢が多数リリースしていくので期待です。しかしweb2でも日本から海外に展開することの難しさを理解しています。投資家目線では、売り手優位から買い手優位に代わりつつあります。
従来スピード重視でしたが、今年は吟味して投資するようになります。実態以上に大きく評価されていた事業は今年ダウンラウンドを迎えることになります。
後ろ向きに聞こえることばかりですが、ユーザサイドにとっては良いこともあります。選ぶべきものが明瞭になり、web3を使いやすい時代により近づく1年になります。
GREE及びBLRDは、昨年までにバリデーションを介して各チェーンとの関係を強化し、ゲーム企画を練り上げてきました。今年にはゲームを出しますので是非ご期待ください。
Akim/VeryLongAnimals
世界の経済状況が悪くなる中で、今回のクリプトサマーのようなDeFi→NFTという金融きっかけの波の生まれ方とは違った角度からのブレイク、またはブレイクの種が発生することを期待しています。
具体的には、投機一辺倒を脱してよりブロックチェーンならではの「体験の面白さ」に根ざしたゲームやIPの登場により、よりマスにブロックチェーンが定着するきっかけが生まれると考えています。
ブロックチェーンがこれまで形成してきた市場は主に投資市場でしたが、この先は消費市場が盛り上がることでより多くの人にとって意味のある技術になっていくはずです。
また、消費市場があることで投資市場もより健全かつ活発になります。NFTの市場には僅かではありますが、「金融商品としては見ていないが、単純に欲しいからこのNFTを買った」といった考えを持つ方も発生しており、消費市場が形成されていく兆しが見られます。
ただし、人類の中でそのような価値観が形成されていくのにはまだ時間がかかると考えていて、「稼げる」という魅力が市場の急速な拡大を牽引するというのも同時にまだまだ重要であるはずです。
消費としてのトークンのユースケースをじっくり腰を据えて作っていく事業者と、金融的な魅力でパワフルに市場を切り開いていく事業者両方のコラボレーションによって、未来のインターネットを作っていける一年になればと願っています。
齊藤達哉/MUFG・Progmat(プログマ)
既存金融とWeb3の融合が進むでしょう。
ポジティブにいえば、金融のメインストリームにより深く広く浸透し、マスアダプションが進みます。
ネガティブにいえば、”トークン”と名乗ればなんでも自由にやれた時代は、過去のものになるでしょう。
1)Web3→既存金融
①ステーブルコイン(以下、SC)新法制開始
②暗号資産/SCの信託活用開始
2)既存金融→Web3
①金融機関のSC発行体/ウォレット化
②ST普及拡大
:運用残高1,000億円突破
:不動産、社債、以外のST登場
:市場参加者拡大
:セカンダリ市場開設
③標準化進展
:CBDCパイロット実験移行
:クロスチェーン実装移行
:業界大手連携によるスタートアップ設立
「トラストレスな世界のために、どうトラストを担保するか」という問いに、グローバルで答えを出していく年になる、といえます。
“規制先進国”の日本のチャンスです。
辰巳喜宣/三井物産デジタルコモディティーズ・Zipangcoin
「卯(うさぎ)跳ねる」と干支を用いた相場の格言がありますが、月(Luna)が沈めば卯(うさぎ)は見えないため、引き続き不安定な1年になると思います。
価格に乱高下はありますが、これまでの暗号資産の歴史は、金融緩和と共に歩んできました。 世界経済の影響に加え、規制の整理が進むと共に、2023年は改めて暗号資産そのものの価値が問われる年になると思います。
強気相場は悲観の中で生まれ懐疑の中で育つため、短期的にはネガティブな影響が発生すると思いますが、これまで全く出てこなかった新たなトレンドの萌芽も生まれてくるのではないでしょうか。
「卯(うさぎ)跳ねる」には続きがあり、「辰巳(たつみ)天井」を迎えると言われています。
2024年にはビットコインの半減期を迎えるので、辰巳天井(辰年と巳年は高値を付ける)を待ちながら、辛抱強く投資家の皆様と過ごしたいと思います。 今年もよろしくお願い致します。
