【取材】Concordiumが「CCD」委任機能「Sirius」導入、ステーキングで報酬を

竹田匡宏

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コンコーディウム、委任機能「Sirius」導入

パブリックブロックチェーン・コンコーディウム(Concordium)が、委任(デリゲーション)機能「シリウス(Sirius)」を導入したことが分かった。コンコーディウム財団が6月23日に発表した。

コンコーディウムブロックチェーンにデリゲーション機能が導入されたことで、コンコーディウムのトークン「CCD」のホルダーは、自らノード(ベーカー)を運営しなくても、「CCD」をベーカーにステーキングして、報酬を得ることが可能となるという。

ちなみにホルダーは「CCD」のデスクトップウォレットを通して、ネットワークに参加し、そこから「CCD」を獲得できるとのこと。

また近日中に、モバイルウォレットでも「シリウス」が利用可能になるとのことだ。そして分析ツールの「CCDScan」もアップデートされており、異なるベーカーのパフォーマンス、例えば稼働時間や獲得報酬が確認できるようになり、委任するベーカープールが選びやすくなるとのこと。またコンコーディウムは、低いリスク、低リターンのデリゲーション手段を望む「CCD」ホルダーのために、パッシブ(受動的)委任も導入したとのこと。

今回のアップデートで、既存のベーカー(ノード運営者)は、他の「CCD」ホルダーが委任できる自分専用のプールを作成できるようになる。またその場合、ステーキング報酬が増加する可能性もあるとのことだ。

また開発者にとっては、コンコーディウムのスマートコントラクトサポートがアップグレードされ、サポートされるユースケースが増加するというメリットを享受できるという。開発者は同期したコントラクトを呼び出すことで、他のコントラクトと相互作用するスマートコントラクトを簡単に構築できるようになると発表されている。

なおコンコーディウム財団は、昨年7月にグローバルな開発者を対象とした助成金プログラム「フリー&オープン・グランツ・プログラム(Free & Open Grants Programme)」 を発表した。このプログラムでは開発者へ最大約220万円(20,000ドル)、フォローアップ助成金として約820万円(75,000ドル)が提供されている。

そして昨年コンコーディウム財団は、日本ブロックチェーン協会(JBA)正会員にも加盟している。また今年2月には前述の助成金プログラムに、日本企業PHIの電子投票プロジェクト「Govote」を採択した。

コンコーディウム財団CTOと日本担当者へ取材

「あたらしい経済」編集部はコンコーディウム財団CTOコーレ・シェルストーム(Kåre Kjelstrøm)氏と、コンコーディウム日本担当者である太田真氏へ取材を行なった。

−−デリゲーション機能追加の最大の目的は何でしょうか?

コーレ氏:デリゲーションは、CCDを持っている人なら誰でも、CCDをベーカーノードに貸すだけで利子を得ることができ、その結果、そのノードが次のブロックをベーカーする確率を上げることができるようにするものです。報酬として、デリゲーターは一緒にステークするベイキングのためのノードが得るCCD報酬のパーセンテージの利息を獲得します。あるベイカーにステークすることで得られる利子は、そのノードで利用可能なCCDの総量に相対的なものです。この機能は、今週中にデスクトップウォレットから、7月の第1週にモバイルウォレットで利用可能になります。

−−Concordiumの2022年下半期の具体的な開発計画は何でしょうか?

コーレ氏:私たちは、以下のハイレベルな分野を計画しています(現在、第3四半期のロードマップをまとめており、さらに増える可能性があります)。

– コアブロックチェーンプロダクトを拡張し、シャーディングによるスケーラビリティの向上を図る。
– スマートコントラクトの更新、新しい言語バインディングを追加する可能性がある。
– 開発者向けウェブサイトを大幅に拡張し、より多くの事例を提供する。
– スマートコントラクト、NFT向けdApps、Gaming、Metaverse、IDなど、具体的な事例を提供する。
– 直感的なdAppsのために、Chromeのブラウザプラグインとして動作するウェブウォレットを提供する。
– ゼロ知識証明でユーザー情報を要求するIDを使ったアプリケーション構築をdAppsでできるようにする。
– シードフレーズを介して、デスクトップ、モバイル、ウェブなど、あらゆる種類のウォレットにアカウントを接続可能にする。
– 他のブロックチェーンがコンコーディアムのIDソリューションを使用できるように、ID-as-a-serviceを展開する。
– 雇用関係や学歴など、あらゆるタイプのユーザークレームを包含するためにIDインフラを拡張する。

−−また現在の日本での取り組みはどういったものがありますでしょうか?

太田氏:日本の規制環境に限りなく準拠するために、コンコーディウムのアカウント作成に必要な”アイデンティティ”を発行するアイデンティティ・プロバイダーとして参加してくれる、KYC企業と話を進めています。

コンコーディウム上でのサービスやネイティブトークンCCDに、ゼロ知識証明技術の恩恵を受けてアクセスすためのアカウント作成に協力するKYC企業の選択技に日本のKYC企業があることは、コンコーディアムを使ったサービス開発を検討する企業にとっても、ユーザーのKYCプロセスの負担を軽減することが期待できます。

また、悪意ある行動をするアカウントに対して、アイデンティティ・プロバイダーは匿名性リボーカーと一緒に、そのアカウントのアイデンティティを公開するために重要な役割を担います。

コンコーディウム(Concordium)とは

「Concordium」は、2021年6月9日にメインネットローンチした独自のID管理技術を持つパブリックブロックチェーン。「Concordium」は匿名性と説明責任のバランスをもつ、コンプライアンスを中心としたパーミッションレスな、Proof-of-Stakeのブロックチェーンだ。

具体的には、ユーザーのIDはチェーン上では匿名だが、政府機関などからの正当な要求に応じてのみ、そのIDが開示される仕組みを持つ。その特徴から、さまざまなビジネスや金融でのユースケースが期待されているエンタープライズ向けプロジェクトである。

→Concordium

→Concordium公式日本語ツイッター

→Concordiumの技術レポート(HashHubリサーチ提供)

Top Image:iStock Thinkhubstudio

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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