欧州投資銀行が約143億円分のデジタル債発行、ゴールドマンサックスのPF上で

欧州投資銀行が約143億円分のデジタル債発行

欧州投資銀行(EIB)が、ゴールドマンサックス(Goldman Sachs)、サンタンデール銀行(Santander)、ソシエテジェネラル(Société Générale)と共同で、1億ユーロ(約142.7億円)のデジタル債券をプライベートブロックチェーン上で発行したことを11月29日に発表した。

今回のデジタル債券の発行はEIBが主導する「プロジェクトヴィーナス(Project Venus)」の一環として実施され、発行にはゴールドマンサックスのトークン化プラットフォーム「GS DAP」が利用されたとのこと。なお今回のデジタル債券は「GS DAP」上で発行された初めてのデジタル債券になるという。

さらにEIBは、発行したデジタル債券を用いた取引も実行したとのこと。取引はフランス銀行が発行した実験的な中央銀行デジタル通貨(CBDC)を対象として行われ、決済にはルクセンブルク中央銀行が関わったとのこと。

なお今回の取引は、プライベートブロックチェーン上で当日決済(T+0決済)された初のシンジケート取引となったとのこと。またデジタル債券とCBDC(中央銀行デジタル通貨)を利用した初のクロスチェーンDvP決済となったとのことだ。なおDvP決済とは、証券の引渡しと代金の支払いの両方を条件づけることで、どちらかが行われなければ決済が実行されないような仕組みを取る決済のこと。

EIBの副総裁であるリカルド・モウリーニョ・フェリクス(Ricardo Mourinho Félix)氏は今回の取り組みについて「ブロックチェーンは、欧州のデジタル移行を成功させる上で中心的な役割を果たし、私たちの技術的主権を強化するものです。イノベーションはEIBのアイデンティティの一部であり、今回のデジタル債券の発行は、完全なデジタルエコシステムの発展を支援するもう一つの重要なステップです」とコメントしている。

またゴールドマンサックスのデジタル部門グローバルヘッドであるマシュー・マクダーモット(Mathew McDermott)氏「EIBは2つのブロックチェーンネットワークで即日決済を行うことでイノベーションをさらに推し進めようとしています。この取引は、ゴールドマンサックス独自のトークン化プラットフォーム(GS DAP)の立ち上げでもあり、EIB、フランス銀行、ルクセンブルク中央銀行とともに、この取り組みに参加できることをうれしく思います」とコメントしている。

EIBは2021年4月にイーサリアムネットワークを使用してデジタル債券を発行している。このときも今回と同様にゴールドマンサックス、サンタンデール銀行、ソシエテジェネラルとの共同プロジェクトとなっていた。

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参考:EIB
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Alexandros-Michailidis

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この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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