みずほFGがセキュリティトークンの実証実験へ
みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほリサーチ&テクノロジーズが、セキュリティトークン(証券トークン/ST)の実証実験を実施することを7月29日発表した。
この実証実験は、セキュリティトークンの発行・流通に関わるボトルネックである第三者対抗要件の問題を解消することで、証券化商品の多様化、関係者間業務の効率化、取引の活発化を目指すものであるという。実施期間は8月1日~2023年3月31日とのこと。
具体的な実施内容としては、譲渡人、譲受人および債務者向けプロトタイプを用いて、参加者による債権譲渡の模擬実験を行い、現行制度に基づく実ディールにおいて、確定日付ある証書による通知または承諾を取得した場合と比較するとのこと。これにより「債権等譲渡通知または承諾を実施した者およびこれを受けた者が債権譲渡通知等がされた日時およびその内容を容易に確認することができるか」、「ブロックチェーンによる通知または承諾の一連のフローが、書面を用いた場合と比較して、簡便・迅速に行われるか」の検証を行うとのことだ。
なおこの実証実験におけるセキュリティトークンの発行・流通基盤には、Ginco(ギンコ)が参加しており、同社のキュリティトークン活用のためのパッケージシステム「Ginco Securities Wallet」がみずほグループの業務オペレーションおよび証券取引ワークフローに最適化したうえで提供されたとのことだ。
発表によるとこの実証実験の結果を踏まえ、債権譲渡の通知等に関する特例に係る新事業活動実施者の認定に向け申請を実施する予定とのこと。
そして新事業活動実施者の認定を受けた後には、みずほリサーチ&テクノロジーズが構築したセキュリティトークンの売買プラットフォームにおいて、みずほ信託銀行およびみずほ銀行が組成する不動産や金銭債権等各種資産を裏付けとした信託受益権等の証券化商品(債権)を取り扱い、投資家の権利移転をブロックチェーン上で管理して、デジタル完結で第三者対抗要件を具備できるようにするとしている。
これによりみずほは、セキュリティトークンの二次流通における業務効率化およびコスト削減を実現し、投資家の裾野拡大を目指すとのことだ。
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参考:みずほFG・Ginco
デザイン:一本寿和
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