相原一也/Fintertech
2022年はおもに事業者側で残念なニュースが多くありましたが、「The Merge」の成功をはじめとした技術面の堅調な推移はポジティブでした。
2023年以降、クリプト業界の一番の鍵を握る要素として注視しているのは米国の規制動向です。この規制が、万が一中国レベルのものとなると痛恨の一撃です。
日本並の規制レベルであれば、一時的な停滞はあるかもしれませんが再興可能であり、むしろ規制明確化によって、今度こそ機関投資家の本格参入が見えてくるのではないでしょうか。
技術面では、2023年1Q予定の「Shanghai」アップグレード(ETHステーキングのロック解除)に注目しています。弊社「デジタルアセット担保ローン」では、現在ステーキングを活用した商品設計も検討しています。 弊社は証券会社グループということで、セキュリティトークン(ST)にも言及させてもらいます。
2022年のSTはおもに不動産が対象でしたが、2023年は次の段階として、これまでとは異なるパターンのST発行を各社が模索すると予想しています。
DVPに必要となるステーブルコインの国内動向、セカンダリ市場創設、もブレイクスルーのための重要なファクターとして注目しています。
また、これまで米国では盛り上がりに欠けていたSTですが、今後多くのトークンが証券認定された場合には、ST制度の活用等について再注目される可能性があるとみています。
熊谷祐二/Emoote(エムート)
ファット・プロトコルから、Dappsファーストへ。2023年は、いよいよ「プロトコル」から「Dapps(分散型アプリケーション)」の時代へと移り変わります。
キーワードは (1) GameFi2.0、(2) IRLとの融合、(3) Made in Japan、の3つです。
(1) これまでのGameFiはAxie Infinity、そしてSTEPN(※Emoote投資先)といったWeb3ネイティブのDappsでした。2023年は、従来のモバイルゲームのノウハウやクオリティを生かしつつ、磨き上げられたWeb3のトークノミクスを組み合わせた、GameFi2.0と呼ぶべき新たなトレンドが生まれます。
(2) 世界的なWeb3トレンドとして、IRL(In Real Life:現実世界)との融合は大きなテーマです。Move-to-Earnがユーザーの行動変容を起こしたのも昨年の大きな出来事でした。2023年は、より広範囲でWeb3がIRLに入っていくでしょう。たとえば不動産などの実物資産の流動化にも注目しています。
(3) いよいよ日本人によるWeb3プロジェクトが日本市場を席巻する日が近づきつつあります。日本人が本当に得意とする領域は、エンターテイメントです。消費(課金)意欲の高い日本で磨かれた高度な技術力がWeb3で活かされるのは、まさにこれからです。
Emooteも日本市場向けプロジェクトに投資予定です。 「クリプトの冬」など目先の市況が騒がれますが、キラーアプリが全てを吹き飛ばします。 2023年がWeb3にとって”いちばん面白い一年”になることを、今から確信しています。
小林英至/Securitize Japan
2023年、STOは新たな飛躍の年になりそうです。
これまでのPrivate Capital Markets (非上場企業向け資本市場)での資金調達に加えて、昨年は新たなモデルが出てきました。
先ずは、丸井Gが、投資家と発行体が直接繋がれるというSTOの特性を活かし、「応援投資」ソーシャルボンドを発行、多大な共感を得ること成功しました。このような顧客エンゲージメントを絡めた取り組みは、今後NFT、Web3との相乗効果も見込めます。
もう一つは、米国の老舗ファンドKKRによるファンドの小口化です。ファンドは投資家層の裾野拡大を目指し、また投資家はこれまで手が届かないような案件にアクセスできるようになります。同様の取り組みは他のファンドでも進んでいます。
これらはいずれもSTOの強みを活かした案件で、今後も同様の取り組みが増え、STO市場はますます活性化していく一年となると予想されます。
