【取材】日本発ゲーム特化ブロックチェーン「Oasys」、トークンで約25億円調達

「Oasys」、トークンで約25億円調達

ゲーム特化ブロックチェーンのオアシス(Oasys)が、約25億円の資金調達を行なったことが7月6日に分かった。調達資金は、ゲーム事業者や暗号資産取引所、エコシステム系企業などとのパートナーシップ強化や、組織体制の増強に活用していくとのこと。

なお資金調達は、今後発行予定のオアシスの独自トークンを活用して行ったとのことだ。

今回の資金調達は、米VCのリパブリック・キャピタル(Republic Capital)をリードに、クリプトドットコム(Crypto.com)、フォビ(Huobi)、ゲートアイオー(Gate.io)、クコイン(KuCoin)など海外暗号資産(仮想通貨)取引所、VCのフェンブシ・キャピタル(Fenbushi Capital)、日本のネット企業グリー(GREE)、 Infinity Ventures Crypto、NFTマーケットプレイス運営のtofu NFT、ビットバンク(bitbank)、Digital Entertainment Asset(通称:DEA)、ネットマーブル(Netmarble)会長のヨンシグ・クォン(Youngsig Kwon)氏、ネットマーブルCEOのグン・キム(Gun Kim)氏など複数投資家が参加したという。

そしてオアシスは日本発のブロックチェーンゲーム特化型プロジェクトとして、国内外の大手ゲーム会社とのコネクション、日本ゲーム・IPへの深い理解、web3事業における日本特有の課題への知見を活かし、日本ゲーム・IPを活用したブロックチェーンプロジェクトの推進を目指していくという。

グリー株式会社メタバース事業本部の村田卓優氏は次のようにコメントしている。

「グリーではこれまでソーシャルネットワーク、モバイルゲーム、メタバースとユーザコミュニティを基軸としたエンターテインメントサービスを展開して参りました。これからのエンターテインメントを加速する土壌としてブロックチェーンが台頭しつつある中で、同じ日本発のOasysの成長を確信し、この度ご一緒させていただくこととなりました」

リパブリック・キャピタルのパートナーであるブライアン・ジョンソン氏へ取材

「あたらしい経済」編集部は、リパブリック・キャピタルのパートナーであるブライアン・ジョンソン(Brian Johnson)氏、へ取材を行った。

−−ゲーム専用ブロックチェーンはどのような観点で重要になるとお考えでしょうか?

リパブリック・キャピタルでは、ブロックチェーンゲームを2つのカテゴリーに分類できると考えています。それは「Play to Earn」と「Play and Earn」です。 「Play to Earn」の場合、すべてではないにせよ、ほとんどのゲームはオンチェーンで行われます。

つまり、プレイヤーはゲームを進めるために、取引に署名し、支払いを行うことでブロックチェーンと対話する必要があります。

また、プレイヤーはゲームをプレイするためにオンチェーンアセットを購入する必要があり、人気のあるタイトルでは高額になることもあります。

一方「Play and Earn」のゲームの場合、プレイヤーはほとんどブロックチェーンと対話することなくゲームをプレイでき、なおかつ獲得したアセットを所有することができます。資産やトークンを売りたいときだけ、ブロックチェーンとやり取りする必要があるのです。このモデルが最も普及し、ブロックチェーンがさらにメインストリームになるのに役立つと私たちは考えています。

−− 暗号資産市場のマスアダプションという点で、ゲームというアプリケーションレイヤーはどのような役割を果たすとお考えでしょうか。

ゲーム用に構築されたブロックチェーンは、暗号資産をオプションにすることで、ゲーマーにもっとシームレスなweb3ゲームの体験を提供できると考えています。

ゲーマーは、バックエンドでブロックチェーンが稼働していることを知らずにゲームをプレイすることができます。暗号資産領域は学習するコストが高いため、ゲーム特化のブロックチェーンはマスアダプションのキーポイントになるでしょう。この仕組みを最も簡単に説明すると、ゲームスタジオが取引手数料を負担するということです。

−−オアシスに期待することを具体的に教えてくださいませ。

リパブリック・キャピタルは、オアシスがそのパートナーシップとユニークな構造を通じて、ブロックチェーンゲーム業界のリーダーの一人となることを期待しています。私たちの意見としては、Oasysの最大の強みは、世界的に有名なIPを所有するレガシーゲーム企業とのパートナーシップです。

Oasysは、アプリケーションに特化したロールアップを通じて、これらの大規模なゲーム大手をブロックチェーンに馴染ませることができたのです。この仕組みにより、ゲーマーは取引手数料を気にすることなく、オアシスのブロックチェーンを通じて資産を所有することができるようになります。

オアシス代表の松原亮氏へ取材

また「あたらしい経済」編集部は、オアシス代表の松原亮氏へ取材を行った。

−−リード投資家として、Republic Capitalを選んだ理由はなんでしょうか?

Republic Capitalはトークン販売時のローンチパッド運営、そして投資家としても実績があります。また今後、オアシスのトークンローンチに向けても、1番熱心に様々なサポートを行ってくれています。

オアシスについて

オアシスは「Blockchain for The Games」をコンセプトに独自のゲーム特化ブロックチェーンを開発する、今年2月8日に発足されたプロジェクトだ。

プロジェクトメンバーは、初期バリデーターとしての参加を発表したバンダイナムコ研究所の代表取締役社長である中谷始氏を含め、doublejump.tokyo 代表取締役CEOの上野広伸氏、gumi 創業者/Thirdverse代表取締役CEOの國光宏尚氏、セガ取締役副社長の内海州史氏やYield Guild Games 共同創業者のギャビー・ディゾン(Gabby Dizon)氏らが名を連ねる。 オアシスの開発しているブロックチェーンは、イーサリアムバーチャルマシーン(EVM)互換。具体的にはレイヤー1(Hub-Layer)とレイヤー2(Verse-Layer)技術を組み合わせた独自の「Oasysアーキテクチャ」を採用している。

ちなみに「Oasysアーキテクチャ」はPoS(Proof of Stake)をコンセンサスアルゴリズムに採用し、エコシステムの拡大と環境問題の双方に配慮された設計とのことだ。 そしてこの設計によって、ゲーマーは高速かつ手数料(ガス代)無料でのサービス体験が実現でき、ゲーム開発者はブロックチェーンを活用したゲーム内決済やNFTアイテムに関わるマルチチェーン対応、及び他ゲームとの連携が容易になるという。

images:iStocks/grandeduc・Svetlana-Borovkova
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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