バハマ警察、FTXへ犯罪捜査開始

バハマ警察がFTXへ犯罪捜査開始

王立バハマ警察(RBPF)が、破産申請手続きを開始したFTXグループに対して犯罪行為がなかったかの捜査を開始した。RBPFが11月14日発表した。

このFTXへの捜査は、RBPFの金融犯罪捜査局 金融投資家チームがバハマ証券取引委員会と連携し行っているとのこと。なおFTXはバハマに本社を置いている。

バハマ証券取引委員会は11日、バハマの規制下にある暗号資産取引所で、FTX子会社のFTXデジタルマーケット(FTX Digital Markets:FDM)および同国のFDM関連会社の資産凍結を発表した。これによりFDMの資産、顧客資産、FDMが保有する信託資産は臨時清算人の承認が無ければ処分できなくなっている。

バハマ証券取引委員会はこの資産凍結の決定について「当局はFDMの顧客資産が不正に管理され、アラメダ・リサーチ(Alameda Reseach)に譲渡されたことを示唆する発言を認識しており、そのような行為は通常のガバナンスに反し、顧客の同意がなく、違法となる可能性がある」と述べていた。

その後同日の11日にFTXは連邦破産法第11章(チャプター11)を申請し手続き開始したことを発表した。チャプター11の対象となるのは、FTXトレーディング(FTX Trading)の他、FTX US、アラメダリサーチ(Alameda Research)、FTXジャパン(FTX Japan)などFTX関連約130社が含まれる。なお対象外となるのはレジャーエックス(Ledger X)、FTXデジタルマーケット(FTX Digital Markets)、FTXオーストラリア(FTX Australia)、FTXエキスプレスペイ(FTX Express Pay)の4社となる。

なおFTXが破産となった発端は、アラメダリサーチの財務情報が流出したことから始まった。アラメダの資産146億ドルのうち、その多くがFTXが発行したFTXトークン(FTT)であり、また負債の一部についてもFTTで構成されていたことが明るみになった。FTTを担保にしたローンも確認されており、FTTの売買によって資金を調達していた可能性が伺える。

このFTTの流動性に懸念を示した大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)のCEOであるCZ氏は、自社が保有していた多額のFTT全て(FTXからの株式撤退により同社から得たFTTとBUSD合わせて当時の価格で20億ドル相当といわれている)を売却するという方針を6日に示していた。このことが市場に対し大きな売り圧となり、FTTの価格が急落。3日には約20ドルだったFTTの価格は約3ドルまで急落していた。これによりFTXでは資産の引き出しが急増。FTT流通額と同額の資産を保有していなかったFTXは資金難に陥った。

のちにFTXがアラメダの損失に対し、FTTやロビンフッドマーケットの株、顧客資産を含む40億ドルを送金して補填していたことがリークされている。FTXが不足していた資金の合計は80億ドルのうち、引出しなどの支払いには40億ドルが必要だとされていた。この額がアラメダに補填された送金額と同額であることから、引き出しに対応できず資金不足に陥った可能性が高いとされている。

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。