STOという新しいテクノロジーは、資本市場・金融市場の効率化を進め、経済全体への好循環を達成することが可能で、日本の残念な過去30年を取り戻すチャンスともなります。今年は日本復活への元年ともしたいものです。
内山幸樹/Nonagon Capital・Famiee
2023年のWeb3業界は、一言で言うならば、「模索」の年となるだろう。 以下の様々な切り口で未来展望を考えてみた。 DeFi / Wallet / NFT / DAO / ブロックチェーンインフラ / 日本のWeb3 / 投資 / 社会課題解決への応用 / ここでは、分量の関係から、DeFi に関する考察の抜粋のみを切り出しておく。
他の項目に関しては、こちらのnoteを参照されたし。
・DeFi 2023年、私が注目しているDeFiサービスがある。SecuredFinance(https://secured.finance)だ。既存金融の機関投資家が普通に利用するサービスの中で、Web3の世界にないもの。
それは、年単位の期間での貸付・ローンサービス。なぜいまだにないかと言うと、鶏と卵の関係にはなるが、市場原理に基づく、年単位での金利の確定方法がないから。既存金融の世界にいる大手機関投資家がWeb3領域に参入するためになくてはならないサービスだ。 その隙間市場(市場規模は大きい)を埋めるサービスとして今年のQ1にローンチ予定なのが、スイスに拠点を置き、伝統的な金融工学を活用した商品開発&海外大学でのコンピュータサイエンスの知識&Web3の知識を併せ持ち、かつ、日本人Founderが率いるSecuredFinanceのサービスだ。 グローバルのDeFi市場規模自体を拡大するきっかけとなるサービスで、かつ、グローバル市場で勝てる可能性があるSecuredFinanceには大いに注目したい。
続きはこちらを。
→プロジェクト/企業(Nonagon Capital )
→プロジェクト/企業(Famiee)
→ツイッター
正田英樹/chaintope
BitcoinのTaprootアクティベートに続き、2022年はEtheremのThe Mergeが完了し無事PoSへ移行されました。
これらcore機能のアップグレードにより、今後はL2を利用したサービスが増えていくと思われますが過去の経験上、新サービスの登場には3年は要するのではないかと思います。
一方で、2022年内最後はFTXの破綻というビッグニュースで幕を閉じました。このニュースが与えた影響は大きく、2023年は再度、仮想通貨の冬の時代となりそうです。
日本ではFTXの影響をほとんど受けなかったという良い側面もありますが、裏を返せばWeb3.0の枠組みの外側におり、世界から一歩置いて行かれている状況ともいえます。
2023年は日本の規制緩和に向かう途上において、世界からの遅れを取り戻すため、いかにWeb3.0プロジェクトを多数輩出するか挑戦と苦心の年となると思われます。
志茂博/CodedStates
2022年は、弊社ではNFTやDID/VCsの問い合わせや案件が多かった一年でした。
2023年は、全体的に業界は落ち着く。サービス、規制、環境を作り込む1年となると予想します。
注目領域は、スケーリング、クロスチェーン、NFT、DID/VCs、アプリのサービス連携。
スケーリング: 各プロジェクトが土壌を作りつつ、新しいアプリが出る
クロスチェーン: 初期段階だがサービスと利用者が増える
web3: 落ち着くが、新しい試みは続く。日本では大きな変化なし
NFT: 新しいチャレンジが引き続き行われる。日本では大手企業による実用化が増える
DeFi: 多少の変化はありつつも大きな変化なし
DID/VCs: 実用化が増える
大きな変化なし: DAO、Bitcoin、Lightning Network、エンタープライズブロックチェーン、STO、CBDC
規制: 現実的な規制が増える 投資: 世界的に減り厳しい状況へ
→ツイッター
藤井達人/日本マイクロソフト
2022年はFTX破綻など大きな出来事が相次ぎ、ブロックチェーン界隈に再び厳冬が訪れた年となりました。 厳冬とはいっても、2022年前半に膨らんだバブルが弾けたに過ぎず、web3プロジェクトの開発は勢いづいており、今年も数多くのプロジェクトが新たなユースケースを生み出していくでしょう。
