DICが廃プラスチックのトレーサビリティ実証実験
東証プライム上場の化学メーカーDICが、ブロックチェーン活用の「廃プラスチックのトレーサビリティ(生産流通履歴の追跡)システム」構築の実証実験を開始したことが7月8日分かった。この実証実験はSAPの「GreenTokenシステム」を利用して実施されるとのことだ。
「GreenTokenシステム」は、プライベートブロックチェーン技術を活用することでサプライチェーンの透明化を図るとともに、プラスチック素材の原材料から製品の製造・販売・使用、回収、粉砕を経て再利用されるまでの資源ライフサイクルにおける過程を追跡するシステムだ。
このシステムではデジタルツイン技術を活用し、原材料の出自に関連する固有の属性や、カーボンフットプリント、市場回収品の出自、サステナビリティ認証データなどの情報をトークンに記録するという。またトークンを発行することで、リサイクル原料が他の原材料と混合して新たな製品を生産した場合でも、そのリサイクル原料を追跡することが可能となるとのこと。
今回この「GreenTokenシステム」を実証実験に利用することで、生産の初期段階からサプライチェーンに沿って原材料を追跡し、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報などを可視化することを目指すとのこと。これにより顧客が再生プラスチックを使用する際、その製品にどの程度のリサイクル原料が含有しているかを提示することが可能になると説明されている。
この取り組みによりDICは、物から物へと再利用する「マテリアルリサイクル」に適さないとされる市場回収品の再生を目指す。リサイクル原料を含有したプラスチックを追跡し回収すれば、「ケミカルリサイクル技術(廃棄物を化学合成により他の物質に変えて原料にし新たな製品を作る技術)」を用いて、ポリスチレンを原料のスチレンモノマーに還元できる。これにより原料からプラスチックが再度生産できれば完全循環型リサイクルが実現できるとのことだ。
なお、あたらしい経済編集部がDICに確認を取ったところ「GreenTokenシステム」には、イーサリアム(Ethereum)ベースのエンタープライズ向けブロックチェーン開発基盤Quorum(クオーラム)が採用されているとのことだ。
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参考:DIC
デザイン:一本寿和
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