NPO法人のDAO化、ドットジェイピーとガイアックス協業

NPO法人のDAO化、ドットジェイピーとガイアックス協業

ガイアックスおよび若者と政治をつなげる活動を行うNPO法人ドットジェイピーがブロックチェーン技術を活用し、非営利組織をDAO化していくプロジェクトを開始することを8月29日に発表した。

ドットジェイピーは「若者の投票率向上」を目標に、1998年に設立された非営利団体(NPO)だ。同NPOは、現在全国35の拠点、700名の大学生スタッフが所属し、大学生を対象としたインターンシッププログラム(議員事務所・大使館や国際機関・NPOなど)を運営し、25年間で4万人が参加した実績を持つ。また国内最大規模の政策コンテストも運営している。

今回のプロジェクトでは、両社は「社員だけによるプラットフォーム運営」から、DAOという「ユーザーや社外の協力者も巻き込み、一体となったプラットフォーム運営」という取り組みを通じて、主にNPO法人などの非営利組織が抱える人材リソース不足、PRやマーケティング不足を補いながら、社会認知を獲得し、社会課題の改善・解決のスピードを飛躍的に向上させる事業モデルを提示していくとのことだ。

そしてこのDAO化プロジェクトでは、まず組織内の大学生スタッフがより自律的にこのプラットフォーム運営に取り組める基盤を構築していくとのことだ。また将来的には、インターン生や受入議員事務所のみならず、あらゆる個人・法人に対してこのプラットフォームを開放し、トークン付与などの運営ルールを定めながら、若者の投票率向上という目標を達成するDAO実現を目指すという。

なおドットジェイピーDAO化プロジェクトの3つの特徴として「大学生主体の組織活動にブロックチェーン技術を導入」、「活動で獲得できるトークン(NFTを含む)は事業運営に必要な経費として消費可能」、「協力者の貢献を可視化」が説明されている。

2022年末までに大学生スタッフ700人にトークン(NFTを含む)を発行し、組織内におけるインセンティブの仕組みを設計していくとのことだ。そして2024年3月までに外部へ公開し、オープンなDAO化を目指すという。

ドットジェイピー理事長佐藤大吾氏は「NPO法人やソーシャルビジネスが取り組む「社会課題」を解決するための手法として、近年、様々なプレイヤーが共同して社会課題の解決に取り組むコレクティブインパクトという手法に注目が集まっています。そして、その究極の形が、組織内外関係なく、共通の目的に結集して行動するDAOだと考えています。ドットジェイピーは、若者の投票率向上を目指し、大学生スタッフと協力して、25年間取り組んできました。見えてきた事実は、『インターンシップに参加した学生は投票に行くようになる』ということです。一方、ドットジェイピーだけの活動では、若者の投票率向上は成し遂げられないということもわかりました。だからこそ、本プロジェクトを通じて、最終的にドットジェイピーの枠を超えたDAOを作りあげ、多くの方々の叡智を結集させることで若者の投票率向上を目指します」とリリースで伝えている。

株式会社ガイアックスの代表執行役社長である上田祐司氏は「本プロジェクトは、NPO法人の先駆者として、国民・政治というガバナンス領域に25年もの間活動されていらっしゃる団体が、これまでの知見を継承しながら、より変革するためにDAOを用いる、先進的な取り組みです。NPO法人のような『社会課題の解決』という共通目的に集うメンバーで構成される組織には、一人ひとりの可能性を最大限引き出し、自律的にプロジェクトが推進される仕組みであるDAOが非常に有効な手段だと考えています。ガイアックスは、『人と人をつなげる』をミッションに、フリー・フラット・オープンな組織づくりを志しており、今後も、全ての人の可能性を引き出し、他人のことを自分ごととして捉える社会を目指してまいります」と述べている。

なお担当者に確認したところ、DAOの基盤となるブロックチェーンは、現状イーサリアム(Ethereum)を予定しているが、未確定とのことだ。

images:iStocks/wvihrev
デザイン:一本寿和

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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