GameFi、SocialFiに続くXXFiの様々なバリュエーションが出てくるはずです。 中でも、ReFi(再生金融)のエコシステムは、クライメート・テックの中でも大きな伸びを見せる分野と見ています。
宇宙や海底などフロンティアテックとweb3の組み合わせも有望な分野です。
宮沢和正/ソラミツ
「人類2度目のルネッサンスが始まる」NFTの唯一無二な発明は、デジタルコンテンツに価値を吹き込み、リアル社会と連携したデジタルツインを実現するでしょう。
NFTやDAOは法制度や会計監査など課題は多いですが、2023年にはそれらが解決され、誰でも簡単に購入・出品できるようになることを期待します。 Web3の分散型ID/VCに注目しています。
本来、個人が所有・管理すべき個人情報や様々な権利を、SSIとして個人のもとに取り戻す。卒業証明書や医療履歴などを自由に管理して、必要なステークホルダーにのみ提供する。
我々は、既に分散型ID/デジタル通貨を地方創生の車の両輪として複数の自治体に導入しました。2023年はデジタル田園都市国家構想と連携して日本中に分散型ID/VCやステーブルコインが広がっていきます。
Layer1の開発としては、PolkadotのSabstrateを活用しEthereumを含む様々なブロックチェーンとの相互運用を実現するSORAネットワークを開発しました。
さらに、パーミッションレスのステーブルコインXSTUSDや暗号資産XOR、ETHやDOTなど数百種類の暗号資産に対応したPolkaswap DEXを開発し、韓国Kakaoの子会社と共同でKlaytnネットワーク上のOpen source DEXを開発しました。 2023年の更なる進化にご期待ください!
柳澤賢仁/柳澤国際税務会計事務所
暗号資産相場の4年周期がまた来るのであれば、2023年は底を打って次の相場に向かう準備期間のような1年になるのではないかと予想しています。
グローバルで勝ちたいクリプトスタートアップは規制や税制が緩い国に集まる傾向があるので、中途半端な規制や税制を導入して改善できない日本は競争優位性が低く、残念ながらあいかわらず起業家に選ばれない状態が続くでしょう。
起業家側は海外移住をしてスタートアップする型ができあがった一方で、国内上場企業などは拠点を日本から動かせず、トークンを発行すると監査法人が監査をしてくれないといういわゆる監査法人問題も抱えています。
2023年は、これまで起業家の活躍に指をくわえて見ているだけだった国内上場企業などが、海外拠点の日系クリプトスタートアップとの協業を試行錯誤することで、オープンイノベーションの波が来る可能性があるようにも思います。
田中計士/EY新日本有限責任監査法人
昨年公表された自民党web3 PTのNFTホワイトペーパーには、わが国のWeb3.0領域のさまざまな課題認識が織り込まれていました。
特に「会計基準の不在」等を背景としてWeb3.0関連企業が会計監査を受けられない事例が存在する点について「わが国における暗号資産を活用したビジネスの発展の重大な妨げ」と言及したことには、私自身も大きく注目しています。
一方、自己発行暗号資産保有課税の見直しや資金決済法改正によるステーブルコインへの対応等と平仄を合わせる形で、企業会計の世界でも暗号資産発行体およびステーブルコインに関する会計上の取り扱いの明確化が具体的に進んでいます。
また、昨年12月には日本公認会計士協会がWeb3.0関連企業、暗号資産に係る業界団体の関係者および弁護士をメンバー、金融庁、経済産業省等をオブザーバーとした勉強会の開催予定を公表するなど、我々公認会計士を取り巻くWeb3.0領域の動向も活発なものとなってきています。
このように、2023年は我々Web3.0領域で活躍する公認会計士にとっては大注目のイベントが盛りだくさんの1年となります。
長瀨威志/アンダーソン・毛利・友常法律事務所
昨年の海外大手取引所の破綻事件を契機に、2023年は世界的にクリプト事業に関する規制は大きく強化されることが予想されます。
