DTCCがコルダ利用の株式決済PFの本番環境運用テスト
米国金融市場に決済インフラを提供する大手金融企業DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)が、DLT(分散型台帳)決済プラットフォーム「プロジェクト・イオン・プラットフォーム(Project Ion Platform)」の本番同等環境での並行運用の開始を8月22日に発表した。
今回並行運用が開始されたこのプラットフォームの開発は、金融サービス業界の株式決済におけるDLTイニシアチブである「プロジェクト・イオン(Project Ion)」の取り組みの一つである。このプラットフォームは「耐障害性、安全性、拡張性のある代替決済サービスを顧客に提供すること」を目標として、バークレイズ(Barclays)、BNYメロン(BNY Mellon)、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)、ゴールドマンサックス(Goldman Sachs)、JPモルガン(J.P. Morgan)など多数の金融企業によって共同で開発されている。
DTCCによると「プロジェクト・イオン・プラットフォーム」の処理能力は1日平均10万件以上、ピーク時には約16万件とのこと。また同プラットフォームは現在の株式市場の主流であるT+2(取引日から2日後の決済)に加えてT+0の決済サイクルをサポートするとのことだ。
「プロジェクト・イオン・プラットフォーム」は今後も拡張が進められる予定であり、将来的には従来の株式決済サービスとの統合や全ての清算取引への対応などを実現するとのことだ。
DTCCのクリアリング・エージェンシー・サービスのマネージングディレクターであるマレー・ポズマンター(Murray Pozmanter)氏は「これは株式市場にとって画期的な成果であり、DTCCと顧客の深いレベルの協力とパートナーシップを反映しています。プロジェクト・イオンは、金融市場のデジタル化を推進する上で重要な一歩であり、業界の効率化、リスク管理、コスト削減を促進する刺激的で新しい機会への扉を開くものです」とコメントしている。
なお「プロジェクト・イオン・プラットフォーム」には米R3社の企業向けブロックチェーンであるコルダDLT(Corda DLT)が利用されている。R3社は日本のSBIグループが外部筆頭株主として出資を行う企業である。SBIホールディングスは、今回のコルダDLT採用により、コルダDLTが「規制下で活動する金融機関にとって信頼出来る基盤技術であること」が示されたとしている。
なおDTCCは今年4月に、DLTを利用した中央銀行デジタル通貨(CBDC)の決済基盤のプロトタイプを開発したことを発表していた。
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