セルシウス、「連邦破産法11条」適用を申請

セルシウス、連邦破産法11条適用を申請

米国の暗号資産レンディングプラットフォームであるセルシウス・ネットワーク(Celsius Network)が「連邦破産法11条」の適用をニューヨークの破産裁判所に申請したことが7月13日に明らかになった。

「連邦破産法11条」は再建型の企業倒産処理を規定した条項だ。企業の提出した再建案が、裁判所と一定数以上の債権者から認められれば、経営陣を変更せずに企業の再建を行うことができる。

同社の声明によると現在セルシウスは1億6700万ドル(約230億円)の現金を保有しており、「再建過程における特定の業務を支援するための十分な流動性を確保することができる」と述べている。また再建にあたっては、新たに2名の取締役とアドバイザーの任命を行ったとのこと。

裁判所に提出された書類によると、同社の負債額は10億ドルから100億ドル(1350億円から1兆3500億円)の範囲となっており、主要な債権者にはファロス・USDファンド(Pharos USD Fund)、ICBソリューションズ(ICB Solutions)、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)などがリストされている。

セルシウスの共同創業者兼CEOであるアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏は「破産申請は、我々のコミュニティと会社にとって正しい決断です。私たちは、このプロセスを通じてセルシウスをリードする、強力で経験豊富なチームを形成しています」とコメントしている。

セルシウスについては先日10日、米バーモント州規制当局が投資家に対する警告を発していた。同局は「セルシウスは破産しており、口座保有者や他の債権者に対する義務を履行するための資産と流動性が不足していると考えています」と主張していた。

またセルシウスは7月13日までに、同社に対する暗号資産の貸し手であるメイカー(Maker)、アーベ(Aave)、コンパウンド(Compound)の3つのDeFi貸付プラットフォームへの債務約7億ドルを返済し、過剰担保されていた10億ドル超の暗号資産を回収していた。

DeFi貸付プラットフォームでは、借入額以上の担保をプラットフォームに預ける必要があるため、借入額の返済を行うほど手元の暗号資産は増加していく。セルシウスは返済と担保の回収をくり返すことで順調に債務を減らしてきた。同社は7月7日にメイカーに対する債務を全額返済し、4億4000万ドル(約600億円)の担保を回収。7月12日にはアーベに対する債務を全額返済し、4億1000万ドル(約560億円)の担保を回収。そして7月13日にコンパウンドに対する債務を返済し2億ドル(約270億円)の担保を回収している。

またセルシウスについては今月初めに財務状況改善のための救済プランが提案されたものの、実行には至らなかった。救済プランの提案者であるバンク・トゥ・ザ・フューチャー(BnkToTheFuture)のCEOシモン・ディクソン(Simon Dixon)氏によると、セルシウス側が救済プラン実行の条件である「財務状況の開示」を受け入れられず、プランを拒否したようだ。

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参考: ①Celsius②裁判所提出書類(Scribd)③The Block④BnkToTheFutureインタビュー(YouTube)
デザイン:一本寿和
images:iStocks/AndreyPopov

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この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部 一橋大学2年生 真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

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