「暗号資産業界には明確な規制必要」、バイナンスCZが指摘

バイナンスのCZが「暗号資産業界には明確な規制必要」と指摘

世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のCEOである「CZ」ことチャンポン・ジオ(Changpeng Zhao)氏が、「最近の動向を考えると業界には明確な規制が必要」との認識を示した。

インドネシア・バリ島で開催された会合で「我々は新しい業界におり、この1週間、業界は狂乱状態に陥った」と指摘。「一定の規制を必要としており、これを適切かつ安定した方法で行う必要がある」と述べた。

また「この業界には消費者を保護し、全ての人を守る役割があると思う。つまり、規制当局だけではない。規制当局にも役割はあるが、100%彼らの責任ではない」とも語った。

大手暗号資産デリバティブ取引所FTXは11日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表。FTXを巡っては、バイナンスが9日、FTXトレーディングの米国以外の事業部門「FTX.com」を買収する方針を撤回した。

なおCZ氏は買収発表後に「全ての暗号資産取引所が準備金の証明を行う必要がある」と主張している。

同氏は「銀行が準備金を投融資に回し運営を行うが、暗号資産取引所はそれをすべきでない」と述べ、近くバイナンスが準備金を証明し、完全な透明性を示すことを明かしている。その後10日にはバイナンスが保有する資産の一部である、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、バイナンスUSドル(BUSD)、バイナンスコイン(BNB)、テザー(USDT)、USドルコイン(USDC)のウォレットアドレスおよび残高を公開している。

FTX破産申請までの経緯

なおFTXが破産となったまでの発端は、FTXグループ企業の暗号資産投資会社アラメダリサーチの財務情報が流出したことから始まった。これによりアラメダの資産146億ドルのうち、その多くがFTXが発行したFTXトークン(FTT)であり、また負債の一部についてもFTTで構成されていたことが明るみになった。FTTを担保にしたローンも確認されており、FTTの売買によって資金を調達していた可能性が伺える。

このFTTの流動性に懸念を示したCZ氏は、自社が保有していた多額のFTT全て(FTXからの株式撤退により同社から得たFTTとBUSD合わせて当時の価格で20億ドル相当といわれている)を売却するという方針を6日に示していた。このことが市場に対し大きな売り圧となり、FTTの価格が急落。11月3日には約20ドルだったFTTの価格は約3ドルまで急落していた。これによりFTXでは資産の引き出しが急増。FTT流通額と同額の資産を保有していなかったFTXは資金難に陥った。

なお、のちにFTXがアラメダの損失に対し、FTTやロビンフッドマーケットの株、顧客資産を含む40億ドルを送金し補填していたことがリークされている。FTXが不足していた資金の合計は80億ドルで、そのうち引出しなどの支払いには40億ドルが必要だとされていた。この額がアラメダに補填された送金額と同額であることから、引き出しに対応できず資金不足に陥った可能性が高いとされている。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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