イーサリアム財団、「マージ」に関する8つの誤解について解説

イーサリアム財団、マージに関する誤解を説明

イーサリアム・ファウンデーションが、イーサリアムのマージ(The Merge)に関するガイドを更新し、マージにまつわる誤解を解説した。

マージとは9月15日頃に予定されているイーサリアムの大型アップグレード。イーサリアムにおけるコンセンサスアルゴリズムをPoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)へ変更する為に、イーサリアム2.0のチェーン(ビーコンチェーン)にイーサリアム1.0のチェーン(エグゼキューションチェーン)を移行する計画となっている。

イーサリアム財団はマージにまつわる以下の8つの誤解を指摘し、正しい認識を説明した。

8つの誤解とは?

(1)ノードを実行するために32ETHをステーキングする必要がある→×
ノードを実行する(ブロックを受信し検証する)だけであればステーキングは必要ない。ブロックを作成し報酬を得るためにはステーキングが必要。

(2)マージによってガス料金が減る→×
ガス料金はネットワークの処理能力(供給)と混み具合(需要)に依存して決まる。マージはコンセンサスアルゴリズムの変更であり、ネットワークの処理能力を引き上げるものではないため、マージによってガス料金が大幅に変わることはない。

(3)マージによってトランザクション速度が著しく向上する→×
コンセンサスアルゴリズムの変更によりブロック生成速度が最大10%向上するが、これはユーザーが認識できるほどではない。

(4)ステークされたETHはマージ後に引き出すことができる→×
現在ステークされているETHおよびマージ後に発行されたETHは、マージ後もしばらくは引き出すことができない。マージ後のアップグレード(シャンハイ・アップグレード)により引き出せるようになる予定。

(5)バリデーターはシャンハイ・アップグレードまでETHの報酬を受け取ることができない→×
バリデーターへの報酬は、新しく発行されるETHと手数料報酬の2種類がある。このうち新しく発行されるETHは前述の通り出金できないが、手数料報酬については現在のメインネット上で処理されるため、即時利用可能である。

(6)ETHを引き出せるようになると、バリデーターは一斉に退出する
プロトコルにより、退出できるバリデーター数に制限が設けられているため、バリデーターが一斉に退出することはない。また、バリデーターが減少するとAPRが上昇するため、新たなステーカーが参入するインセンティブが増える。

(7)マージ後、ステーキングのAPRは3倍になる→×
イーサリアム財団の予測では、マージ後にステーキングAPRは50%ほど増加する。

(8)マージによりチェーンが一時停止する→×
マージのアップグレードはダウンタイムなしでPoSに移行するように設計されている。

マージ後のハードフォークの可能性

イーサリアムは今回のマージ後にPowチェーンをフォークする計画が立てられている。つまり正統なPoSチェーンとは別に残されたPoWチェーンが存続する可能性がある。PoWの継続は一部の取引所やマイナーに支持されているが、イーサリアムの創業者であるヴィタリック・ブテリン氏はフォークについて「大きな打撃とはならない」と述べており、PoSチェーンへの影響は少ないと見られている。

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参考:Ethereum
images:iStocks/Avi-Rozen

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この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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