グレイスケールがSECを提訴、ビットコイン現物ETF拒否に対し

グレイスケールがビットコイン現物ETF拒否についてSECを提訴

大手暗号資産(仮想通貨)運用会社グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が、同社のビットコイン現物ETF(上場投資信託)の申請を拒否した米国証券取引委員会(SEC)を提訴した。10月11日に提出された裁判所への意見書面によって明らかになった。

グレイスケールは2021年10月に同社が運営する世界最大のビットコインファンド「グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」をETFに転換する案をSECに申請。しかしSECは2022年6月にこの申請を却下していた。今回の提訴は、SECのこの判断に対して行われた。

意見書面によると、争点は以下の2つである。
(1)SECが適切な理由なくビットコイン先物取引商品とビットコイン現物取引商品を区別して扱っており、この命令に一貫性や合理性が無いこと。
(2)SECは「重要市場テスト(原資産に対する取引所の監視能力を測るテスト)を満たさない」という理由でETFへの転換案を却下したが、この命令が恣意的かつSECの法的権限を逸脱していること。

SECはこれまでに複数のビットコイン先物ETFを承認しているものの、ビットコイン現物ETFについては1件も承認していない。グレイスケールは「先物ETFも現物ETFも同じ資産の指標に基づいて価格が決まるため、両者に対して同じリスクと保護が適用されるべきである」と主張している。

また重要市場テストについては「ビットコイン関連ETFのみに適用したテストには欠陥があり、ビットコイン現物ETFに対して特別な厳しさをもって適用されている」と主張している。

グレイスケールはSECの姿勢を総合して「このような著しい恣意性は、同様のケースを同様に扱うというSECの義務に照らしても、正当化することはできない。むしろ、これはビットコインの現物投資のメリットに関する実質的な判断、つまり委員会の権限外の実質的な判断としか理解できない」と論じている。

今回の提訴についてグレイスケールの法務責任者であるクレイグ・サーム(Craig Salm)氏は「投資家がビットコインへの投資に規制されたアクセスを持つことができるように設計された商品であるGBTCを85万人以上のアメリカ人が所有しています。米国の投資界を代表して、私たちはグレイスケールの意見書面で明らかにした論点に自信を持っており、SECの回答を楽しみにしています」とコメントしている。

SECは11月9日までに今回の意見書面に対する回答書面を提出する必要がある。

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参考:Grayscale Investments
デザイン:一本寿和
images:iStocks/PhonlamaiPhoto

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この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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