一方で、日本は暗号資産交換業者の登録制を早期に導入しており、顧客資産の分別管理も徹底されています。
また、ICO/IEOに関する規制枠組みが確立されているとともに、NFTに関する金融規制上の整理やガチャ販売に係る賭博該当性の議論も進展しており、相対的にクリプトを用いたWeb3事業を推進しやすい規制環境として世界的に再評価される一年になると考えています。
加えて、昨年成立した改正資金決済法等が今年前半に施行され、国内でもステーブルコイン(電子決済手段)の発行・取扱いが可能となります。
所要のライセンス取得のハードルは未知数ですが、想定以上にリーズナブルな法規制となっており、Web3事業を推進するうえで重要なライセンスになると予想されます。
2022年に引き続きGameFi、メタバース関係等のWeb3事業は着実に進展していくとともに、法的な観点から日本回帰の流れが起きていくと思います。
沼澤健人/Aerial Partners
2021年以降のNFT領域のモメンタム形成を経て、いよいよ実需が生まれ始めるフェーズへと突入していたWeb3業界にとって、2022年は受難の年となりました。
近未来でさえ、予測することがこれほどまでに難しいということを身をもって経験させられた1年でしたが、「歴史は繰り返す」という前提に立つと、2001年に不正会計が明るみになった米エンロン社の破綻のケースが参考になるかもしれません。
エンロンショック後、上場企業の透明性担保を目的に、コーポレートガバナンスの仕組みの大々的な改革が行われ、SOX法の施行等により、結果として開示・監査の両面で投資家を保護するための仕組みの整備が行われ、市場は信頼回復を果たしました。
またその時期においては、ERP等企業のデータ管理領域を司るサービス群が大きく成長しています。 2023年は、Web3の社会実装が進む中で、その揺り戻しとして既存の経済圏の中で構築されたルール(金融規制、会計・税制等)との間に生じる摩擦がさらに大きくなる1年になるでしょう。
同時に今後、既存のルールとイノベーションの交差点を整備するプレイヤーの重要性がさらに高まっていくと考えています。
株式会社Aerial Partnersは、個人投資家だけではなく、国内で唯一金融免許事業者・Dapps / NFT事業者のデータ管理ツールを提供者している事業者として、今後のWeb3業界、そして価値革命支えるインフラとなるようなサービスを提供していきます。
斎藤岳/クリプタクト
2022年末の税制大綱において、自社発行トークンを期末評価課税の対象から外すという税制緩和の動きがみられました。
税制改正があればより企業はトークン発行をしやすくなりますが、その直接の効果以上に、政府としてトークン発行を後押ししている、政策として前向きにとらえているといった期待感が醸成されることが、より多くの企業によるトークン発行に繋がるのではないかと考えています。
2023年は日本にとって「トークン元年」と言われることになるかもしれません。
暗号資産全般に厳しい環境が続いていますが、ビジネス側からによるトークン発行やユースケースの拡大が起きることで、再び暗号資産全般の市場が盛り上がる転換点がみえてくるか、注目しています。
その他、取引所のスキャンダルを経て、より安心感のある大手取引所で取引が寡占化されるのか、もしくはDEXやDeFiといったP2Pの取引が主流になるのか、どちらを人々が選好するのかも注目しています。
松嶋真倫/マネックスグループ
2023年の暗号資産相場は米国の利下げ転換時期を巡って一喜一憂するでしょう。市場では年内の利下げ転換が期待されていますが、当局者はそれについて慎重な姿勢を示しています。
インフレと景気後退、諸々を踏まえて前半はネガティブ、年末にかけて相場は回復するとの予想が多いですが、利下げ転換が2024年になるとしても、それを織り込む形で2023年内に相場は底をつけると予想しています。
このように相場が冷え込む裏では米国を中心に暗号資産規制が強化され、2024年を目途に銀行規制の一部が暗号資産関連業者に適用されるでしょう。
