ボイジャー、連邦破産法11条適用を申請
米国の暗号資産ブローカーであるボイジャー・デジタル(Voyager Digital)が、連邦破産法11条の適用をニューヨークの破産裁判所に申請したことが7月6日に明らかになった。
連邦破産法11条は再建型の企業倒産処理を規定した条項だ。企業の提出した再建案が裁判所と一定数以上の債権者から認められれば、経営陣を変更せずに企業の再建を行うことができる。
ボイジャーは先日破産命令を受けたスリーアローズ・キャピタル(3AC)へ多額の貸付を行っていたため、3ACの債務不履行により同社の財務状況も悪化することとなった。
ボイジャーの提出書類によると、同社の資産は10億ドルから100億ドル(1350億円から1兆3500億円)の間となっており、負債額も同範囲となっている。また同社の最大の債権者はアラメダ・リサーチ(Alameda Research)で金額は7500万ドル(約101億円)となっている。
破産申請後に公開されたボイジャーの文書によると、同社は銀行口座に3億5000万ドル(約475億円)の現金を預けており、それに加えて1億1000万ドル(約149億円)の流動資産を現金および暗号資産として保有しているとのこと。
またプラットフォーム上に約13億ドル(約1764億円)の資産と、3ACに対する6億5000万ドル(約882億円)の債権を保有しているとのことだ。
さらに再建案については、新たに4人の独立取締役を任命するとのことだ。
ボイジャーは現在プラットフォームの出金を停止しているが、再建案が実行され次第アカウントへのアクセスを回復するとのこと。また口座に資産を持つ顧客に対しては、暗号資産、現金、普通株式、ボイジャートークンの組み合わせで返還を行うとのことだ。
ボイジャーのCEOであるスティーブン・エーリック(Stephen Ehrlich)氏は「この包括的な再編成は、プラットフォーム上の資産を保護し、顧客を含むすべてのステークホルダーに価値を最大化するための最善の方法です」とコメントしている。
また同氏はTwitterにて「私たちは業界の将来を強く信じていますが、暗号資産市場のボラティリティの長期化と、3ACのデフォルトにより、この決定的な行動を取ることが必要となっています」と述べている。
参考:裁判所提出書類
images:iStocks/AndreyPopov・antoniokhr
デザイン:一本寿和