米SECがキム・カーダシアン氏を提訴
米SEC(証券取引委員会)が、モデルや実業家、リアリティー番組への出演などの活動で知られるキム・カーダシアン(Kim Kardashian)氏を提訴したことを10月3日発表した。
SECによると、カーダシアン氏は報酬を受け取っていたことを公表せずに暗号資産(仮想通貨)イーサリアムマックス(EMAX)をSNS上で宣伝していたという。この行為が証券法違反にあたると指摘されている。
なおSECの執行部門のディレクターであるグルビル・グレワル(Gurbir S. Grewal)氏は「米連邦証券法では、暗号資産証券を宣伝する有名人及び個人は、報酬金額や出所、性質などを公表しなくてはならないと明確に定めている」と述べている。
カーダシアン氏は自身のインスタグラムにてEMAXのウェブサイトへのリンクを含め投稿していた。この行為により、同氏が潜在的な投資家に対しEMAXを購入するための知識を提供したとSECは判断したようだ。またこの投稿の報酬として、同氏は25万ドル(約3,600万円)を受け取っていたという。
このようなSECの指摘について、カーダシアン氏は認めることも否認することもせず、罰金の他、不正に得た利益、判決前の利息を合わせて126万ドル(約1.8億円)の支払いに同意したとのこと。また暗号資産証券を3年間は宣伝しないことにも同意したとのことだ。
今回の件についてSECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は「有名人やインフルエンサーが暗号資産証券を含む投資機会を支持しても、それらの投資商品がすべての投資家に適しているとは限らない。投資家には自身の目的に照らし、潜在的なリスクと機会を検討することを我々はお勧めしたい」とコメントしている。
カーダシアン氏とEMAXをめぐる問題は、同氏が昨年6月に当時2億2,800万人ものフォロワーを抱える自身のインスタグラムでEMAXの宣伝を行ったことから始まった。その後EMAXの価値は24時間で3分の1まで暴落していた。
またそれと同時期には、元プロボクサーのフロイド・メイウェザー(Floyd Mayweather)氏や元プロバスケットボール選手のポール・ピアース(Paul Pierce)氏もEMAXの宣伝を行っていたことが報じられている。
そしてカーダシアン氏、メイウェザー氏、ピアース氏らを含めたEMAXのプロモーターらは今年1月に、この宣伝行為に関して、投資家らから集団訴訟を受けていた。
Today @SECGov, we charged Kim Kardashian for unlawfully touting a crypto security.
— Gary Gensler (@GaryGensler) October 3, 2022
This case is a reminder that, when celebrities / influencers endorse investment opps, including crypto asset securities, it doesn’t mean those investment products are right for all investors.
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参考:米SEC
デザイン:一本寿和
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