2024年には利下げ転換、規制整備、ビットコイン半減期といったカタリストが重なり、その頃には直近のweb3資金調達状況等からブロックチェーンゲームが花開く可能性があります。
今年は総じて仕込みの年になりますが、日本でもステーブルコインやデジタル証券を中心に暗号資産業界は話題を呼ぶでしょう。
小宮自由/Overlay AG
昨年は LUNA の崩壊をきっかけとした 3AC の破綻や、FTT の破綻をきっかけとした FTX の破綻(それから創業者の逮捕)が相次ぎ、暗号資産市場は冬どころではなく氷河期を迎えました。
双方とも実態はポンジスキームでしたが、崩壊するまでそれが発覚することはありませんでした。 これを教訓として、各国とも暗号資産プロジェクトに対しての規制と監査を強めていく流れが続いていくと考えられます。
ケイマンやバハマ等の規制がほとんど存在しない領域に本拠地を置いて規制を回避するスキームも近いうちに使えなくなるでしょう。 暗号資産業界の規制はまだまだ発展途上であり、当局もどのような規制を敷いてイノベーションと投資家保護のバランスを取るかを模索しています。
2023年内に多くの国や領域が、それぞれの規制に対する考え方を表明していく年になるでしょう。 暗号資産プロジェクトは必然的にグローバルなものとなります。
プロジェクト運営側も、どこの領域に本拠地を置き、どのような規制に服するのかを表明し、投資家保護の方向性を明確にすることが重要です。 これまで起こった数々の事件により、投資家は慎重に投資先を選択しています。
また、暗号資産の経験が無いユーザを新規に引き込むためには、プロジェクトの信頼性をアピールする必要があります。どちらの観点からも、合理的な規制の準拠が今後求められていくことになるでしょう。 規制に準拠した DeFi は「RegDeFi」と呼ばれています。今年度は RegDeFi の年になるといえるでしょう。
仮想NISHI/SBI VCトレード
2022年の暗号資産マーケットは、「暗号資産の冬」と呼ばれる年になりました。
5月に「テラショック」と呼ばれるステーブルコインの崩壊により市場全体が急落。その余 波で7月には大手ヘッジファンド「Three Arrows Capital」が破綻しさらに急落。
一息ついたと思いきや、11月には世界大手の暗号資産取引所「FTXトレーディンググループ」が破綻するなどの影響で市場は一層冷え込み、2022年のビットコインは年初から最大約6割下落する年となりました。
ただ、2023年はイーサリアムの大型アップグレードやライトコインの半減期、加えて日本ではステーブルコインや暗号資産税制などの法改正が検討されています。
相場に「冬」があればいずれ「春」も訪れるでしょう。 SBI VCトレードでは、きたる「Web3時代」に準備すべく、1月25日に「SBI Web3ウォレット」をリリースいたします。
近い将来、日本人の生活必需品がWeb3ウォレットとなる時代が来ると考えており、弊社のプロダクトがその決定版だと確信をしています。
トレスト/Symbolバリデーター
2022年は誰も予想できなかった大波乱の一年になりましたが、ブロックチェーン技術の可能性追求はそこそこに、利益が追求され過ぎた結果でもあるような気がします。
もちろん、利益追求は大切なことなので否定はしませんが、痛みを通してでないと学べないこともあろうかと思います。 2023年は世界的に規制が強まり始めるのでしょうか。自由という責任のもとに人が間違いを起こしてしまうのであれば、規制は受け入れるべきことなのかもしれませんが、ブロックチェーンを通じた社会課題の解決など、本来あるべき部分にもっとフォーカスされ始めてほしいと思います。
SymbolはNEMから派生して3年目を迎えます。近い将来、米国による多くの暗号資産の証券認定から回避すべくなのか、コア開発陣はステルスな開発活動をしているらしく、コミュニティにはオープンな形で情報や進捗があまり降りてこない状態です。
しかし、Symbolはすでに完成されたチェーンですし、運営主体のないパブリックチェーンなので、彼らがやる気がないなら、コミュニティの誰かがやる気をだせばいいだけです。それこそが自律分散型な経済圏のあるべき姿です!
