千葉工大が学修歴証明書をNFTで発行、PitPaと共同で

千葉工業大学が学修歴証明書をNFTで発行

千葉工業大学とPitPa(ピトパ)が、NFTによる学修歴証明の発行を開始したことを8月18日発表した。

この「NFT学修歴証明書」は、伊藤穰一氏がセンター長を務める千葉工業大学変革センターにて2022年前期に行われたTenzin Priyadarshi教授による授業「気づきの原則」、および武邑光裕研究員による「メディアと文化」の授業を履修し単位を取得した学生に対し、8月9日付で発行されたとのこと。なお大学における学修歴証明書のNFT化は国内初の試みになるとのことだ。

千葉工業大学とPitPaはこの「NFT学修歴証明書」について、「大学での単位修得情報をブロックチェーン上に書き込むことで、偽造できない証明書を発行することが可能となった」と述べている。

発表によると「NFT学修歴証明書」は、Blockcerts(ブロックサーツ)の技術を応用し、Polygon(ポリゴン)のブロックチェーン上でミント(鋳造/発行)したNFTとのこと。Blockcertsは書類が改ざんされていないことを担保する「完全性」、書類の発行元が正しいことを担保する「真正性」に優れたW3Cに準拠したOSSで、ブロックチェーン証明書として世界標準規格とされているという。なおBlockcertsはマサチューセッツ工科大学やハーバード大学などの大学が導入しているとのことだ。

また「NFT学修歴証明書」は、暗号資産(仮想通貨)ウォレットの「メタマスク(metamask)」などで証明データを管理できるため、さまざまなプラットフォームにウォレットを接続するだけで表示や活用が可能となるとのこと。例として「大手NFTマーケットプレイスOpenSeaでの証明書表示」や「オンラインチャットサービスのdiscord(ディスコード)で入場証明等としての使用」、「DAO(自立分散組織)などで採用されているジョブ提供プラットフォームdework(ディワーク)での証明」に使うことが挙げられている。

さらに「NFT学修歴証明書」はW3Cが提唱するVerifiable Credentials(VC)の規格に準拠したデジタル証明書を拡張したものとのことで、NFTとVCを連動させることで学生のプライバシーに配慮したつくりとなっているのが特徴と説明されている。成績情報や細かい単位の内容などはオフチェーンで格納し、雇用サイドが照会する場合にのみ詳細情報を表示させるなどオンチェーンとオフチェーンデータをうまくブリッジするアーキテクチャ設計がされているとのことで、情報漏洩リスクの軽減が可能とのこと。

また「NFT学修歴証明書」は売買不可能な設定となっているため、学位が市場で取引されるリスクも回避されているとのことだ。

PitPaは今年3月、独自開発の「Dynamic NFT」を活用した会員証サービスを提供開始していた。このサービスは、PitPa制作の伊藤穰一氏のポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST -変革への道-」に導入されている。

なお「Dynamic NFT」とは、NFT発行後も特定の条件に合わせて「NFTの表示仕様」を変化させられる技術とのことだ。

「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道-」では、「Dynamic NFT」会員証である「HENKAKU Membership NFT」を提示することで、ポッドキャストのリスナーを中心に構成されるDiscordのコミュニティー「HENKAKU Discord Community」に出入りができる他、会員限定のイベントやパーティの入場券としても使用できるとしている。

NFTとは

「NFT(Non Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)」とは、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンを指す。NFTの規格で発行されたトークンは、そのトークン1つ1つで個別の価値を持つ。そのためNFTを画像や映像などのデジタルデータと紐付けることで、デジタルデータの個別の価値を表現することに活用されている。

なおNFTという言葉は現在幅広く活用されており、活用するブロックチェーンやマーケットプレイスの種類によって、その機能や表現できる価値が異なる可能性があることには留意が必要だ。

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参考:千葉工業大学
デザイン:一本寿和
images:iStocks/metamorworks

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。