MASやJPモルガンやSBI、DeFiで初の「クロスカレンシー取引」実行

JPモルガンやSBI、DeFiを利用した初のクロスカレンシー取引を実行

シンガポール金融管理局(MAS)が、ホールセール市場におけるDeFi(分散型金融)の応用を検証するための試験運用完了を11月2日に発表した。

今回の試験運用は、金融業界へのブロックチェーンの適用や新たな技術規格の設定を目的とするMASのイニシアチブ「プロジェクト・ガーディアン(Project Guardian)」の一環として実施された。

試験運用にはMASの他に、DBS銀行、JPモルガン、SBIデジタルアセットホールディングスが参加した。これらの金融機関が、トークン化されたシンガポール国債、日本国債、日本円、シンガポールドルの流動性プールを対象として、DeFi上で為替取引および国債取引を実行したとのことだ。金融機関がDeFiを利用して通貨取引を行う事例は、初となるとのこと。

取引に使用されたコントラクトは、暗号資産レンディングプラットフォームであるアーベ(Aave)のコントラクトに修正を加えたものとなっている。取引自体はポリゴン(Polygon)メインネット上で行われたとのことだ。

MASによると、今回の試験運用にて「トークン化された資産のクロスカレンシー取引が、参加者間で直接かつ瞬時に取引・清算・決済されることが実証された」とのこと。そしてこれにより、仲介者を挟んだ取引や二者取引の管理にかかるコストを削減できる可能性があるとのこと。

MASのチーフ・フィンテック・オフィサーであるソフネンドゥー・モーハンティ(Sopnendu Mohanty)氏は「今回のパイロットは、適切なガードレールがあれば、デジタル資産とDeFiが資本市場を変革する可能性があることを実証しています。これは、より効率的で統合されたグローバルな金融ネットワークの実現に向けた大きな一歩です」とコメントしている。

またJPモルガンのブロックチェーン部門オニキス(Onyx)のデジタル資産責任者であるタイ・ロバン(Ty Lobban)氏はツイッターにて「JPモルガンは、プロジェクト・ガーディアンの一環として、DeFi、トークン化された預金、検証可能な証明書を使用して、パブリックブロックチェーン上で最初のライブ取引を実行しました」と述べている。

MASはプロジェクト・ガーディアンの他にもリテール型CBDC調査を目的とするイニシアチブ「プロジェクト・オーキッド(Project Orchid)」も進めている。プロジェクト・オーキッドの一環としてMASとDBS銀行はデジタルシンガポールドルを政府バウチャーとして活用するための運用試験を10月27日から開始している。

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参考:MAS
デザイン:一本寿和

images:iStocks/style-photography

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この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。