というのは強がりです。もうね、NEMの時代から、取引所から大盗難されてしまうわ、その後、当時先導してた財団の破産が大誤報されるわ、気付いたら解散するわ、次の新団体までも解体するわ、やる気あるのかないのかイマイチ伝わらない自称海賊団が大登場するわで、まだ気苦労しか経験してない自由なチェーン!(辛み)
でも、例えば、日系タイ企業のサイアムレイワ社のように、Symbolを医療大麻トレーサビリティに用いる事業を打ち上げ、コミュニティがテストネット検証にどしどし参加するなど、コミュニティドリブンであることは今も昔も強みなので、この暗号資産の焼け野原に草生える頃、ダークホースになれる力は存分にあります(確信)
樋田桂一/ブロックチェーン戦略政策研究所
昨年はWeb3元年であったが、今年は暗号資産の価格的にはBTCの半減期による盛り返しも考えられるものの、世界的には、海外での大規模なリストラや事業縮小なども含め低迷が継続する、まさに冬の時代が予感される。そのような中でも春に向けての仕込みをしっかり行うことが重要な一年になるであろう。
一方、日本では遅れてのWeb3ブームが始まっている。昨年始まった自民党Web3PTでの政策検討や各省庁、経団連等の経済団体の取り組みに後押しされる形で、日本国内では、海外状況と暗号資産価格の低迷はよそに、今年はさらなるWeb3の盛り上がりが期待される。
特に大企業の旺盛な興味がWeb3業界の表に出てくる可能性がある。クリプト・ブロックチェーン業界では過去何度も繰り返しブームが起こっているが、政府および産業界が強く後押しをしてくれていることは今回が初めてである。この大波を業界、Web3企業がうまく乗りこなせるか、またはその大波に飲まれて藻屑になるか、今年が勝負になるであろう。
過去のブロックチェーン業界と比べると、日本の現状は圧倒的に参加人数も増え、暗号資産だけでなくWeb3のサービスでも多くのスタートアップが誕生しており、長年この業界を見てきたものとしては大変心強い状況にある。
特に今の30代前後の世代(暗号資産周りの40代を第一世代というと、第2世代)への期待は非常に高く、活躍が期待されている。第1世代は活動を辞めたわけではないが、第1世代が第2世代を後押しをしていく立場になり、第2世代が中心に新たなサービスを日本から展開していくことになるであろう。
当社の専門領域である政策提言・ロビー活動においても、第1世代として第2世代が活躍できる環境作りで貢献していきたいと考えている(今後は一緒にロビー活動等をして頂ける第2世代の育成も行っていく予定です)。 今年も皆さんのご活躍を陰ながら応援しております。
坂井豊貴/慶應義塾大学・Economics Design Inc.
