【取材】日本発NFTFiプロトコルのUnUniFi、gumi Cryptosやコインチェックらから約2.5億円調達

UnUniFi、gumi Cryptosやコインチェックらから約2.5億円調達

NFTレンディグプロトコルを開発するUnUniFi Protocol(アンユニファイプロトコル)が、シードラウンドで150万ドル(約2.5億円)調達したことを12月1日に発表した。

このシードラウンドはgumi Cryptos Capital(グミクリプトスキャピタル)が主導し、Coincheck(コインチェック)、Hyperithm(ハイパーリズム)、MZ Web3 fund(MZウェブスリーファンド)、Arriba Studio(アリーバスタジオ)、gumi group(グミグループ)が参加している。

UnUniFiはコスモス(Cosmos)エコシステム上の内部NFTマーケットプレイスを通じて効率的なNFTレンディングを提供するためのLayer1ブロックチェーンプロトコル。

2021年第4四半期に開発を開始し、2022年5月にメインネットが立ち上げられた。テストネットには2万人以上が参加し、大手バリデーター8社と連携したという。なお同プロトコルは日本人若手起業家である木村優氏が創業し、現在はシンガポールを拠点に活動している。

UnUniFiは、実需データを用いて計算された独自のNFT評価アルゴリズムを作成するNFTFi(NFT×金融)プラットフォームであると同時に、ユーザーが借りた資産に対して自動的にDeFi(分散型金融)利回りを生成できるようにするプロトコルだという。

リリースによれば、UnUniFiの技術は機関投資家に拡張可能で、NFT評価オラクルとして他のプラットフォームが外部に実装可能とのことだ。

ちなみに木村優氏は「UnUniFiの真の有用性は、独自の評価アルゴリズムによるNFTFi機能と、当社のチェーン間利回りアグリゲーターとの組み合わせです」とリリースで伝えている。

なお今回調達した資金は、ロードマップに沿った継続的な開発とスケーラビリティに活用し、当面はプロダクトのリリースとプロダクト・マーケット・フィット(PMF)の実現に注力していくとしている。

gumi Cryptos Capitalのマネージングパートナーであるルイ・チャン(Rui Zhang)氏は「NFTは重要な資産クラスとなったため、多くのプロジェクトがNFTを中心とした融資エコシステムを構築しようとしています。しかしNFTの特殊性から、流動性が低いと融資資金の回収が困難な状況に陥ります。不況時には、これがボトルネックになります。UnUniFiは、価格発見機能を内蔵したマーケットプレイスインフラで構成されており、初期段階から流動性を確保することが可能です。UnUniFiは、NFTFiという巨大な市場にチャンスをもたらすことができると確信しています」とリリースで説明した。

追記:12月2日10時45分

UnUniFi創業者木村優氏へ取材

あたらしい経済編集部はUnUniFi創業者木村優氏へ取材を行った。

–FTXやBlockFiの破綻を機に、暗号資産のレンディングビジネスの不透明性などが話題にあがっていると思いますが、NFT技術を活用したレンディングサービスは不透明性の問題をどのように解決していけると考えていますか?

オンチェーンで記録される担保付きレンディングは、信用収縮問題の緩和の助けにはなりますが完全解決するものではないし、そもそも信用収縮の問題というのは完全には解決できないものだと考えています。常にいたちごっこというか、緩和し続けるしかありません。

どういうことかというと、Aさんが1000BTCもっていたとして、Bさんが1000BTC相当の価値があるNFTを担保に、1000BTCを借り入れたとしましょう。

UnUniFiのNFTFi機能ではNFT担保レンディングなので、仮にBさんが債務不履行になってもAさんが1000BTC相当の価値がある担保NFTを回収することができるため、Bさんの債務不履行と同時にAさんのバランスシートも債務超過になる、といった連鎖倒産のおそれはありません。

一方で、Bさんが、”Cさんに1000BTC返してもらう権利のNFT”、いわば債権NFTを担保にして、Aさんから1000BTC借りるとどうなるかを考えましょう。ここでCさんがBさんに対して債務不履行になり、かつBさんがAさんに対して債務不履行になった場合、Aさんは”Cさんが債務不履行になった債権のNFT”だけが手元に残り、Aさんに損失が発生します。この場合、CさんからAさんへの連鎖倒産の可能性があります。なので担保付レンディングも、連鎖倒産を防ぐ銀の弾丸というわけではありません。ただし重要なのは、オンチェーンで記録されることにより透明性は間違いなく向上するということです。

どの経路で連鎖倒産が起きうるのかといった評価を下しやすくなるだけで、適切なリスクプレミアムがつきますし、危ないことをしている会社には貸さないでおこうという意思決定も容易になります。

FTX/Alamedaの件も、ブランド力と単体ベースで膨張したバランスシートに起因する幻想の信用力により、彼らに貸し出され続けていたのが原因の一つですから、透明性があれば問題はもう少し規模が小さく済んだのではないでしょうか。

–また木村さんが考えるレイヤー1ブロックチェーンの定義について説明していただけますか?

ブロックチェーンのノード間の合意を、ほかのどのブロックチェーンにも依存せずに決定できるブロックチェーンをL1と呼ぶと考えています。

例えばArbitrumなんかは、(そもそもブロックチェーンでもないのですが)、トランザクションの最終的なセトルメントがEthereumに依存しているのでL1ではなくL2です。

一方でOsmosisやUnUniFiなどは、IBCと呼ばれる通信規格によって、IBCに対応したブロックチェーン同士で相互に連携することができますが、最終的なコンセンサスは独立自存になっています。

これはこのL1の定義からしてL1になります。

–クリプトサービスのPMFにおいて、重要視していることはなんでしょうか?

クリプト業界は最先端な業界なため未知の領域も多いのですが、その分とにかくよくわからないものはすごいというような雰囲気が醸成され、ユーザーターゲティングやユーザー体験を無視したとにかく簡単なことを難しくしているだけの自慰行為的な発明に逸れてしまいやすいし性質があると思っています。

そういうことをするのではなく、今ある技術がどのように使われるのか、既存の技術と比べて何が優れているのかという未来予測の指針は当然持った上で、どんなユーザーに使ってもらうのか、どんなユーザーが利便性を感じるのかといった観点の解像度を上げることが重要だと考えています。

参考:UnUniFi
images:iStocks/BadBrother
デザイン:一本寿和

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。