今年は普通の商売で強い企業が、web3に参入して勝っていく年になると思います。
少なくともその潮流が目立ってきます。 何の用途があるか分からないトークンは、一時期ブームで高い価格になっても、長続きはしない。当たり前のことのようですが、これが昨年は市場のコンセンサスとして、以前よりかなり強まったように思います。「to earn」でバラまかれた微妙なトークンが、そのコンセンサスを与えてくれました。
「to earn」自体は今後も魅力的なモデルだと思いますが、無から有を生むようなことはできない。私自身はくだらないトークンが大好きなんですけどね。最近だと$SBFP(SBF in Prison)とか。もちろん大損しました。
結局トークン価格が維持され続けるには、そのトークンに用途がないといけない。そのためには、運営者は価値あるサービスを提供せねばならない。普通の商売と同じように。
今年は普通の商売で強い企業がweb3領域に入ってきて、きっちり勝っていくと思います。トークノミクスの外部に価値を与えて、内部にお金を入れて、きちんとエコシステムを維持できる企業ですね。いよいよweb3本番だと思っています。
星暁雄/ITジャーナリスト
2023年初の今、気になっていることは「仮想通貨を推進する人々にはどのような責任があるのか」という問いである。 最も初期のビットコインは、サイファーパンクやPure P2Pの理念に沿って、匿名/仮名の個人による経済的な自由を目指していた。
だが、仮想通貨が進展、普及した今では状況がより複雑になっている。マネーロンダリング対策によりKYC(本人確認)やOFAC制裁リストの適用が進んだ。仮想通貨事業者やDappsが預かるデジタル資産の種類と数量が増えて複雑化し、不正や事故の影響が連鎖しやすい状況となった。
Terraの崩壊、FTXの崩壊はそのようなリスクが顕在化した事例だ。これらの事態を受け、今後も規制強化が進むだろう。 今では金融経済の分野でも「責任」が見直されている。日本の年金積立金を運用するGPIFを含め、多くのファンドがRPI(責任投資原則)に沿って運用されている。個々の民間企業も「ビジネスと人権に関する指導原則」の導入やESGによる情報開示が求められている。
例えば企業活動に伴うサプライチェーン全体の人権状況や環境負荷の情報開示が進んでいる。今の金融経済の主流派の考え方は「経済活動の自由には責任が伴う」「企業は社会への配慮が必要である」というものだ。
仮想通貨が進展、普及して社会の一部になれば、金融安定や環境問題への責任も問われる。仮想通貨は規制が必要な厄介な異物と見なされ続けるのだろうか。
あるいは、仮想通貨のコミュニティが責任を果たし社会と平和的に共存する将来がやってくるだろうか。2023年はそのことを考える年にしたい。
中村奎太/メルコイン
2022年は、暗号資産業界にとって激動の1年になったと感じます。一昨年のNFTブームをスタートに、Web3.0としての流行にも一筋の光が差した一年だったと思い、2023年のブロックチェーンを取り巻く業界の進化と成長が今からとても楽しみです。
私は、2017年にブロックチェーンエンジニアとしてメルカリにインターンで参加し、2018年に入社したのですが、その時からブロックチェーンの可能性を強く信じてきました。入社後に社内でもさまざまなブロックチェーン関連の取り組みに関わってきた身として、昨今のFTXの破綻などネガティブなニュースもあった中ですが、DAOやBCGなどが少しづつ市場に受け入れられているのを見ていて、いよいよ想像していた世界が近づいてきていると感じ、ワクワクしています。
メルカリでは、今年の春にメルカリアプリでビットコインを購入できる機能の提供を開始する予定です。
2023年は、これまで暗号資産やNFTに関わらなかった方々にも可能性と価値が届いていく年になると思っていますし、その一端をメルカリ・メルコインとしても担っていきたいと思います。
おわりに
本企画を最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。今年はメディア創刊以来最多の80人以上の方々に寄稿いただけました。ご協力いただきました皆様に、編集部一同、深く感謝申し上げます。
これからも「あたらしい経済」は、日本のブロックチェーン・暗号資産業界を、業界内の皆様、そして読者の皆様と一緒に盛り上げるべく、メディア運営に邁進していきたいと思っております。
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編集:設楽悠介・竹田匡宏・大津賀新也・髙橋知里・小俣淳平・一本寿和(あたらしい経済 編集部)
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